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第69話 レッスン立ち姿、歩き方
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キラリが恥ずかしそうにつぶやいたのを見た菜松は、キラリの両肩を掴んでジッとキラリの顔を見つめて
菜松「キラリさん、笑顔は人を和ませると言いますよ!さぁ、私の真似をしてニッコリと笑ってみて!」
そう言って菜松がぎこちなく口角を上げて見せるのだが、それが上手く行かずクイッ、クイッ、クイィーッと不器用に動き、ニヤ~っと不気味な笑顔になりキラリは思わず笑わずにはいられなかった。
キラリ「プッ………クククッ………」
キラリは吹き出してしまったが、菜松は相変わらず無表情にキラリの顔を見つめてくるので、キラリは逆に怖くなり目を反らした。
再び菜松が
菜松「キラリさん、さぁやってみて!」
キラリ「え!?」
菜松は真顔で言うが、これ程笑顔とは縁遠い菜松がよく笑顔は人を和ませるなんて言ったものだとツッコミたくなる衝動を必死に堪える。
菜松「大丈夫、さぁ私の真似して笑って」
そう言って菜松はまたぎこちない笑顔を作ろうと、必死に口角を上げてクイッ、クイッ、クイィーッと笑って見せるが、
菜松がまたニヤ~っと不気味な笑顔になり、この場違いのホラーな世界観が逆にキラリのツボに入り
キラリ「プッ!!!………ブハハハハハハハハッ!」
菜松のキャラとミスマッチな不気味な作り笑いを見て堪えることができずに腹を抱えながらしゃがみ込んで大爆笑している。
キラリ「あ~ヤッバ!マジで笑いが止まんねぇ~!」
ひとしきり笑ってから我に返ったキラリがふと見上げてみると、そこには無表情な菜松がキラリを上から見下ろしていた。
うわっ!!ヤッバ!!もしかして怒ってんじゃねぇ?
キラリは恐る恐る立ち上がり、そーっと菜松の顔色をうかがうように上目遣いに見ると菜松は真顔で
菜松「キラリさん、ニッコリ笑ってとは言いましたが、そんなに大笑いする必要はありませんよ!そんなに大笑いすると逆に、はしたなく見えてしまうものです!いつでもどこでも上品に振る舞うことを意識するようにしてくださいね!」
キラリ「え……あっ……はい……すみません……」
キラリはよくわからない汗をかいている。
菜松「では、とりあえず笑顔は良しとして、早速立ち姿、歩き方からやっていきましょう。先ずは私の動きを真似てくださいね!」
そう言って菜松はキラリから一歩離れて鏡に向かってスッと自然に立つ。
その姿は頭からつま先まで一分の隙も無く、全体に神経が行き届いているかのように見事なまでの綺麗な立ち姿だった。
キラリは思わず
キラリ「き……綺麗……モデルみたい……」
と、見惚れている。
菜松「さぁやってみて!」
キラリは菜松の姿を鏡越しに見ながら背筋を伸ばし、かかとを床から若干上げて天井に向けて伸び上がるように立ってみた。
しかし、すぐにフラフラしてバランスを崩し前に一歩足が出てしまう。
キラリ「やっぱ難しい…お姉さんみたいに綺麗に立てないよ……」
菜松「そんなことありませんよ。コツさえ掴めばすぐに出来ます。先ずは、両足の親指小指かかとの三点でしっかり地面を踏みしめてみてください」
キラリは言われた通りにやってみる。
菜松「次に膝と膝をピタッと合わせるようなイメージで、そして腹筋と背筋のバランスが良くなるような位置で立ってみてください」
キラリは言われた通りに膝を合わせ腹筋背筋に集中して立つ。
菜松「あとは、肩の力を抜いて自然に胸を開いてあごを引いたら……」
キラリは胸を張ってあごを引いた。
すると、自分でも驚くほど綺麗な立ち姿が鏡に映っている。
菜松「ほら!こんなに素晴らしい立ち姿に変身!羨ましいわぁ!あなたは素が美しいから、少し変わるだけでこんなにも映えるなんて!」
菜松は相変わらず顔は無表情だが、言葉には本音とうかがえる表情がにじみ出ていた。
キラリ「いや……そんなことないよ……私なんかより、お姉さんの方がよっぽど……」
菜松「いいえ、貴女は必ず別人に生まれ変われます!頑張って夫人を目指しましょう!」
キラリ「う……うん……」
菜松「それでは次に歩き方をやってみましょう!」
そう言って菜松はくるっと振り返り、鏡とは反対を向いてカツ、カツ、カツ、カツ…とヒールの音を立てながら、まるでファッションショーでランウェイを歩くモデルのように見事な歩き姿をキラリに見せる。そして向こう側の壁の鏡まで歩くと、またクルッと向き直って今度はキラリの方へ歩いてきた。
す……凄い……カッコいい!!まるで宝塚の団員みたい!!
