キラリの恋は晴れのち晴れ!

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第62話 スピリチュアル

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キラリは、凛花が本気で自分のことを思い、そして真剣な眼差しで抗議する親友に対して胸が熱くなるのを感じた。

翼の父は、まだ自分の素性を明かすわけにもいかず、どう返事をしたら良いものか考え悩んでいる様子で戸惑っている。
そこへキラリが

キラリ「凛花、ありがとう。でもね、私この人のことを信用してみる!なんかどう言ったら良いのかわからないんだけど……不思議とこの人の言うことは嘘じゃ無い気がするんだよね……それに……会うのが初めてじゃ無いような……凄く前にどこかで会ったことがあるような気がするんだけど……それがどこだったのかよくわからないんだけど、凄く遠い記憶の中で……」

翼の父は一瞬ドキッとした。

いや、まさかこの子が覚えているはずもない……当時この子はまだ母親に抱っこされていて、物心など付いていないぐらいの頃だった。
きっと何か他の記憶と重なっているのだろう……

そう思っていると、更にキラリの口から予想だにしない言葉が飛び出てきた。

キラリ「凄く遠い記憶……母ちゃんが私を抱っこしていて、人がたくさん集まっていて、母ちゃんは何故かわからないんだけど凄く泣いていたような……」

いや、やはりこの子はあの時の記憶をおぼろ気に覚えているのだろう……そして私の顔も……


翼の父は若干かすれ声で口を開いた。

翼の父「あ、あの……今ここで証拠を提示することは難しいのだが、近い内に翼の父に必ず会わせることを約束しよう。そして、彼とこの件について一緒に話をまとめる事で信用してもらえれば結構。それなら君も友達も安心できるだろ?」

凛花「人は騙そうとすれば、どんな手段だって使えます。特殊詐欺だってあの手この手を使って人を簡単に騙すんだし、実際翼も交えてなら信用度も上がるけど、そもそもキラリは人に利用されやすい質だから余計に心配なんです!」

翼の父「ま、君の話しは正論だな……いや、貴重な時間を奪ってしまって申し訳無かったね。こんな見ず知らずの男に信用しろなどと言われて、簡単に信用してしまうのはむしろ危険なことだね。キラリさん、君は良い友達を持っておられる。これからも大事に……」

そう言って翼の父は席を立ち、ポケットから財布を取り出そうとしたとき、キラリが立ち上がって

キラリ「オジサン!待って!行かないで!やっと翼との繋がりを見つけたんだ……この機会を逃したら、もう翼にたどり着くことが出来なくなるかもしれない……」

そう言って凛花の方へ向いて軽くうなずいて見せる。
凛花は心配そうな眼差しをキラリに向けるが、キラリの意思を尊重し、凛花もうなずき返す。

キラリ「オジサン……私……何でもする……翼の為なら何でも……だから、翼のお父さんに会わせて……今翼がどんな状況に置かれているのか知りたい……ちゃんと元気にしてるならそれで良いし……とにかく何でも良いから翼の状況を知りたいの!私……凄く凄く心配で……」

キラリが涙目になっていくのを見て、翼の父も思わず目頭が熱くなる。

翼の父「わかったよ……必ず翼の親と会わせてあげる。しかし、その前に君のご両親にもこの話しは通しておかなければならない。
先ずは君のご両親に連絡をしたいのだが……問題はないかね?」

キラリ「それなら母ちゃんの方が話しは早いと思う。
父ちゃんだと返って話がややこしくなりそうだし。私のスマホでかけるから、それで代わってもらってもいい?」

翼の父「本当はこういう込み入った話しは直接お会いした方が良いのだが、とりあえずさわりだけでも話して見よう」

そう言ってキラリが電話を取り出し、薫に電話をかける。

薫「もしもし?キラリどうした?」

キラリ「母ちゃん!ちょっと電話に出て!」

薫「電話にはもう出てるよ……」

キラリ「いや、そうじゃなくて……あの……翼の花嫁修業の男の人が話したいって言うから、ちょっと話してもらいたくて……」

薫「はぁ!?翼の花嫁修業を何で男の人がするのよ!てか、何でそんな訳わからない人と一緒に居るのよ!?」

キラリ「あぁ~……母ちゃんちょっと話がこんがらがっチュレーション……」

薫「はぁ!コングラチュレーション!?」

翼の父がその驚く程に成り立たない会話を見るに見かねてキラリに手を差し出して

翼の父「キラリさん、ちょっと代わってもらってもいいかな?」

と横から声をかけた。

キラリはスマホを渡して翼の父と電話を代わる。

翼の父「あっ、もしもし?突然申し訳ありません。実は先ほどキラリさんとお知り合いになった斎藤と申します。実はですね……」

翼の父は簡潔に要点をまとめて薫に話をした。
実はこの時、勘の良い薫はある一つの可能性を見出だしていた。

そして、薫の中で点と点とが結び付き、それが確信へと変わっていく。

薫が電話越しに翼の父にこう言った。

薫「あの、間違いでしたら大変失礼ですが、もしかして……」

翼の父は、薫の口から出た言葉に驚愕した。

何という勘の鋭さ……この短いやり取りの中で全てを悟り、尚且つ昔の私の話し口調から声までを思いだし、私のことを言い当てた……
やはり、これはただの縁では無いということか……
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