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お兄ちゃん、流される
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ぐちゅ
粘着質な音が耳を刺激する。
存在を主張するように太ももの付け根を擦られて、息が詰まった。
今俺は、兄弟にしてはあり得ない距離感で、ヒロトの熱を感じていた。
(…何を間違えて、こんな状況に?)
答えなんて分かるはずもなかった。
「ヒロト、やばいって!」
「静かに」
「んな無茶な……ぁう」
下げられたトランクスの隙間がみっちりとヒロトのモノで埋められ、擦られる度にゾワゾワとした快感が背筋を駆け上がる。
必死に手で口を覆うが、揺れが酷くて漏れる声が抑えられない。
(どうしよう……処理を手伝うってだけなのに、俺まで釣られてる)
何故か『そもそも処理を手伝うって可笑しくない?』なんて、当たり前の疑問も浮かばなかった。
ヒロトの荒い息を頸に受けて、脳の奥がじんわりと熱くなっていく。
無意識に、ヒロトの動きに合わせて下半身を捩らせたその時。
「カナタ~!今日雨降るってよ」
「折り畳み傘、持とうね」
ツキとソラがこちらに軽く視線を流した。
そう、カウンター越しにバッチリと目が合ってしまったのだ。
(……あ、人生終わった)
「あれ?ヒロト兄さん起きてきたの」
「……何してるの」
「よう、おはよう。カナタのエプロン直してやってんの」
(あれ、バレてない……っ?!)
カウンターで視界が遮られているからか、ヒロトに何をされているかも勘付かれていないようだ。
休止に一生を得た、と安心したのも束の間。
軽く身体を揺らしながら事もなげに話し始めるヒロトに仰天する。
(嘘だろ、何考えてるのヒロトの奴?!)
あまりの事に声をあげそうになったが、唇を強く噛んでなんとかやり過ごす。
「それもうボロボロだもんね、今日僕たちが買ってくるから」
「夜ご飯、楽しみ」
「……っん、ありがと」
優しい眼差しでこちらを見る2人に、罪悪感が募る。
(頼むから見ないで、見ないでくれ……!)
「……ッ!」
そんな感情に苛まれながらも身体は正直で、与え続けられる刺激にあっという間に果てた。
ヒロトの熱も後を追うように放たれて、エプロンと足をじっとりと濡らしていく。
つぅ、と脛を流れ落ちる液体は妙に熱く肌に纏わりついた。
「カナタ、具合悪い?」
「え、あと、大丈夫!」
「もしかして二日酔いなんじゃないの~?お酒もほどほどにしなよ!」
も~!と文句を言いながら、テレビに向き直る2人。
(く、首の皮一枚繋がった……)
俺はあらゆる緊張から解放されて、思わずキッチンに凭れ掛かる。
「邪魔が入ったな」
「ヒ~ロ~トォ~?!もう2度とキッチンに入るなよ!」
「ごめんって。明日の掃除担当、追加でやるからさ」
謝罪の意味も込めてなのか、ヒロトが甲斐甲斐しく後片付けを始める。
ウェットティッシュで敏感になったままの足を拭う感触……これだけでも変な気分になりそうだ。
「これ兄弟でやることじゃないよ、本当に」
「俺はカナタだからやってるんだけど」
「……へ、どういう意味?」
問い直しても、片眉を僅かに上げるだけで何の返答もない。
(ヒロトの癖だ。きっと今俺のこと小馬鹿にしてるはず)
俺だから?特別太腿が柔らかい訳でもない。至って普通の男の肉体なんだけど。
「今時の若者が考えることは分からんな~」
「何の話だよ」
たかが3年、されど3年。
社会人デビューが早かった俺と、絶賛在学中の弟との壁は案外厚いんだなと、無理矢理納得する。
完璧とは言わずとも、家の中を歩き回れる程度に身支度を整えた頃、ツキとソラがひょっこりとキッチンに顔を出した。
「カナタ~!エプロン何柄がいい?やっぱり英字?」
「……強そうなドラゴンとか?」
「お前ら俺のことイジってるよね?!可愛い奴らめ!」
いつものテンションで抱き着こうとしたが、さっきまでの淫行が頭を過った。
流石にこの体で2人をハグするなんて出来ないだろう。
「えっと……なんでもいいよ」
そう言って笑顔で2人を見送るに止めたのは英断だっただろう。
虚しい気持ちを抱えながら、ヒロト達を見送った後、俺はいつもより10分遅れて家を出た。
粘着質な音が耳を刺激する。
存在を主張するように太ももの付け根を擦られて、息が詰まった。
今俺は、兄弟にしてはあり得ない距離感で、ヒロトの熱を感じていた。
(…何を間違えて、こんな状況に?)
