伝説の男、黒崎天斗!

CPM

文字の大きさ
上 下
32 / 51

伝説の男、黒崎天斗!第32話

しおりを挟む
「それが面白いことに…伝説の男のハゲ武者だとか言われてるって…わけがわからんよな…」

そこで小山内が横から

「ハゲ武者じゃねーよ、それを言うなら落武者だ!」

薫が

「確かに落武者はイメージ的にはハゲ武者って感じだから当たらずとも遠からずだけど…どっちも違う…」

「え?違う?じゃ、何?かおりちゃん…」

「影武者…」

俺は前に駅で誰かが噂してた話を思い出す。俺が…あの伝説の男の影武者…こんな弱っちい男だった俺が…

「でも、変だよな…ここに本物が居るのに何で影武者とか言われるんだ?誰か偽物が本物のフリしてんだろ?そっちが影武者じゃねーか?」

清原が言った。


一方、天斗に破れた石田は

「アイツ…絶対許せねぇ…あの黒崎ならまだしも…何であんな雑魚に俺が…」

「石田君…」

「石田さん…あれから巷では色んな噂が…」

「うるせぇ!あのときはちょっと油断してただけだ…次はあんな奴には負ける気がしねぇよ…」

「石田君…やっぱあんたはそうこなくちゃ!」

ここは石田達がいつも集まるアジト。そこへ
ガチャ…
ドアが開き人影が…

「誰だ?」

「よぉ、久しぶりだな…随分派手にやられたみたいだな」

そこに現れたのは伝説の男、黒崎天斗だった。

「てめぇ!何しに来やがった!」

「いや、俺の女拐(さらって)って汚ぇ真似してどこぞの何ちゃらに敗北をきっした惨めな野郎を一目拝んでおこうと思ってな…」

「てめぇ!石田さんをそれ以上侮辱すると許さねぇぞ!」

「ほう!どう許さないのかな?」

「……………」

「お前よぉ、俺には女なんて居ねぇぞ?どこからそんなガセネタ拾ってきたんだよ…お前らの情報網も大したことねえなぁ…石田、お前の挑戦ならいくらでも受けてやるよ!だがな、俺が唯一許せねぇのは関係無い奴まで拐って汚ぇ手を使う、その泥にまみれた根性だ!勝ちゃ良いってもんでもねぇだろ?それじゃお前の名前をお前が汚してるってことだぞ?俺がただ一人認めた男がそんな小せぇ奴だったってガッカリさせんなよ…本物の男なら、仲間たちにもその器を見せてやれ!じゃなきゃ、お前の仲間が可哀想だろ?」

「黒崎…うるせぇ!俺に説教するな!お前の指図なんか受けねぇ…」

黒崎は石田の表情を見て何かを察した。

「フン、流石だな!それでこそ俺が認めた男だぜ!それだけ言いに来た…じゃあな!」

黒崎…てめぇ…なんかムカつく…何もかもが格好良すぎるてめぇが…すげぇムカつく…器を…見せる…たしかに…俺はお前にやられてから仲間たちにダセぇ所ばかり見せてきたのかも知れねぇ…俺は…弱くなっちまったのかも知れねぇ…心が腐ってたのかも知れねぇ…悔しいが…お前のお陰で…そしてあの雑魚に敗北したお陰で…見失ってたものをもう一度取り戻せそうな気がする…這い上がろう…こいつらの為にもう一度…

「石田君!あんな奴の言うこと気にする必要ねぇッスよ!」

「なぁ…次は必ず成し遂げよう…あの男の器を超えるために…今度は俺達があの男を倒す!」

「石田さん!格好良いぜ!俺達はずっとあんたに付いてくよ!」

この石田の不屈の闘志に仲間たちは惚れていた。何度打ちのめされても強敵黒崎に立ち向かう姿を…そして、石田は更なる高みを目指す…


2月に入って寒さのピークを迎える。理佳子と本田麻衣はバレンタインデーに向けてデパートへ買い物に出かけた。

「理佳子、黒崎君にね…この前、もし理佳子に何かあったらすぐに連絡欲しいって番号教えられてたの。きっと黒崎君…何か虫の知らせみたいのがあったんだと思う」

「…そうなんだ。あんなに早く助けに来てくれたのが不思議だったんだ…あのときは…凄く怖くて…もう絶対私助からないって思って…」

理佳子の中でその時のトラウマは今でも残っている。思い出すと自然と涙がわき上がる。

「黒崎君…男らしいね…私の知ってる黒崎君は、凄く弱くて理佳子を守ってやれるような人じゃ無かったイメージだったのに…」

「うん…転校してから…何かたかと君変わっちゃったみたいで…優しさは変わらないんだけど…あんなに恐い顔見たこと無かったから…」

「でも、そのお陰で理佳子は何もされずに助かったんでしょ?私の彼なんか、そういう状況だったら絶対私を助けられないと思う…私が言うのもなんだけど…顔は超イケメンだし、凄く優しい…でも、やっぱり男なら守って欲しいなぁって思う…」

