キラリの恋は晴れのち晴れ!

CPM

文字の大きさ
上 下
34 / 80

第33話 翼、急接近!?

しおりを挟む
~この日の夕方~

日中の暑さを避けて、キラリと翼は少し涼しくなった時間帯に動き出した。



キラリ「翼、勉強疲れたから神社に付き合って」

翼「おう、いいよ」

二人はいつもの神社に向かって歩いた。
翼とキラリは神様にお参りしてから御社殿の前に座った。

キラリ「ねぇ、翼……一つ聞いてもいい?」

翼「何だよ改まって」

キラリ「翼の中に気になる人が居るって話しなんだけど……もし私がその人だったら……今こうして他の女と一緒に居る時間とかも凄く嫌だと思うんだ……翼はそういうのは考えないの?」

翼「別に、気になるって言ってるだけで、そいつと付き合ってるワケでも無いんだし、それにただ一緒に居るってだけだろ?それがそんなにダメなことか?」

キラリ「でもさ、私と翼はけっこう距離近いよ……普通女の子ならそれだけでヤキモチ焼くと思うけどな……」

翼「お前さっきから何でそんなこと気にするんだよ!」

キラリ「いや……だって……同じ女の子として気持ちがわかるし……それに……翼は女心ってものがまるでわかって無いから……」

翼「そうか?こう見えてけっこう解ってるつもりなんだけどな……」

キラリ「絶対無い!!!」

そのとき翼が急に立ち上がって、そしてキラリの手を引いてキラリも立ち上がらせた。


キラリ「つ………翼……………?」

翼はいきなりキラリを抱きしめていた。

翼「女の子は……こういうことされると嬉しいだろ?」

キラリは硬直して身動きが取れない。

翼……どういうこと?どうしてこんなことするの?

翼はキラリの頭をそっと撫でてキラリの顔を自分の胸に押し付けた。

翼……………翼の心臓の音が聞こえる………凄く早く鳴ってる………

どうしよう………私の心臓も壊れそうなぐらい早く鳴ってる………

そして翼がキラリの顎に手を当てそっとキラリを上に向かせた。
キラリは紅潮して唇が震えている。
翼の顔は30センチと離れていない。
お互いが瞳を震わせながら見つめ合う形でしばらく止まっていた。

しかし、その瞬間翼はパッと離れて後ろを向いてしまった。

翼「キラリ……………勘違いするなよ……………俺は誰にでもこういうことするほど遊び人じゃねーぞ……………」

キラリは動揺して何も言えずに立ち尽くしている。

翼「キラリ………俺には今気になる女が居る。そいつは……素直じゃ無くて分かりやすいのに必死で自分の気持ち隠しているつもりで……不器用でウブで純粋で……もう俺の中でそいつはまとわりついて鬱陶(うっとう)しいぐらいだ!
でも………俺はまだそいつに踏み込めないでいる………」

キラリは黙って聞いている。

翼「もし……踏み込んでしまったら……歯車が狂って今の距離感が壊れてしまうような気がしてるんだ……だから……今はまだこの距離感を保っていたい………そういう女なんだよ………」

キラリ「翼……………」

翼「キラリ……凛花……誘っとけよ?俺もバンドのメンバー誘うから……」

キラリ「はい……………」

夕日の逆光で翼の表情がよく見えなかったが、キラリは翼の表情に今までとは違う印象を受けていた。
それは、何とも言い表しにくいのだが、薫から発する優しさに似た温かさのように思えた。