答えなんて分かるはずもなかった。
「ヒロト、やばいって!」
「静かに」
「んな無茶な……ぁう」
下げられたトランクスの隙間がみっちりとヒロトのモノで埋められ、擦られる度にゾワゾワとした快感が背筋を駆け上がる。
必死に手で口を覆うが、揺れが酷くて漏れる声が抑えられない。
(どうしよう……処理を手伝うってだけなのに、俺まで釣られてる)
何故か『そもそも処理を手伝うって可笑しくない?』なんて、当たり前の疑問も浮かばなかった。
ヒロトの荒い息を頸に受けて、脳の奥がじんわりと熱くなっていく。
無意識に、ヒロトの動きに合わせて下半身を捩らせたその時。
「カナタ~!今日雨降るってよ」
「折り畳み傘、持とうね」
ツキとソラがこちらに軽く視線を流した。
そう、カウンター越しにバッチリと目が合ってしまったのだ。
(……あ、人生終わった)
「あれ?ヒロト兄さん起きてきたの」
「……何してるの」
「よう、おはよう。カナタのエプロン直してやってんの」
(あれ、バレてない……っ?!)
カウンターで視界が遮られているからか、ヒロトに何をされているかも勘付かれていないようだ。
休止に一生を得た、と安心したのも束の間。
軽く身体を揺らしながら事もなげに話し始めるヒロトに仰天する。
(嘘だろ、何考えてるのヒロトの奴?!)
あまりの事に声をあげそうになったが、唇を強く噛んでなんとかやり過ごす。
「それもうボロボロだもんね、今日僕たちが買ってくるから」
「夜ご飯、楽しみ」
「……っん、ありがと」
優しい眼差しでこちらを見る2人に、罪悪感が募る。
(頼むから見ないで、見ないでくれ……!)
「……ッ!」
そんな感情に苛まれながらも身体は正直で、与え続けられる刺激にあっという間に果てた。
ヒロトの熱も後を追うように放たれて、エプロンと足をじっとりと濡らしていく。
つぅ、と脛を流れ落ちる液体は妙に熱く肌に纏わりついた。
「カナタ、具合悪い?」
「え、あと、大丈夫!」
「もしかして二日酔いなんじゃないの~?お酒もほどほどにしなよ!」
も~!と文句を言いながら、テレビに向き直る2人。
(く、首の皮一枚繋がった……)
俺はあらゆる緊張から解放されて、思わずキッチンに凭れ掛かる。
「邪魔が入ったな」
「ヒ~ロ~トォ~?!もう2度とキッチンに入るなよ!」
「ごめんって。明日の掃除担当、追加でやるからさ」
謝罪の意味も込めてなのか、ヒロトが甲斐甲斐しく後片付けを始める。
ウェットティッシュで敏感になったままの足を拭う感触……これだけでも変な気分になりそうだ。
「これ兄弟でやることじゃないよ、本当に」
「俺はカナタだからやってるんだけど」
「……へ、どういう意味?」
問い直しても、片眉を僅かに上げるだけで何の返答もない。
(ヒロトの癖だ。きっと今俺のこと小馬鹿にしてるはず)
俺だから?特別太腿が柔らかい訳でもない。至って普通の男の肉体なんだけど。
「今時の若者が考えることは分からんな~」
「何の話だよ」
たかが3年、されど3年。
社会人デビューが早かった俺と、絶賛在学中の弟との壁は案外厚いんだなと、無理矢理納得する。
完璧とは言わずとも、家の中を歩き回れる程度に身支度を整えた頃、ツキとソラがひょっこりとキッチンに顔を出した。
「カナタ~!エプロン何柄がいい?やっぱり英字?」
「……強そうなドラゴンとか?」
「お前ら俺のことイジってるよね?!可愛い奴らめ!」
いつものテンションで抱き着こうとしたが、さっきまでの淫行が頭を過った。
流石にこの体で2人をハグするなんて出来ないだろう。
「えっと……なんでもいいよ」
そう言って笑顔で2人を見送るに止めたのは英断だっただろう。
虚しい気持ちを抱えながら、ヒロト達を見送った後、俺はいつもより10分遅れて家を出た。
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