キラリの恋は晴れのち晴れ!

CPM

文字の大きさ
上 下
25 / 80

第24話 ダブルデートの誘い

しおりを挟む
薄暗がりの中から人影がキラリの方へと近寄ってきた。

うっすらと蛍光灯の灯りが差してはいるものの、メンバー達は暗がりでそれが誰なのかはハッキリと見えていない。メンバー達が誰だ誰だと目を凝らして見ている。
そして徐々にその姿が明らかになってきた。

メンバーA「え?やたら身長高くない?」

メンバーE「え?ちょっと…なんか凄いイケメンっぽい……」

メンバー達はハッキリとは確信を得ないが、それがフラップ.フリーリーのヴォーカル、翼ではないかと感じ始める。が、しかし、キラリが連れて来る人がまさかあの翼だとは誰も思えず、ある一つの答えに到達する。

メンバーC「まさかと思ったら…フラップ.フリーリーの翼によく似たそっくりさんじゃね?」

メンバーB「だよねぇ~…暗いからよくわかんねーし、イケメンぽく見えるけど、案外明るい所で見たら全然似てなかったりして」

好き放題言ってるメンバー達に向かって翼が

翼「どうも初めまして、翼です」

その声を聞いた瞬間、メンバー達は凍りついた。

メンバーD「え?え?えぇ!?今の声は…確かに…」

メンバーF「やっぱり…本物の…」

メンバーG「総長!これ……どういうことすか!何で総長みたいな人があの翼を連れてこれるんすか!?」

キラリはメンバー達の反応に優越感を感じていた。

メンバーH「総長……私信じられません!だって…こんなに頭の悪い総長が…何でこんなイケメンを…いったい…どういう知り合いすか!」

メンバーA「おい、それはちょっと言い過ぎ…失礼だろ」

キラリ「いや…お前らさっきから失礼なことしか言ってねーよ…
ちょっとワケあって、いま翼は家で居候してんの。んで、その代わり私の家庭教師してくれてんの」

メンバー達はそれを聞いて更に驚いた。

メンバーC「はぁ!?家庭教師!?そ…総長…頭大丈夫すか?」

メンバーD「総長…人間諦めが肝心ってよく言いますよ?何で今さら…」

キラリ「別に今さらだって何だっていいだろ!!!私は……勉強に目覚めたんだよ…」

メンバー達は笑いの神様が降りてきたと大爆笑している。

メンバーA「あれ?ここの神社って笑いの神様の社だったっけ?」

メンバーB「総長冗談キツいって!」

キラリ「勝手に言ってろ!」

メンバーI「ところで……翼さんって……あり得ないとは思うんすけど……まさか……総長と……」

メンバー達はある疑念を抱いている。

それは翼とキラリが友達以上なのか、それともそれ以下なのかということだ。

キラリが

キラリ「んなわけ……」

そう言いかけたとき、翼はキッパリとこう答えた。

翼「付き合ってるよ。俺、キラリの彼氏だから」

メンバー達は絶句した。
正か自分達の憧れの存在が、よりにもよってこんな身近な存在と…しかも唯一自分達が優越感に浸ることの出来たはずのキラリと付き合っているなど、到底受け入れることは出来ずにいた。

その後もメンバー達はショックを隠しきれず、落胆のため息の嵐が吹いた。

集会後、キラリと翼が公園のベンチに並んで座った。

キラリ「ねぇ…翼…」

翼「ん?」

キラリ「さっき………どうしてあんなこと言ったの?」

翼「あんなこと?」

キラリ「私達が付き合ってるなんて……」

翼「あぁ……別に良いんじゃねえの?だってよ、あいつらお前が総長だってのに、皆してお前を下に見てる気がしたから。だからお前に彼氏が居るって言えばお前に花を持たせてやれるかなって…」

