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第13話 キラリの九九…
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翼「先ずは小3の勉強からな。ここは頼むから一気に進んでくれよ!こんなのレベル1の敵だ!お前の攻撃力なら会心の一撃で遥か彼方までぶっ飛ばせるはずだ!」
キラリ「一年からじゃ無かったの?」
翼「んー…さすがに小1だと足し算引き算だろ?そっからやるのは正直俺もしんどいからさぁ~、やっぱり小3ぐらいからの方がいいかなと思ってな」
キラリ「わかった。じゃどんどんやろ!」
こ…こいつ…なんか急にギア上げて来たな…さっきまであんなにふてくされていたのに…
翼「お前はきっと算数が苦手分野だと思うから、ここを重点的にやろうか!」
キラリ「んー…どうかな?ハッキリ言って全部苦手なんだけど…」
翼「で…ですよねぇ~…」
翼は小3の算数ドリルをキラリの目の前に広げた。
翼「さぁ、先ず一ページ目めくってみて。九九はわかるよな?」
キラリ「うん、わかるよ!」
翼「じゃあ5×1が?」
キラリ「5」
翼「5×2?」
キラリ「10!!」
翼「5×3?」
キラリ「15!!」
翼「7×8?」
キラリ「20!!!」
翼「……………」
キラリ「え?違う!?」
翼「7×8だぞぉ~?」
キラリ「あっ…そっか…えーっと~…58!!!」
翼「……………キラリ?7の段って言えるか?」
キラリ「うん。7×1が7、7×2=14、7×3=21、7×4=28、7×5=36、7×6=44…」
翼「おぉ…おぉ…おぉ…ちょっと待て!それ、お前の九九か?」
キラリ「いや…私のってわけじゃないけど…」
翼「じゃあ誰のだよ?」
キラリ「え?九九ってその人その人によって違うの!?」
翼「んー…まぁ…時と場合によってはそうなっちまうな…」
キラリ「そうなんだぁ!知らなかった!」
翼「そっか…今の意味を理解出来なかったワケだな…俺からすりゃ、お前がラスボスだな…」
キラリ「は?何ワケわかんないこと言ってんの?」
翼「いや…俺はお前のボケに太刀打ち出来るだけの武器を持ち合わせていなかったってことだ…
んー…先ず九九から覚えような…」
キラリ「うん!」
翼は悟った。キラリはまだ小学生低学年と一緒なんだと。その低学年の子に勉強を教える目線まで下げれば何も辛いことは無いのだ…
こうしてキラリのレベルは上がらない代わりに翼の経験値が増えてレベルが上がった。
それから翼はキラリを見る目を可愛い子供を見る視点に切り替えて、優しく諭(さと)すように勉強を見てやった。
キラリもこのマンツーマンの家庭教師との時間を満喫し、小3の算数のドリルを3日かかって一冊全て解けるようになった。
キラリ「ねぇ翼!約束通り何でもお願い聞いてくれるんだよねぇ?」
翼「キ…キラリ…1学年の1科目毎に聞いてたら、いったいお前の願いは最後どこまで膨らむんだよ?そうじゃ無くて、1学年全ての科目をクリアしたら報酬としてってことにしようぜ?」
キラリ「えぇ~…そんなの待ってたら私がおばあちゃんになっちゃうじゃん…」
翼「い…いや…そこは卒業するまでに普通の高校生レベルまで達してくれ…た…頼む…」
キラリ「うーん…わかった…頑張る…」
翼「良かった…何とか聞き分けてくれて…」
キラリ「その代わり明日の土曜日はウチのレディースの集会に一緒に来てくれる?」
翼「それって…最初の成功報酬の前倒しってことで良いか?」
キラリ「は?だからさっき算数クリアしたから、その報酬に…」
翼「…そっか…そっかぁ…さっきの俺の説明は…何も無かったってことな…うーん…そっか…そっか…」
翼の心の中でカラスが夕日を背に虚しくカァー…カァー…と鳴きながら飛びさって行った。
翼「あっ…俺は明日の夜用事あって居ないからな!悪いけど一人で勉強頼むぞ!」
キラリ「え?用事って?どこ行くの………」
翼「ちょっと仲間と集まりがあるんだよ」
キラリ「……………そうなんだ」
キラリは家庭教師との甘い時間に幸せを感じていた為、急に一人ぼっちになる寂しさと、翼が誰と約束をしたのかという不安で、居ても立ってもいられなくなっていた。
キラリ「じゃあ…一つ目のお願い変える…」
キ…キラリ…だから一つ目って…まだ…
ま、いっか…一応聞くだけ聞いてみよう…
翼「何だよ…」
キラリ「明日私を一人にしないで…」
翼「えぇ!?んなこと言われても…俺にとっては凄く大事な用事で…悪いけどそれはちょっとな…」
キラリ「……………」
翼「キラリ?」
キラリが下を向いて目を合わそうとしない。翼が見るに見かねてキラリの頭を優しく撫でた。
翼「キラリ…ほんとごめん…明日はマジで俺が居ないとダメなんだよ…」
キラリ「……………
わかった………
行っていいよ…」
そう言ってキラリはくるりと後ろを向いてしまった。キラリのその哀愁漂う後ろ姿に、翼はかける言葉が見つからない。
キラリ「翼…今日はもう疲れたから寝ていい?」
翼「キラリ…」
翼はキラリの背中に〝おやすみ〟と声をかけてキラリの部屋を出た。
