キラリの恋は晴れのち晴れ!

CPM

文字の大きさ
上 下
23 / 80

第22話 二人のわだかまりの行方

しおりを挟む
翼「彼女?そんなの居たことなんて一度もねぇよ…どうして?」

キラリ「さっき…喫茶店で一緒に居た人は……誰?」

翼「見てたのか?」

キラリ「じゃあ……やっぱり……」

翼「恥ずかしいところ見られちまったな……実はあの女は…」


~それから十分後~

薫は、2階から二人の笑い声が聞こえて来て微笑んだ。

あんなに殺伐とした雰囲気だったのに、今度は愉しそうに笑っちゃって…案外あの二人は気が合うのかも…



~十分前、キラリの部屋では~

翼「実はあの女は……俺の姉貴だ。」

キラリ「え……お姉さん?」

翼「あぁ、いよいよ金も底を尽きて途方に暮れてた時に電話来てさ。それで用意してもらった現金をあの喫茶店で受け取ってたんだ」

翼はそう言って手に現金を見せた。

キラリ「な…なんだよ…そういうことだったのかよ…」

キラリの心は少し軽くなったが、もう一つ翼に対してわだかまりがあった。キラリはそれを言おうか迷っている。

翼「キラリ?どうした?まだ何か言いたいことがあるんだろ?」

キラリ「翼…前にここを出ていく時……翼はファンの女とキスしてた……翼は……いつも……」

翼「ちょっ…ちょっと待てよ!キス!?キスなんかしてねぇぞ!」

キラリ「私…見ちゃったんだ…レディースのメンバーとライヴ見に行こって言って……それで会場に入れなかったからさ…

それで外を歩いてたら…翼が取り巻きに囲まれてて…

それで女が翼に抱きついてキスしたの見ちゃったんだ……」

翼「なるほどな……お前はそれであんなに怒ってたんだな?あの時の真実を教えてやるよ…
確かに酔った女が俺に抱きつこうとして迫って来たのは事実だ…だけど俺はそんな軽い女に言い寄られるのが大ッ嫌いなんだよ!だからその女を振り払ったぜ!」

キラリ「それ…本当?」

翼「あぁ、俺はお前に嘘は言わねぇ!お前は純粋な女だから、俺はお前のことは嫌いじゃねぇ。だから、俺もありのままの俺で居られる」

キラリ「翼……

あっ…私は!!!!!別に翼に彼女が居ようが、他の女にキスされようが別にどうでも良いんだよ!
ただ、もし彼女が居たならこんな別の女の家に居候してたら……私なら…二度と家には入れたく無いなって思っただけで…」