~翌日~

凛花「キラリおはよう!」

キラリ「凛花おはよう……」

凛花「どうしたの?何か悩み事?」

凛花は、キラリがどこか元気が無いように思えて聞いた。

キラリ「昨日さぁ………」

キラリは翼とのやり取りを全て詳細に伝えた。

凛花「キラリ!それって………翼はキラリのこと凄く好きって言ってるようなもんじゃん!」

キラリ「やっぱりそう思う?」

凛花「そう思うも何も、それ以外にどういう捉え方があんのよ!」

キラリ「うーん……でも~……ハッキリ言われたわけじゃないから……」

凛花「だから翼はそれを言っちゃうと、今の関係がギクシャクしそうでって言ってるんでしょう?」

キラリ「でもさぁ………それがもし勘違いだったら私バカだよね………」

凛花「何とか翼の本音を聞き出したいんだね?」

キラリ「いや………聞くのが怖いっていうのもある………」

凛花「もう!キラリはいざって言うときになるとそうやってモジモジして!」

キラリ「だってぇ………」

凛花「わかった!私が然り気無く聞き出してあげる!」

キラリ「どうやって?」

凛花「うーん………翼と二人になれるシチュエーションを作らないとね………」

キラリ「あっ!そうだ!翼が海にキャンプに行くぞって。凛花も誘えって!翼はバンドのメンバー誘うって言ってた」

凛花「じゃあ、その時メンバーの人に探りを入れてみようか?」

キラリ「ねぇ、凛花………もし私の勘違いだったら私には何も言わないで………」

凛花「はいはい、もし答えが最悪だったら無かったことにしてあげる」


キラリは家に帰り、いつものように薫を探す。

キラリ「母ちゃんただいま~」

やはり薫はどこにも居ない。

キラリ「今日も母ちゃんはいなーい………」

独り言を言いながら翼の部屋の方へ向かった。翼の部屋のドアは開け放しており、覗いたが翼の姿も無い。

キラリは自分の部屋に戻ると、そこに翼が本棚に置いてあるキラリのお気に入りを立ち読みしていた。

翼「おう!キラリお帰り!」

昨日の出来事など何も無かったかのような顔で翼が微笑んでいた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

やさしいキスの見つけ方

神室さち
恋愛
 諸々の事情から、天涯孤独の高校一年生、完璧な優等生である渡辺夏清(わたなべかすみ)は日々の糧を得るために年齢を偽って某所風俗店でバイトをしながら暮らしていた。  そこへ、現れたのは、天敵に近い存在の数学教師にしてクラス担任、井名里礼良(いなりあきら)。  辞めろ辞めないの押し問答の末に、井名里が持ち出した賭けとは?果たして夏清は平穏な日常を取り戻すことができるのか!?  何て言ってても、どこかにある幸せの結末を求めて突っ走ります。  こちらは2001年初出の自サイトに掲載していた小説です。完結済み。サイト閉鎖に伴い移行。若干の加筆修正は入りますがほぼそのままにしようと思っています。20年近く前に書いた作品なのでいろいろ文明の利器が古かったり常識が若干、今と異なったりしています。 20年くらい前の女子高生はこんな感じだったのかー くらいの視点で見ていただければ幸いです。今はこんなの通用しない! と思われる点も多々あるとは思いますが、大筋の変更はしない予定です。 フィクションなので。 多少不愉快な表現等ありますが、ネタバレになる事前の注意は行いません。この表現ついていけない…と思ったらそっとタグを閉じていただけると幸いです。 当時、だいぶ未来の話として書いていた部分がすでに現代なんで…そのあたりはもしかしたら現代に即した感じになるかもしれない。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

ルピナス

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の藍沢直人は後輩の宮原彩花と一緒に、学校の寮の2人部屋で暮らしている。彩花にとって直人は不良達から救ってくれた大好きな先輩。しかし、直人にとって彩花は不良達から救ったことを機に一緒に住んでいる後輩の女の子。直人が一定の距離を保とうとすることに耐えられなくなった彩花は、ある日の夜、手錠を使って直人を束縛しようとする。  そして、直人のクラスメイトである吉岡渚からの告白をきっかけに直人、彩花、渚の恋物語が激しく動き始める。  物語の鍵は、人の心とルピナスの花。たくさんの人達の気持ちが温かく、甘く、そして切なく交錯する青春ラブストーリーシリーズ。 ※特別編-入れ替わりの夏-は『ハナノカオリ』のキャラクターが登場しています。  ※1日3話ずつ更新する予定です。

処理中です...