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第41話 翼には敵わない
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キラリはベッドの上でうつ伏せになって目を瞑っている。
翼………
あの優しい笑顔………
真剣な眼差し………
あのときの緊張した顔………
翼………
何を言おうとしたの?
どうしてちゃんと私の心抱き締めてくれないの?
もう………切なくて………苦しくて………
いつも側に居るのに………
凄く近いようで遠い………
翼の心の中に………
早く私を受け容れて………
そんなことを思っていたとき、キラリの部屋のドアを誰かがノックした。
〝コンコン〟
キラリ「はい…」
〝ガチャ〟
薫「キラリ、ホットミルク入れてきた」
薫はそれを机の上に置いた。
キラリ「母ちゃんありがとう………」
薫「どうした?また翼とケンカでもした?」
キラリ「いや………そうじゃないんだけど………」
薫「そうじゃないんだけど……何?」
キラリ「何か上手く行かなくて……」
薫「どういう風に?」
キラリ「翼がさぁ……何か言いかけてるの……つき……って……」
薫「そりゃそれはキラリに付き合ってくれってことでしょ?」
キラリ「でも煮えきらなくて……翼がよくわからない……」
薫「そりゃ男にも色々いるわよ。はっきりズバッと言える人も居れば、なかなか言えない人だって。それに、マジだからこそ言い出しにくいってのもあるかもよ?」
キラリ「父ちゃんは母ちゃんにどうだった?」
薫「パパはもうガツガツ来るタイプだったね。最初はハッキリ言って眼中に無かったけど、不屈の闘志でとにかく私にアタックしてきた。その真っ直ぐな心に徐々に惹かれていった感じかなぁ……」
キラリ「へぇ、うらやましいなぁ……」
薫「翼がハッキリしないんなら、キラリが仕向けてあげるのが良いんじゃない?」
キラリ「どうやって?」
薫「ツンデレ作戦!」
キラリ「ツンデレ?」
薫「普段はよそよそしくして、無愛想に見せといて、何かのタイミングで急に可愛く甘えてみたりするの」
キラリ「あっ……それって……翼がよく使うやつだ!」
薫「でしょうね………翼はキラリの反応を見て楽しんでるのよ」
キラリ「結局私が騙されてるだけじゃん!」
薫「だから、そこを逆手に取るのよ!」
キラリ「どうやって?」
薫「そんなの知らないよ!」
キラリ「えぇ?教えてよ!」
薫「それくらい自分で考えろよ!」
キラリ「母ちゃんの意地悪………」
そのとき薫がいきなりキラリの肩に手を回して耳元でささやいた。
薫「でも……キラリが可愛いから教えてあげる」
キラリ「もう、なーに!どっちなの~?」
薫「つまり、こうやってツンツンしたと思ったら、急に甘え声になって可愛さアピールすんのよ!」
キラリ「あっ!そういうことか!わかった。やってみる!」
~翌日~
翼は部屋で寝ている。
キラリはそっと翼の部屋に忍び込み翼の寝顔を覗き込んでいる。
そして翼の耳元で甘くささやいた。
キラリ「つ・ば・さ……お・き・ろ……」
翼は少しだけまぶたが動いて反応するが、また静かな寝息を立ている。
キラリ「つ・ば・さ……だ・い・す………」
キャア………やっぱり言えない………恥ずかしくて言えないよ………
キラリは一人で赤面してモジモジしている。
そのとき翼が
んん~……
と、寝言のように唸った。
え!?起きちゃった!?
しかし、また静かに寝息を立てている。
キラリは再び翼の耳元で甘くささやき始めた。
キラリ「つ・ば・さ……」
そのとき翼がゆっくりとキラリを抱き締めてしまった。
え!?ちょっ!?ちょっと待って!?翼……起きてるの?
キラリの顔は翼の顔の息がかかる距離にある。
そして翼がむにゃむにゃと何か寝言を言っている。
キラリは翼の腕の中で身動きが取れない。
キラリは何とか翼の腕の中から抜け出そうとするが、そこでまた翼が寝言を言い出した。
翼「キラリ………」
その瞬間、キラリの心臓がドキンと鳴った。
そして更に翼がキラリの頭を抱え、自分の顔の方へ抱き寄せる。
ヤッ!ヤバッ!翼!それはちょっとマズイって!
キラリは緊張して翼を突っ張って離れようとする。
そのとき翼が急に力を抜いて、寝返りを打って反対を向いた。
キラリはその隙にあわてて翼から離れた。
まだキラリの心臓は苦しいほど高鳴っている。
そして再びキラリが翼の顔を覗き込むと
翼「キラリ………おはよう………」
えぇぇぇぇぇぇぇ~~~!!!!
つ……翼………もしかして………お………起きてたの?
翼「キラリ?」
そう言って翼がゆっくりとキラリの方へ向き直った。
キラリ「おっ………おはよう………お……起きてたんだ?」
翼「いや………寝てた………」
ね……寝てたって………どこまで寝てたんだよ………
キラリ「ほんとに寝てた?」
翼「うーん………キラリが入って来るまでは………」
えぇぇぇぇぇぇぇ~~~!!!!
じゃ……じゃあ………起きてたんじゃん………
あれは………わざとか………
キラリ「翼?」
翼は寝ぼけた声で
翼「んん?」
と答えた。
キラリ「私が入って来るまではって………じゃあ全部覚えてるの?」
翼「えぇ?何が?」
キラリ「な……何がって……その……………」
翼「覚えてない………何にも………」
う………嘘つけ!!!あ……あれを覚えてないわけがないだろ!
翼「キラリ………」
キラリ「はい………」
翼「寝込みを襲うのは良くないぞ………」
お……覚えてんじゃねぇか!