「麻衣…私だってそこは感謝してる…たかと君が居なかったら、あの時私は…想像するだけで怖い…でも…たかと君が遠くに感じちゃって…」

「ねぇ理佳?たしかに黒崎君は向こうの環境で何か変化があったのかも知れない…でも、やっぱり黒崎君は黒崎君だよ?理佳子を一途に思ってるからこそ、心配して私に託したってことでしょ?」

「そうなんだけど…」

「だったら別に理佳子が心配に思うことは無いんじゃない?理佳子は全てを知ってなくちゃ気が済まないの?」

「そ…そういうわけじゃ…」

「だったら、黒崎君の全てを受け入れてあげるべきじゃん!理佳子の知ってる黒崎君も、今の黒崎君も、全部同じ人間なんだから、理佳子は全て包んであげるべきじゃない?」

「麻衣…」

たしかにそうよね…たかと君は何一つ私に対して変わった所はない…私をずっと大切に想ってくれてるし、私を大事にしてくれてる…変わったのだって、私の為にたかと君自身がいろいろ悩んで、苦労して強くなったんだもんね…それを私が不信感抱いちゃったら…たかと君がかわいそうだよね?

「そうだね、麻衣ありがと!」

「何か吹っ切れたみたいだね」

「うん、ずっと妬んでたかも知れない…私の従姉妹に…でも、たかと君は何一つ変わったわけじゃない!私に対する気持ちが一番大事だもんね!」

「ハハッ、いつもの理佳子に戻った!ヨシヨシ」

そう言って本田麻衣は理佳子の頭を撫でた。


2月14日、世の中はバレンタインデーという、女子が男子に想いを伝える絶好の機会…しかし、この日天斗達が通う学校ではオープンスクールという、言わばこれから入学予定の子達が事前に学校見学する行事が行われている日だった。この行事は秋に一度行われていて、進路選択の為に催されたが、再度進路が決まって仮登校的な希望者の生徒達の為に開かれるものだった。この日は土曜日なので学校は休校しているが、二年生の各クラスから数名ずつ手伝いとして駆り出されるのが恒例だった。小山内は、成績評価が低いため自分の内申評価を上げるために自らこの手伝いに参加した。そして薫は小山内の天然ぶりが心配で付き添いとなり、天斗も小山内の道連れとして付き合わされることになった。

「小山内…今日はバレンタインデーなんだぞ?よりにもよってこんな日にこんな面倒な行事に参加することねぇだろ?」

「黒ちゃん…俺がもし進級出来なかったら黒ちゃん寂しくねーのか?俺は黒ちゃんが居ないクラスなんて居たくねぇよ!」

小山内…お前の本心は重森の居ないクラスが嫌だってことだろ?俺をだしにすんじゃねぇよ…

「これで俺の内申が上がって有利になるなら、黒ちゃんだって嬉しいだろ?」

「はいはい、そうでしたそうでした…」

「そろそろ見学会に来る頃じゃない?」

薫が言った。そこに担任の田中先生が歩いてくるのが見えた。

「おぉ、おはよう、今日は休みのところ悪いな。宜しく頼む」

「先生!僕は内申の為なら何でもやります!だから、絶対進級させてください!」

お…小山内…それはちょっと直球過ぎねぇか?

