キラリの恋は晴れのち晴れ!

CPM

文字の大きさ
上 下
2 / 80

第1話 居候

しおりを挟む
キラリ「なぁ、とりあえず名前教えてくれよ…ウチの親に事情説明するにもある程度あんたのことを知っておかないと…」

翼「俺は翼、大学生さ。家を飛び出してとりあえずカード持ってるから生活には困らないと思ったら、親父のやつがカード止めやがってよぉ…お前のお陰で命拾いしたぜ!」

キラリ「カード!?お前…カードで飯喰ってんのか!?」

翼「カードで飯喰ってる!?それどういう意味だよ…」

キラリ「ト…トランプ…とかか?」

翼「はっ!?トランプ!?何言ってんだお前…現金の代わりにカードで銀行から引き落としてもらう方のカードだよ…」


キラリ「そっ…そうだよな…そうだと思ったよ…そ…それに…だっ…大学生!?てっきりホストとかで働いてんのかと思った…」

翼「何でそう思うんだよ?」

キラリ「い…いや…その…」

めちゃくちゃケメンで、背も高いし…こういうやつがホストとかやるのかなって…

翼「お前は?お前の名前教えてくれよ?」

キラリ「わ…私はキラリ…誰もが羨(うらや)む美少女女子高生!」

翼「美少女…へぇ…」

翼はわざと きらりに軽蔑の眼差しを向ける。

キラリ「なっ…何だよその反応…み…みんな私のことを美少女って言ってくれるけど…」

翼「それはきっとお前のことが怖くて気を遣ってるだけじゃねぇの?」

キラリ「はぁ!?お前けっこうズバズバものを言ってくる奴だなぁ!しっ…失礼だぞ!乙女心が傷つくだろ!」

翼「だって…美少女…?ふーん…乙女…へぇ…」

翼はからかってはいるが、実際のところ、キラリはなかなかの美少女と言って過言ではない。喋らなければ普通にモテるレベルなのだが…

キラリ「お…お前こそあれだろ!あの…ムダに背が高くてムダに顔が整っていて…それでそれで…ムダにスタイルとか良くて…お前こそ最悪だろ!」

翼「は?お前…それさっきから誉め言葉ばっかりにしか聞こえねぇけど?」

キラリ「いや…だから…まだあるぞ!そうだ!お前はムダに性格が悪い!そう!どうだこれ!これは悪口だろ?」

翼「俺のどこが性格悪いって言うんだよ!」

キラリ「そ…それはだなぁ…」

翼「もうわかったわかった…つまりお前からしたら容姿端麗で素敵だよ!って遠回しに言いたいんだろ?もうわかったから早くお前ん家行くぞ!もう腹へって仕方ねぇよ…」

キラリ「ちょっ…ちょっと待て!そんなことは言って無いし!まだ言いたいことは山ほど…」

翼はキラリを無視して歩きだした。

キラリ「ちょっと待てって!」

翼「何だよ?まだ誉め足りないのか?」

キラリ「ちっ…違う…家はこっちだ!」

キラリは翼の進んでいく反対方向を指差した。

二人は駅の方へと歩きだした。

キラリ「一つ言っておくぞ!ウチの母ちゃんはめちゃくちゃ怖いからな!ちゃんと挨拶とか言葉遣いとか気を付けないとブッ飛ばされるぞ!」

翼「ふーん…お前の母さんが?お前がそんなんなのに?」

キラリ「家では私だって…ちゃんとしてんだよ…父ちゃんはわりと優しいけど…あっ!でも、父ちゃんはかなりヤバイレベルで頭悪いから気を付けろよ!」

翼「おっ…お前に言われる親っていったいどんなハイレベルなんだよ!?」

キラリ「はぁ!?それどういう意味だよ!お前に私の何がわかるんだよ!?勉強はまぁ…いつも◯貰ってるけど…」

翼「マル!?マル貰って何が悪いんだよ!?」

キラリ「それはつまり…一番上に◯貰ってるから…」

翼「それってもしかして…テストがいつも0点ってことか!?お前…」

翼は口をあんぐりと開けて手を当てて驚いている。

翼「お…お前…よくそれで高校生やってられるな…」

キラリ「世の中上手く渡らなきゃ!」

翼「世の中上手く!?」

キラリ「そんなことより、電車で帰るんだけど…電車賃ある?」

翼「だから俺は一円も持ってねぇよ!とりあえず電車賃出しといてくれよ!」

キラリ「えぇ!?私定期だし…現金とか持たされて無いから…」

翼「どうしてだよ?」

キラリ「誰かにお金無いから貸してって言われたら…すぐに渡しちゃって返って来ないから…」

翼「別に取り立てに行きゃ良いだけだろうが?」

キラリ「だって…いつも知らない人から言われるからさぁ…返してって言いにいけない…」

翼はどういうことなのかイマイチ理解出来なかった。

翼「何でそんなに知らない人から金貸せって言われんだよ?」