翼は立ち上がりキラリの前に立った。

翼「キラリ…


ただいま…」

翼はそう言ってキラリに手を差し出した。
キラリはその手を握り、うつ向いて目を合わさずに

キラリ「お帰り…」

と小さく一言。

翼「全く素直じゃ無いんだから!俺が帰って来て嬉しいなら嬉しいって言えよ!」

翼がおどけてそう言ったので、キラリは照れ笑いしながら

キラリ「だから全然嬉しくなんかねぇんだよ!」

そうして翼はキラリをからかい、キラリは愉しそうにムキになって怒った振りをした。

二人の中のわだかまりは全て解けた。

キラリと翼は愉しそうに薫の元へと下りてきた。

キラリ「母ちゃん、翼がどうしてもこの家が良いって言うからまた居候させてあげて!」

翼「よく言うぜ!お前こそ俺が居なくなったらピーピー泣いてんだろ?」

キラリ「はぁ!?んなわけねぇだろ!翼が居なかったら好きな時に風呂入れるし、好きな時にテレビ観れるし、良いことしかねぇよ!」

薫「キラリ!!」

キラリ「はい……」

薫「何なんだその口の聞き方は!」

キラリ「は…はい…すみません…」

薫に怒られてキラリは小さくなっていた。
翼はそれを見て肩で笑っていた。

この小山内家に久々の笑顔が戻ってきたのだった。

~その日の夜~

キラリ「ねぇねぇ翼、見てみて!」

キラリは翼が居ない間に凛花の協力のもと、一生懸命小学校の課題をこなしたのを全部広げて見せた。

翼「……………」

キラリ「翼?」

キラリは翼の顔を覗き込む。

翼「キラリ……お前は……やっぱり最高だよ……」

翼は全てを悟っていた。
キラリは必ず自分が戻って来ると信じ、その時自分にたくさん誉めてもらいたかったのだと…

翼「キラリ!!!お前はまったく最高なんだよ!」

キラリはその言葉に感極まって涙が溢れそうになるのを必死に堪えた。

キラリ「翼……」

翼「お前…よくここまで頑張れたな…これで小学校の課題は全てクリアじゃないか!」

キラリは感動のあまり翼の目を見ることが出来ない。

翼「キラリ、お前のお願いを3つ聞いてやれば良いんだな?」

キラリは嬉し過ぎて唇が震えている。

翼「キラリ?どうした?」

キラリ「うん…」

キラリは涙声になり一筋の涙を指で拭った。

キラリ「うん…一つ目は…今度レディースの集会に…一緒に来て欲しい…」

翼「わかった。次は必ず行くよ!」

キラリ「本当?」

翼「あぁ、例え予定があってもお前の約束を優先する!」

キラリ「ありがとう!!!」

翼「それで?二つ目は?」

キラリ「うーん……二つ目は~…」

キラリは少し照れて言いにくそうにしているのを見て、翼はそっとキラリの頬に手を当てて

翼「キラリは俺の可愛い教え子だよ」

そう優しく囁いた。

キラリは驚き緊張した面持ちで、顔を真っ赤に染めてはにかんでいる。

キラリ「つ…翼…あの…どうして?」

翼は優しくキラリを見つめている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

ルピナス

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の藍沢直人は後輩の宮原彩花と一緒に、学校の寮の2人部屋で暮らしている。彩花にとって直人は不良達から救ってくれた大好きな先輩。しかし、直人にとって彩花は不良達から救ったことを機に一緒に住んでいる後輩の女の子。直人が一定の距離を保とうとすることに耐えられなくなった彩花は、ある日の夜、手錠を使って直人を束縛しようとする。  そして、直人のクラスメイトである吉岡渚からの告白をきっかけに直人、彩花、渚の恋物語が激しく動き始める。  物語の鍵は、人の心とルピナスの花。たくさんの人達の気持ちが温かく、甘く、そして切なく交錯する青春ラブストーリーシリーズ。 ※特別編-入れ替わりの夏-は『ハナノカオリ』のキャラクターが登場しています。  ※1日3話ずつ更新する予定です。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

やさしいキスの見つけ方

神室さち
恋愛
 諸々の事情から、天涯孤独の高校一年生、完璧な優等生である渡辺夏清(わたなべかすみ)は日々の糧を得るために年齢を偽って某所風俗店でバイトをしながら暮らしていた。  そこへ、現れたのは、天敵に近い存在の数学教師にしてクラス担任、井名里礼良(いなりあきら)。  辞めろ辞めないの押し問答の末に、井名里が持ち出した賭けとは?果たして夏清は平穏な日常を取り戻すことができるのか!?  何て言ってても、どこかにある幸せの結末を求めて突っ走ります。  こちらは2001年初出の自サイトに掲載していた小説です。完結済み。サイト閉鎖に伴い移行。若干の加筆修正は入りますがほぼそのままにしようと思っています。20年近く前に書いた作品なのでいろいろ文明の利器が古かったり常識が若干、今と異なったりしています。 20年くらい前の女子高生はこんな感じだったのかー くらいの視点で見ていただければ幸いです。今はこんなの通用しない! と思われる点も多々あるとは思いますが、大筋の変更はしない予定です。 フィクションなので。 多少不愉快な表現等ありますが、ネタバレになる事前の注意は行いません。この表現ついていけない…と思ったらそっとタグを閉じていただけると幸いです。 当時、だいぶ未来の話として書いていた部分がすでに現代なんで…そのあたりはもしかしたら現代に即した感じになるかもしれない。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

処理中です...