キラリは寂しさをまぎらわす為にレディースメンバーにLINEで一斉送信した。
〝明日の夜20時、いつもの場所で集会やるからきてね!〟
キラリ「一年からじゃ無かったの?」
翼「んー…さすがに小1だと足し算引き算だろ?そっからやるのは正直俺もしんどいからさぁ~、やっぱり小3ぐらいからの方がいいかなと思ってな」
キラリ「わかった。じゃどんどんやろ!」
こ…こいつ…なんか急にギア上げて来たな…さっきまであんなにふてくされていたのに…
翼「お前はきっと算数が苦手分野だと思うから、ここを重点的にやろうか!」
キラリ「んー…どうかな?ハッキリ言って全部苦手なんだけど…」
翼「で…ですよねぇ~…」
翼は小3の算数ドリルをキラリの目の前に広げた。
翼「さぁ、先ず一ページ目めくってみて。九九はわかるよな?」
キラリ「うん、わかるよ!」
翼「じゃあ5×1が?」
キラリ「5」
翼「5×2?」
キラリ「10!!」
翼「5×3?」
キラリ「15!!」
翼「7×8?」
キラリ「20!!!」
翼「……………」
キラリ「え?違う!?」
翼「7×8だぞぉ~?」
キラリ「あっ…そっか…えーっと~…58!!!」
翼「……………キラリ?7の段って言えるか?」
キラリ「うん。7×1が7、7×2=14、7×3=21、7×4=28、7×5=36、7×6=44…」
翼「おぉ…おぉ…おぉ…ちょっと待て!それ、お前の九九か?」
キラリ「いや…私のってわけじゃないけど…」
翼「じゃあ誰のだよ?」
キラリ「え?九九ってその人その人によって違うの!?」
翼「んー…まぁ…時と場合によってはそうなっちまうな…」
キラリ「そうなんだぁ!知らなかった!」
翼「そっか…今の意味を理解出来なかったワケだな…俺からすりゃ、お前がラスボスだな…」
キラリ「は?何ワケわかんないこと言ってんの?」
翼「いや…俺はお前のボケに太刀打ち出来るだけの武器を持ち合わせていなかったってことだ…
んー…先ず九九から覚えような…」
キラリ「うん!」
翼は悟った。キラリはまだ小学生低学年と一緒なんだと。その低学年の子に勉強を教える目線まで下げれば何も辛いことは無いのだ…
こうしてキラリのレベルは上がらない代わりに翼の経験値が増えてレベルが上がった。
それから翼はキラリを見る目を可愛い子供を見る視点に切り替えて、優しく諭(さと)すように勉強を見てやった。
キラリもこのマンツーマンの家庭教師との時間を満喫し、小3の算数のドリルを3日かかって一冊全て解けるようになった。
キラリ「ねぇ翼!約束通り何でもお願い聞いてくれるんだよねぇ?」
翼「キ…キラリ…1学年の1科目毎に聞いてたら、いったいお前の願いは最後どこまで膨らむんだよ?そうじゃ無くて、1学年全ての科目をクリアしたら報酬としてってことにしようぜ?」
キラリ「えぇ~…そんなの待ってたら私がおばあちゃんになっちゃうじゃん…」
翼「い…いや…そこは卒業するまでに普通の高校生レベルまで達してくれ…た…頼む…」
キラリ「うーん…わかった…頑張る…」
翼「良かった…何とか聞き分けてくれて…」
キラリ「その代わり明日の土曜日はウチのレディースの集会に一緒に来てくれる?」
翼「それって…最初の成功報酬の前倒しってことで良いか?」
キラリ「は?だからさっき算数クリアしたから、その報酬に…」
翼「…そっか…そっかぁ…さっきの俺の説明は…何も無かったってことな…うーん…そっか…そっか…」
翼の心の中でカラスが夕日を背に虚しくカァー…カァー…と鳴きながら飛びさって行った。
翼「あっ…俺は明日の夜用事あって居ないからな!悪いけど一人で勉強頼むぞ!」
キラリ「え?用事って?どこ行くの………」
翼「ちょっと仲間と集まりがあるんだよ」
キラリ「……………そうなんだ」
キラリは家庭教師との甘い時間に幸せを感じていた為、急に一人ぼっちになる寂しさと、翼が誰と約束をしたのかという不安で、居ても立ってもいられなくなっていた。
キラリ「じゃあ…一つ目のお願い変える…」
キ…キラリ…だから一つ目って…まだ…
ま、いっか…一応聞くだけ聞いてみよう…
翼「何だよ…」
キラリ「明日私を一人にしないで…」
翼「えぇ!?んなこと言われても…俺にとっては凄く大事な用事で…悪いけどそれはちょっとな…」
キラリ「……………」
翼「キラリ?」
キラリが下を向いて目を合わそうとしない。翼が見るに見かねてキラリの頭を優しく撫でた。
翼「キラリ…ほんとごめん…明日はマジで俺が居ないとダメなんだよ…」
キラリ「……………
わかった………
行っていいよ…」
そう言ってキラリはくるりと後ろを向いてしまった。キラリのその哀愁漂う後ろ姿に、翼はかける言葉が見つからない。
キラリ「翼…今日はもう疲れたから寝ていい?」
翼「キラリ…」
翼はキラリの背中に〝おやすみ〟と声をかけてキラリの部屋を出た。
キラリは寂しさをまぎらわす為にレディースメンバーにLINEで一斉送信した。
〝明日の夜20時、いつもの場所で集会やるからきてね!〟
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