キラリ「うーん…わかんないけど、母ちゃんが言うにはカモられてんじゃないの?って…ねぇ…翼…私カモられてんのかなぁ?」

翼「そ…そりゃ普通はそんなに知らない人から金貸せって言われることは無いからなぁ…当然カモられてるとしか考えられねぇよな…」

キラリ「そっかぁ…じゃ…じゃあ翼?カモられるってなぁに?」

そっからかぁ…コイツはちょっとキツいなぁ~…

翼は居候する場所を間違えたと後悔していた。

結局電車には乗れないので二人はタクシーでキラリの家に到着した。キラリはタクシー代金を母親に払って貰う為にインターホンで呼んだ。

キラリ「母ちゃん?ちょっと来て!」

少ししてから玄関のドアが開いて母親、薫(かおり)が顔を出した。

薫「あら、キラリお帰り!どしたの!?」

キラリ「電車に乗れないからタクシーで帰って来た。だからお金払って?」

薫「電車に乗れないって…まさかあんた…電車の乗り方も忘れたの?」

キラリ「んなワケ…ちょっと訳ありなんだ。とりあえずタクシー代お願いしまーす」

薫は訳がわからずタクシーの運転手にお金を払って戻ってきた。

薫「で?そこの俳優さんみたいなイケメンは誰?」

キラリ「あっ…ちょっとそこで知り合った人で…帰る場所が無いからしばらく家で…」

薫「ま、とにかくここでは何だから上がって」

そう言って三人は家のリビングに入っていった。リビングテーブルの椅子に腰をかけて

翼「キラリの母さんウィーッス!」

キラリは翼の挨拶に背筋が凍った。

バッ…バカ!あれほど言葉に気を付けろって言ったのに!

ところが薫は意外な反応を示す。

薫「ウィーッス!」

え!?えぇ!?どゆこと!?何で母ちゃんいきなりダチになってんの?

翼「今日からここの家にお世話になります翼です!よろしく!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

やさしいキスの見つけ方

神室さち
恋愛
 諸々の事情から、天涯孤独の高校一年生、完璧な優等生である渡辺夏清(わたなべかすみ)は日々の糧を得るために年齢を偽って某所風俗店でバイトをしながら暮らしていた。  そこへ、現れたのは、天敵に近い存在の数学教師にしてクラス担任、井名里礼良(いなりあきら)。  辞めろ辞めないの押し問答の末に、井名里が持ち出した賭けとは?果たして夏清は平穏な日常を取り戻すことができるのか!?  何て言ってても、どこかにある幸せの結末を求めて突っ走ります。  こちらは2001年初出の自サイトに掲載していた小説です。完結済み。サイト閉鎖に伴い移行。若干の加筆修正は入りますがほぼそのままにしようと思っています。20年近く前に書いた作品なのでいろいろ文明の利器が古かったり常識が若干、今と異なったりしています。 20年くらい前の女子高生はこんな感じだったのかー くらいの視点で見ていただければ幸いです。今はこんなの通用しない! と思われる点も多々あるとは思いますが、大筋の変更はしない予定です。 フィクションなので。 多少不愉快な表現等ありますが、ネタバレになる事前の注意は行いません。この表現ついていけない…と思ったらそっとタグを閉じていただけると幸いです。 当時、だいぶ未来の話として書いていた部分がすでに現代なんで…そのあたりはもしかしたら現代に即した感じになるかもしれない。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

ルピナス

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の藍沢直人は後輩の宮原彩花と一緒に、学校の寮の2人部屋で暮らしている。彩花にとって直人は不良達から救ってくれた大好きな先輩。しかし、直人にとって彩花は不良達から救ったことを機に一緒に住んでいる後輩の女の子。直人が一定の距離を保とうとすることに耐えられなくなった彩花は、ある日の夜、手錠を使って直人を束縛しようとする。  そして、直人のクラスメイトである吉岡渚からの告白をきっかけに直人、彩花、渚の恋物語が激しく動き始める。  物語の鍵は、人の心とルピナスの花。たくさんの人達の気持ちが温かく、甘く、そして切なく交錯する青春ラブストーリーシリーズ。 ※特別編-入れ替わりの夏-は『ハナノカオリ』のキャラクターが登場しています。  ※1日3話ずつ更新する予定です。

処理中です...