見惚れているキラリにむかって菜松が
菜松「さあ、キラリさん?やってみましょう!」
や…やってみましょうって……
菜松「先ず立ち姿は歩くのに大事な基礎となるので、常に意識してください。真っすぐ前を見て、前に出す足は残された足の前に置き、つま先はほんの少し外を向く感じで。そして、かかとから地面に着けます。あたまや重心は上下しないように気をつけて!真っすぐ一直線上に進むようにするのがコツです」
キラリ「は……はぁ……」
言うのは簡単だけど、実際そんな簡単に出来んのかよ……
キラリは一歩踏み出すのにもどうしたら良いのかわからないほどパニック状態だった。
見るに見かねた菜松が
菜松「キラリさん?一緒に歩いてみましょ?」
菜松「キラリさん、笑顔は人を和ませると言いますよ!さぁ、私の真似をしてニッコリと笑ってみて!」
そう言って菜松がぎこちなく口角を上げて見せるのだが、それが上手く行かずクイッ、クイッ、クイィーッと不器用に動き、ニヤ~っと不気味な笑顔になりキラリは思わず笑わずにはいられなかった。
キラリ「プッ………クククッ………」
キラリは吹き出してしまったが、菜松は相変わらず無表情にキラリの顔を見つめてくるので、キラリは逆に怖くなり目を反らした。
再び菜松が
菜松「キラリさん、さぁやってみて!」
キラリ「え!?」
菜松は真顔で言うが、これ程笑顔とは縁遠い菜松がよく笑顔は人を和ませるなんて言ったものだとツッコミたくなる衝動を必死に堪える。
菜松「大丈夫、さぁ私の真似して笑って」
そう言って菜松はまたぎこちない笑顔を作ろうと、必死に口角を上げてクイッ、クイッ、クイィーッと笑って見せるが、
菜松がまたニヤ~っと不気味な笑顔になり、この場違いのホラーな世界観が逆にキラリのツボに入り
キラリ「プッ!!!………ブハハハハハハハハッ!」
菜松のキャラとミスマッチな不気味な作り笑いを見て堪えることができずに腹を抱えながらしゃがみ込んで大爆笑している。
キラリ「あ~ヤッバ!マジで笑いが止まんねぇ~!」
ひとしきり笑ってから我に返ったキラリがふと見上げてみると、そこには無表情な菜松がキラリを上から見下ろしていた。
うわっ!!ヤッバ!!もしかして怒ってんじゃねぇ?
キラリは恐る恐る立ち上がり、そーっと菜松の顔色をうかがうように上目遣いに見ると菜松は真顔で
菜松「キラリさん、ニッコリ笑ってとは言いましたが、そんなに大笑いする必要はありませんよ!そんなに大笑いすると逆に、はしたなく見えてしまうものです!いつでもどこでも上品に振る舞うことを意識するようにしてくださいね!」
キラリ「え……あっ……はい……すみません……」
キラリはよくわからない汗をかいている。
菜松「では、とりあえず笑顔は良しとして、早速立ち姿、歩き方からやっていきましょう。先ずは私の動きを真似てくださいね!」
そう言って菜松はキラリから一歩離れて鏡に向かってスッと自然に立つ。
その姿は頭からつま先まで一分の隙も無く、全体に神経が行き届いているかのように見事なまでの綺麗な立ち姿だった。
キラリは思わず
キラリ「き……綺麗……モデルみたい……」
と、見惚れている。
菜松「さぁやってみて!」
キラリは菜松の姿を鏡越しに見ながら背筋を伸ばし、かかとを床から若干上げて天井に向けて伸び上がるように立ってみた。
しかし、すぐにフラフラしてバランスを崩し前に一歩足が出てしまう。
キラリ「やっぱ難しい…お姉さんみたいに綺麗に立てないよ……」
菜松「そんなことありませんよ。コツさえ掴めばすぐに出来ます。先ずは、両足の親指小指かかとの三点でしっかり地面を踏みしめてみてください」
キラリは言われた通りにやってみる。
菜松「次に膝と膝をピタッと合わせるようなイメージで、そして腹筋と背筋のバランスが良くなるような位置で立ってみてください」
キラリは言われた通りに膝を合わせ腹筋背筋に集中して立つ。
菜松「あとは、肩の力を抜いて自然に胸を開いてあごを引いたら……」
キラリは胸を張ってあごを引いた。
すると、自分でも驚くほど綺麗な立ち姿が鏡に映っている。
菜松「ほら!こんなに素晴らしい立ち姿に変身!羨ましいわぁ!あなたは素が美しいから、少し変わるだけでこんなにも映えるなんて!」
菜松は相変わらず顔は無表情だが、言葉には本音とうかがえる表情がにじみ出ていた。
キラリ「いや……そんなことないよ……私なんかより、お姉さんの方がよっぽど……」
菜松「いいえ、貴女は必ず別人に生まれ変われます!頑張って夫人を目指しましょう!」
キラリ「う……うん……」
菜松「それでは次に歩き方をやってみましょう!」
そう言って菜松はくるっと振り返り、鏡とは反対を向いてカツ、カツ、カツ、カツ…とヒールの音を立てながら、まるでファッションショーでランウェイを歩くモデルのように見事な歩き姿をキラリに見せる。そして向こう側の壁の鏡まで歩くと、またクルッと向き直って今度はキラリの方へ歩いてきた。
す……凄い……カッコいい!!まるで宝塚の団員みたい!!
見惚れているキラリにむかって菜松が
菜松「さあ、キラリさん?やってみましょう!」
や…やってみましょうって……
菜松「先ず立ち姿は歩くのに大事な基礎となるので、常に意識してください。真っすぐ前を見て、前に出す足は残された足の前に置き、つま先はほんの少し外を向く感じで。そして、かかとから地面に着けます。あたまや重心は上下しないように気をつけて!真っすぐ一直線上に進むようにするのがコツです」
キラリ「は……はぁ……」
言うのは簡単だけど、実際そんな簡単に出来んのかよ……
キラリは一歩踏み出すのにもどうしたら良いのかわからないほどパニック状態だった。
見るに見かねた菜松が
菜松「キラリさん?一緒に歩いてみましょ?」
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