キラリ「………………」

翼「どうして?ダメだったか?」

キラリ「私達……付き合って無いじゃん………」

翼「まぁ、そうだな…」

キラリ「なのに……勝手なこと言うなよな!」

そう言ってキラリは立ち上がり、走り去ってしまった。

キラリ………

翼は一人取り残され、しばらくそのままベンチから動かなかった。


翼のバカやろう!どうしていつもいつもそうやって……女心をもてあそぶようなことばかりするんだよ…そういうのが返って傷付くって………どうしてわかってくれないんだよ………

キラリは切なさのあまり目から涙がこぼれ、そのしずくは風に乗って虚しく宙に舞う。


それからキラリは、翼の言葉を思い出す度に切なくなっていた。


あれが…あの言葉が現実だったらなぁ…

〝付き合ってるよ。俺、キラリの彼氏だから〟

凛花「キラリ?ねぇキラリ?」

キラリ「え?どしたの?」

凛花「それはこっちのセリフ!最近全然心ここに在らず状態でさぁ…また翼と何かあったの?」

キラリは黙っている。

凛花「ねぇキラリ………実はさぁ………私最近……二年の転校してきた男の子に告られちゃって……」

キラリ「え?」

凛花「付き合って欲しいって言われてるんだけど……まだ返事してなくてさぁ…」

キラリはそれを聞いて羨(うらや)ましくなった。

キラリ「それで?どうする気?」

凛花「うーん…その子から今度デートのお誘いがあって…それで…キラリ達とダブルデートってどうかな?って…」

キラリ「ダブルデートって…私相手居ないじゃん…」

凛花「だからぁ、キラリは翼誘ってくれないかな?って…」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

ルピナス

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の藍沢直人は後輩の宮原彩花と一緒に、学校の寮の2人部屋で暮らしている。彩花にとって直人は不良達から救ってくれた大好きな先輩。しかし、直人にとって彩花は不良達から救ったことを機に一緒に住んでいる後輩の女の子。直人が一定の距離を保とうとすることに耐えられなくなった彩花は、ある日の夜、手錠を使って直人を束縛しようとする。  そして、直人のクラスメイトである吉岡渚からの告白をきっかけに直人、彩花、渚の恋物語が激しく動き始める。  物語の鍵は、人の心とルピナスの花。たくさんの人達の気持ちが温かく、甘く、そして切なく交錯する青春ラブストーリーシリーズ。 ※特別編-入れ替わりの夏-は『ハナノカオリ』のキャラクターが登場しています。  ※1日3話ずつ更新する予定です。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

やさしいキスの見つけ方

神室さち
恋愛
 諸々の事情から、天涯孤独の高校一年生、完璧な優等生である渡辺夏清(わたなべかすみ)は日々の糧を得るために年齢を偽って某所風俗店でバイトをしながら暮らしていた。  そこへ、現れたのは、天敵に近い存在の数学教師にしてクラス担任、井名里礼良(いなりあきら)。  辞めろ辞めないの押し問答の末に、井名里が持ち出した賭けとは?果たして夏清は平穏な日常を取り戻すことができるのか!?  何て言ってても、どこかにある幸せの結末を求めて突っ走ります。  こちらは2001年初出の自サイトに掲載していた小説です。完結済み。サイト閉鎖に伴い移行。若干の加筆修正は入りますがほぼそのままにしようと思っています。20年近く前に書いた作品なのでいろいろ文明の利器が古かったり常識が若干、今と異なったりしています。 20年くらい前の女子高生はこんな感じだったのかー くらいの視点で見ていただければ幸いです。今はこんなの通用しない! と思われる点も多々あるとは思いますが、大筋の変更はしない予定です。 フィクションなので。 多少不愉快な表現等ありますが、ネタバレになる事前の注意は行いません。この表現ついていけない…と思ったらそっとタグを閉じていただけると幸いです。 当時、だいぶ未来の話として書いていた部分がすでに現代なんで…そのあたりはもしかしたら現代に即した感じになるかもしれない。

処理中です...