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第52話 悲惨な現実
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キラリは眩しい光に顔をしかめながら、ゆっくりと両目を開けた。
そして、大勢の人だかりが自分を囲んで上から見下ろしていることに気付く。
キラリは今自分が置かれている状況をのみこむのにしばらく時間がかかった。
キラリ「え?あれ?皆………どうしたの?」
そこには、自分が見知ったクラスメートやら、顔なじみの無い自分と同じ制服を着た生徒やらが、キラリに心配そうな眼差しを向けていた。
クラスメートの女子達が代わる代わるキラリに声をかける。
クラスメートA「キラリ……大丈夫?あんた突然意識失って倒れこんだんだよ!」
クラスメートB「何か凄い高級車に乗った女の人と何か喋ってたと思ったら、いきなり倒れるもんだからビックリして……」
キラリはついさっき起きた、あまりにも現実離れした出来事が、やはり夢では無かったことに気付き、また急に情緒不安定に陥り過呼吸になってしまった。
クラスメートA「キラリ!大丈夫!?どうしたの!?」
クラスメートC「とりあえず保健室連れてこうか!」
キラリは視界がグルグルと回り、自力で立つことは到底出来ない状態で、クラスメート達がキラリをアスファルトの舗装の上から立たせて肩に担ぎ保健室へと向かった。
キラリは保健室のベッドに寝かされ放心状態になっていた。
キラリは頭が空白になり、思考回路は全く機能していない。
しばらくそのまま寝かされて時間は過ぎ、そこに慌てて薫が駆け込んで来た。
薫「キラリ!どうしたの!急に倒れたって聞いて………」
流石の気丈な薫の目にもうっすら涙が溜まり、狼狽しながら駆け寄る。
薫は事務所で経理の仕事をしていたのだが、学校から連絡が入りすっ飛んで来たのだった。
キラリ「かあ……ちゃん………」
キラリは薫の顔を見た瞬間、一気に思考回路が戻り、そして現実逃避していた出来事の全ての時間が動き出した。
キラリ「母ちゃん~~~………うわぁ~~~ん………うわぁああああ~~~ん」
人目もはばからず大泣きを始めた我が子の姿を見た薫が、逆に驚いて困惑してしまった。
薫「キラリ!?どうしたの!?何があったの!?」
薫はキラリが身体の健康的には問題があるわけでは無いと感じ少し安堵はしたものの、心の方の健康は完全に壊れたのだと直感する。
薫「キラリ………まさか………翼のことで何かあったの?」
キラリ「うっ………うっ………うわぁああああああああ~~~ん………」
薫はキラリを思いっきり強く抱き締めて、キラリの気持ちが落ち着くまで身体を揺らして抱擁した。
キラリ「うっ…うっ…うっ………」
しばらくしてキラリが薫の胸の中で何とか落ち着きを取り戻していった。
キラリ「うっ……うっ……母ちゃん………」
キラリは薫の胸より少し上の辺りの服にしがみつきながら震える声で話し出した。
キラリ「母ちゃん………もうやだよぅ~………もう何もかもやだよぅ~………もう生きていたくないよぅ~~~………」
薫はキラリがここまで悲しみに打ちひしがれた姿を見たことがない。それゆえに今この状況で娘にどんな言葉をかけて良いのかわからずにいた。
薫はただ黙ってキラリを抱擁する他に成す術が見当たらない。
保健室の先生もこの親子のただならぬ状況を心配しながらも、時折カーテンをチラッとめくり覗き見ることしか出来なかった。
薫「キラリ………とりあえず家に帰ろう?そして少し休みなさい?」
キラリはしばらく黙っていたが、やがてゆっくりと頷き、そして薫に支えなられながら立ち上がった。
薫「どう?歩ける?」
キラリ「うん………」
キラリは薫の支えを頼りにゆっくりと、一歩、また一歩と歩を進めた。
そしてどうにかこうにか車までたどり着き乗り込んだ。
二人の間に沈黙が続き、それは家に着くまで破られることは無かった。
キラリは自宅に着いても動く元気が無いのか、うつ向いてうなだれている。
薫は助手席のドアを開け、キラリにそっと声をかける。
薫「キラリ………とりあえず中に入ろ?」
キラリ「はい………」
キラリは聞こえるか聞こえないか程の小さな声で返事をして、薫が手を貸してキラリはやっとの思いで立ち上がる。
そして、ゆっくりと薫に支えられながら歩き家の中に入った。
キラリはリビングのソファに横に寝かされ、薫はコーヒーを入れてキラリの傍らに腰を下ろした。
しばらくキラリのことを優しい眼差しで見つめてから、そっと口を開く。
薫「キラリ………聞かせてくれる?翼に何があった?」
キラリ「うっ………うっ………うっ………」
キラリはまた悲しみの感情が津波のように押し寄せてきて号泣し始めた。
薫はキラリの背中をさすりなだめる。
キラリ「母ちゃん………翼が………翼が………もう会う気は無いから連絡してくるなって………今までもてあそんでたって………」
そう言ってキラリはギャン泣きしてしまい、薫はキラリの口から出た言葉がにわかには信じられずに驚愕し、言葉を失った。