「小山内…お前の熱い想いはわかるが、もう少し頑張らないとちょっと難しいぞ。でも、最近お前少しテストの点数上がってきてるな…頑張りは先生も評価してるぞ!」

そりゃそうだろうよ…いつも上手いこと重森がテストの度に小山内をサポートしてるんだからな…

「はい!先生、俺凄く頑張ってますから…だから絶対に…」

「わかったわかった。まぁ、今日のお前の頑張り次第でちゃんと考えておくから…」

「はい!先生、俺頑張ります!」

その時職員室の方へぞろぞろと中学生達が歩いてくるのが見えた。

「おっ!早速お見えになったぞ。くれぐれも恐がらせ無いようにな!」

「はい!上官!」

天斗達の他にも各クラスのお手伝いが集まってきてお互い挨拶を交わす。

「宜しくお願いしまーす。宜しくお願いしまーす。」

「はい、おはよう、宜しくねぇ~」

そして各クラスの協力者が役割分担をして部活動や、教室、それぞれを人数を割って案内する。天斗、小山内、薫は部活動案内に見学者達を引率し歩き出す。

「ねぇねぇ、あの人だよ…黒崎さんって噂の人…」

「だよね、だよね?すっごいドキドキする!」

「本物だよ、本物…」

「ここに来るのが待ち遠しい…」

「私、強い人大好き…」

「あの人凄く優しいんだって…」

「なぁ、後ろ随分ザワサワしてんなぁ…もしかして…俺のこと…」

小山内はありもしない自分への視線にニヤニヤしていた。


時はさかのぼり2月13日の夜

「あっ、おばさん?理佳子です」

「あらぁ、理佳ちゃん久しぶりねぇ~!元気だった?」

「はい、おばさんはお変わり無いですか?」

「ありがとう!理佳ちゃんはほんとに可愛いわねぇ~」

「あの…おばさん…明日、たかと君には内緒でそっちに行こうと思ってるんです…あの…サプライズでバレンタインに…」

「まぁ!なんて健気な…理佳ちゃんのそういうところ好きよ!」

「ありがとうございます。では、明日宜しくお願いします」

「はいはい、おばさんも楽しみにしてるわ!それじゃあね」

「お休みなさい、おばさん」

「はい、お休み」

そしてバレンタイン当日午前11時
ピンポーン
黒崎家の家のチャイムが鳴り天斗の母は玄関を開け理佳子を出迎えた。

「こんにちは、おばさん!」

「こんにちは、よく来たわね!さぁ上がってちょうだい」

母と理佳子はリビングのソファーに腰をかける。

「理佳ちゃん、ごめんねぇ…天斗は今日、突然学校に出かけちゃったのよぉ~…何でも新入生を迎える為の行事だとか言って…多分そんなに遅くならないとは思うんだけど…理佳ちゃんのことを言うわけにもいかなかったから…」

「そうですか。でも、おばさんが居るから全然大丈夫ですよ!」

「あらぁ…もうおばさん嬉しくて嬉しくて、涙が出ちゃう!」

そう言って二人は笑った。

「あの、これ良かったら…」

そう言って理佳子が差し出したものは地元で有名なケーキ屋さんの人気商品だった。

「あらぁ!これおばさん大好きなのよ!懐かしいわぁ。ありがとう!後で皆で頂きましょ!」

二人はしばらく女子トークに花が咲いた。

「あぁ、楽しい!理佳ちゃんと居るとおばさん一日中飽きないわ!」

「私もおばさんと話すの楽しいです!」

「ありがとう、こんなおばさんにそんな嬉しいこと言ってくれて、理佳ちゃんほんと優しいわね」

「おばさん、私のお母さんもたかと君のことを凄く気に入ってて、たかと君ならって言ってます。たかと君優しいし、人当たりが良いから…」

「ねぇ…理佳ちゃん…正直…天斗と…将来のこととか考えてくれたりするの?」

「おばさん…それは…私も出来ればたかと君以外の人は…考えたくありません…でも、たかと君のことは…私には…」

「天斗はねぇ~…男だからあんまりそういうことは口にしないけど…親だからわかることがあるの…あの子ねぇ………」

天斗の母はニヤニヤしながら理佳子を見つめて

「理佳ちゃん以外に今まで全く女気がなくて…あの子はてっきり女の子には興味が無いのかとさえ思うこともあって…でも、あの子の目を見てると人生で初めて生きる目的を見つけたような…心の底から理佳ちゃんのことを一途に想ってるんだと思うの…」

「おばさん…本当にそうでしょうか?もしそうだとしたら…凄く嬉しい…」

理佳子は胸が熱くなるのを感じていた。たかと君…大好き…早く帰って来て…早く会いたい…
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。 そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。 凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。 「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」 「気にしない気にしない」 「いや、気にするに決まってるだろ」 ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様) 表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。 小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。

Bグループの少年

櫻井春輝
青春
 クラスや校内で目立つグループをA(目立つ)のグループとして、目立たないグループはC(目立たない)とすれば、その中間のグループはB(普通)となる。そんなカテゴリー分けをした少年はAグループの悪友たちにふりまわされた穏やかとは言いにくい中学校生活と違い、高校生活は穏やかに過ごしたいと考え、高校ではB(普通)グループに入り、その中でも特に目立たないよう存在感を薄く生活し、平穏な一年を過ごす。この平穏を逃すものかと誓う少年だが、ある日、特A(特に目立つ)の美少女を助けたことから変化を始める。少年は地味で平穏な生活を守っていけるのか……?

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

黒崎天斗!伝説へのプロローグ

CPM
青春
伝説の男と謳われた高校生の黒崎天斗(くろさきたかと)が突如姿を消した伝説のレディース矢崎薫(やざきかおり)との初めての出会いから別れまでを描くもう一つのエピソード! なぜ二人は伝説とまで言われたのか。黒崎天斗はどういう人物だったのか。本編ではあまり触れられることの無かった二人の歴史…そして矢崎透(やざきとおる)の強さがここに明かされる。

処理中です...