翼………
あの優しい笑顔………
真剣な眼差し………
あのときの緊張した顔………
翼………
何を言おうとしたの?
どうしてちゃんと私の心抱き締めてくれないの?
もう………切なくて………苦しくて………
いつも側に居るのに………
凄く近いようで遠い………
翼の心の中に………
早く私を受け容れて………
そんなことを思っていたとき、キラリの部屋のドアを誰かがノックした。
〝コンコン〟
キラリ「はい…」
〝ガチャ〟
薫「キラリ、ホットミルク入れてきた」
薫はそれを机の上に置いた。
キラリ「母ちゃんありがとう………」
薫「どうした?また翼とケンカでもした?」
キラリ「いや………そうじゃないんだけど………」
薫「そうじゃないんだけど……何?」
キラリ「何か上手く行かなくて……」
薫「どういう風に?」
キラリ「翼がさぁ……何か言いかけてるの……つき……って……」
薫「そりゃそれはキラリに付き合ってくれってことでしょ?」
キラリ「でも煮えきらなくて……翼がよくわからない……」
薫「そりゃ男にも色々いるわよ。はっきりズバッと言える人も居れば、なかなか言えない人だって。それに、マジだからこそ言い出しにくいってのもあるかもよ?」
キラリ「父ちゃんは母ちゃんにどうだった?」
薫「パパはもうガツガツ来るタイプだったね。最初はハッキリ言って眼中に無かったけど、不屈の闘志でとにかく私にアタックしてきた。その真っ直ぐな心に徐々に惹かれていった感じかなぁ……」
キラリ「へぇ、うらやましいなぁ……」
薫「翼がハッキリしないんなら、キラリが仕向けてあげるのが良いんじゃない?」
キラリ「どうやって?」
薫「ツンデレ作戦!」
キラリ「ツンデレ?」
薫「普段はよそよそしくして、無愛想に見せといて、何かのタイミングで急に可愛く甘えてみたりするの」
キラリ「あっ……それって……翼がよく使うやつだ!」
薫「でしょうね………翼はキラリの反応を見て楽しんでるのよ」
キラリ「結局私が騙されてるだけじゃん!」
薫「だから、そこを逆手に取るのよ!」
キラリ「どうやって?」
薫「そんなの知らないよ!」
キラリ「えぇ?教えてよ!」
薫「それくらい自分で考えろよ!」
キラリ「母ちゃんの意地悪………」
そのとき薫がいきなりキラリの肩に手を回して耳元でささやいた。
薫「でも……キラリが可愛いから教えてあげる」
キラリ「もう、なーに!どっちなの~?」
薫「つまり、こうやってツンツンしたと思ったら、急に甘え声になって可愛さアピールすんのよ!」
キラリ「あっ!そういうことか!わかった。やってみる!」
~翌日~
翼は部屋で寝ている。
キラリはそっと翼の部屋に忍び込み翼の寝顔を覗き込んでいる。
そして翼の耳元で甘くささやいた。
キラリ「つ・ば・さ……お・き・ろ……」
翼は少しだけまぶたが動いて反応するが、また静かな寝息を立ている。
キラリ「つ・ば・さ……だ・い・す………」
キャア………やっぱり言えない………恥ずかしくて言えないよ………
キラリは一人で赤面してモジモジしている。
そのとき翼が
んん~……
と、寝言のように唸った。
え!?起きちゃった!?
しかし、また静かに寝息を立てている。
キラリは再び翼の耳元で甘くささやき始めた。
キラリ「つ・ば・さ……」
そのとき翼がゆっくりとキラリを抱き締めてしまった。
え!?ちょっ!?ちょっと待って!?翼……起きてるの?
キラリの顔は翼の顔の息がかかる距離にある。
そして翼がむにゃむにゃと何か寝言を言っている。
キラリは翼の腕の中で身動きが取れない。
キラリは何とか翼の腕の中から抜け出そうとするが、そこでまた翼が寝言を言い出した。
翼「キラリ………」
その瞬間、キラリの心臓がドキンと鳴った。
そして更に翼がキラリの頭を抱え、自分の顔の方へ抱き寄せる。
ヤッ!ヤバッ!翼!それはちょっとマズイって!
キラリは緊張して翼を突っ張って離れようとする。
そのとき翼が急に力を抜いて、寝返りを打って反対を向いた。
キラリはその隙にあわてて翼から離れた。
まだキラリの心臓は苦しいほど高鳴っている。
そして再びキラリが翼の顔を覗き込むと
翼「キラリ………おはよう………」
えぇぇぇぇぇぇぇ~~~!!!!
つ……翼………もしかして………お………起きてたの?
翼「キラリ?」
そう言って翼がゆっくりとキラリの方へ向き直った。
キラリ「おっ………おはよう………お……起きてたんだ?」
翼「いや………寝てた………」
ね……寝てたって………どこまで寝てたんだよ………
キラリ「ほんとに寝てた?」
翼「うーん………キラリが入って来るまでは………」
えぇぇぇぇぇぇぇ~~~!!!!
じゃ……じゃあ………起きてたんじゃん………
あれは………わざとか………
キラリ「翼?」
翼は寝ぼけた声で
翼「んん?」
と答えた。
キラリ「私が入って来るまではって………じゃあ全部覚えてるの?」
翼「えぇ?何が?」
キラリ「な……何がって……その……………」
翼「覚えてない………何にも………」
う………嘘つけ!!!あ……あれを覚えてないわけがないだろ!
翼「キラリ………」
キラリ「はい………」
翼「寝込みを襲うのは良くないぞ………」
お……覚えてんじゃねぇか!
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