薫「キラリ………ほんと!?本当に翼がそう言ったの?」
そして、大勢の人だかりが自分を囲んで上から見下ろしていることに気付く。
キラリは今自分が置かれている状況をのみこむのにしばらく時間がかかった。
キラリ「え?あれ?皆………どうしたの?」
そこには、自分が見知ったクラスメートやら、顔なじみの無い自分と同じ制服を着た生徒やらが、キラリに心配そうな眼差しを向けていた。
クラスメートの女子達が代わる代わるキラリに声をかける。
クラスメートA「キラリ……大丈夫?あんた突然意識失って倒れこんだんだよ!」
クラスメートB「何か凄い高級車に乗った女の人と何か喋ってたと思ったら、いきなり倒れるもんだからビックリして……」
キラリはついさっき起きた、あまりにも現実離れした出来事が、やはり夢では無かったことに気付き、また急に情緒不安定に陥り過呼吸になってしまった。
クラスメートA「キラリ!大丈夫!?どうしたの!?」
クラスメートC「とりあえず保健室連れてこうか!」
キラリは視界がグルグルと回り、自力で立つことは到底出来ない状態で、クラスメート達がキラリをアスファルトの舗装の上から立たせて肩に担ぎ保健室へと向かった。
キラリは保健室のベッドに寝かされ放心状態になっていた。
キラリは頭が空白になり、思考回路は全く機能していない。
しばらくそのまま寝かされて時間は過ぎ、そこに慌てて薫が駆け込んで来た。
薫「キラリ!どうしたの!急に倒れたって聞いて………」
流石の気丈な薫の目にもうっすら涙が溜まり、狼狽しながら駆け寄る。
薫は事務所で経理の仕事をしていたのだが、学校から連絡が入りすっ飛んで来たのだった。
キラリ「かあ……ちゃん………」
キラリは薫の顔を見た瞬間、一気に思考回路が戻り、そして現実逃避していた出来事の全ての時間が動き出した。
キラリ「母ちゃん~~~………うわぁ~~~ん………うわぁああああ~~~ん」
人目もはばからず大泣きを始めた我が子の姿を見た薫が、逆に驚いて困惑してしまった。
薫「キラリ!?どうしたの!?何があったの!?」
薫はキラリが身体の健康的には問題があるわけでは無いと感じ少し安堵はしたものの、心の方の健康は完全に壊れたのだと直感する。
薫「キラリ………まさか………翼のことで何かあったの?」
キラリ「うっ………うっ………うわぁああああああああ~~~ん………」
薫はキラリを思いっきり強く抱き締めて、キラリの気持ちが落ち着くまで身体を揺らして抱擁した。
キラリ「うっ…うっ…うっ………」
しばらくしてキラリが薫の胸の中で何とか落ち着きを取り戻していった。
キラリ「うっ……うっ……母ちゃん………」
キラリは薫の胸より少し上の辺りの服にしがみつきながら震える声で話し出した。
キラリ「母ちゃん………もうやだよぅ~………もう何もかもやだよぅ~………もう生きていたくないよぅ~~~………」
薫はキラリがここまで悲しみに打ちひしがれた姿を見たことがない。それゆえに今この状況で娘にどんな言葉をかけて良いのかわからずにいた。
薫はただ黙ってキラリを抱擁する他に成す術が見当たらない。
保健室の先生もこの親子のただならぬ状況を心配しながらも、時折カーテンをチラッとめくり覗き見ることしか出来なかった。
薫「キラリ………とりあえず家に帰ろう?そして少し休みなさい?」
キラリはしばらく黙っていたが、やがてゆっくりと頷き、そして薫に支えなられながら立ち上がった。
薫「どう?歩ける?」
キラリ「うん………」
キラリは薫の支えを頼りにゆっくりと、一歩、また一歩と歩を進めた。
そしてどうにかこうにか車までたどり着き乗り込んだ。
二人の間に沈黙が続き、それは家に着くまで破られることは無かった。
キラリは自宅に着いても動く元気が無いのか、うつ向いてうなだれている。
薫は助手席のドアを開け、キラリにそっと声をかける。
薫「キラリ………とりあえず中に入ろ?」
キラリ「はい………」
キラリは聞こえるか聞こえないか程の小さな声で返事をして、薫が手を貸してキラリはやっとの思いで立ち上がる。
そして、ゆっくりと薫に支えられながら歩き家の中に入った。
キラリはリビングのソファに横に寝かされ、薫はコーヒーを入れてキラリの傍らに腰を下ろした。
しばらくキラリのことを優しい眼差しで見つめてから、そっと口を開く。
薫「キラリ………聞かせてくれる?翼に何があった?」
キラリ「うっ………うっ………うっ………」
キラリはまた悲しみの感情が津波のように押し寄せてきて号泣し始めた。
薫はキラリの背中をさすりなだめる。
キラリ「母ちゃん………翼が………翼が………もう会う気は無いから連絡してくるなって………今までもてあそんでたって………」
そう言ってキラリはギャン泣きしてしまい、薫はキラリの口から出た言葉がにわかには信じられずに驚愕し、言葉を失った。
薫「キラリ………ほんと!?本当に翼がそう言ったの?」
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