75 / 145
即行動の漢、田中。
しおりを挟む「ただいまっ…イハウス!!!!」
思わずいつもの合言葉を言い忘れてしまうところだった。
「パソコンパソコン…」
俺は帰ってきた時の格好のまま、パソコンを弄り始める。
アーカイブを確認してみると…
「あぁぁぁぁ……」
主人: ✔︎初期 ✔︎友情 ✔︎R18
里田: ✔︎初期 ✔︎友情 ✔︎R18
黒木: ✔︎初期 ✔︎友情 ✔︎R18
嘉賀: ✔︎初期 ✔︎友情 ✔︎恋愛
皇秀: ✔︎初期 ✔︎友情 ー?
皇輝: ✔︎初期 ✔︎友情 ✔︎R18
+他2エピソード
「やっぱりかぁあ…」
秀先輩のエピソードは回収出来ていなかった。
もう次の部活を待つことはできない。
月曜日に会う約束も出来ていないし、勿論連絡先も知らない。
「クリア目前で…」
折角、嘉賀先輩から助け出してくれて仲が深まったと思ったのに…
(…ん?嘉賀先輩…??)
あ、やばい…嘉賀先輩に一方的に『またね!』とか言って帰ってきちゃった…!!!
公衆の面前でキスされるって言うハプニングを起こしたにしても、あまりに対応が酷かったかもしれない。
怒ってるよな、きっと。
「挨拶も出来てないしなあ…」
ソワッ…
「ウッ!!気になり出してしまった…。」
(俺は気になり出したら止まらないんだよ…)
1気になったら100まで気になるタイプだ。
心配性とも違うけど、厄介な性格。
「先輩、まだ屋上で寝てたりしないよな…?」
もしかしたら道中秀先輩に会えるかもしれないし!
俺は後先考えず、ついさっき帰ってきたはずの道を急いだ。
*******
「こ、こうしゃ…ついた…」
まだ運動部は活動している時間らしく、体育館には灯が灯っていた。
「毎日大変だなあ~」
とぼやきながら旧校舎に移動する。
まだ施錠する時間ではないのか、鍵はかかっておらず出入りは自由に出来た。
ただ、校舎は薄暗い状態で、ちょっとした肝試しって感じだ。
「嘉賀先輩に湯たんぽにされた日はもっと暗かったなあ……思い出したくないけど。」
道中で秀先輩を見かけることはなく、
ついに屋上まで辿り着いてしまった。
(自分で来ておきながら何言ってんだって感じだけどね。)
「たのもぉ~!!!!!」
ギィィッと音を立てて開いたドアに反応する人は誰もいない。
「ここにはいないか…あ、」
もしかして、まだ寝てる…?
貯水槽付近にいるかもしれない、と思い直し梯子を登る。
しかし、
「やっぱいないか~!!」
そこに人影はなかった。
俺はいつも嘉賀先輩が横になっているあたりにゴロリと寝転ぶと、両手足をジタバタしてみた。
あ、夕日が綺麗。
「うーー!!!最後に挨拶くらいしときたかったーっ!!!」
「何が最後だって?」
「だから転校前に挨拶を…ぎぇっ?!?!?!!!」
突然、視界が暗くなったかと思ったら人の顔が俺を上から覗き込んでいた。
真正面に広がる銀の髪と良い顔に、驚いて変な声が出てしまった。
「転校…?」
思いがけず転校のことを話してしまった。
みるみるうちに、嘉賀先輩の顔は怖くなっていく。
「あ、そ、そうなんですぅ~…」
「なんだ田中ァ、俺から逃げる気か。」
「ち、違いますよう!!だって挨拶に来たじゃないですか!!やむを得ない事情です。」
「…どうだかな。」
先輩はどかっと隣に座ると、小さな声で続ける。
「ようやく楽しいと思えたんだがな…ここも。」
「嘉賀先輩…」
「またお前がいないとなると、パンが手に入らなくなる。」
「パシリですか?!俺!!!」
「…嘘だ。パンぐらいどうにでもなる。」
嘉賀先輩はおもむろ立ち上がると、寝っ転がったまま上体を起こしている俺を見下ろした。
「つまんねぇな、お前も…俺も。」
「…へ?」
先輩は、半分起き上がっていた俺の肩を押し、再び地面と仲良くさせた。
「なに…、!」
一瞬目を瞑ったその瞬きの間、先輩は身を乗り上げて、俺を地面に縫い付ける。
「お前は息をする様に嘘をつくし、俺はそんなお前を繋ぎ止めようとしてる…滑稽だな。」
鋭い眼光で睨まれ、初めて会った日のことを思い出す。
ああ、これが嘉賀先輩の本気の目か。
俺は重なる唇を避けることが出来ないまま、
身を震え上がらせた。
61
お気に入りに追加
5,119
あなたにおすすめの小説
ゲームの悪役に転生してしまった!けどこの勇者、俺無しでは動きません!!
メシウマ
BL
大学受験に失敗した俺、仲野大地(なかのだいち)は開き直って趣味のゲームに没頭しようと意気込むが、実家の階段で足を滑らせそのまま帰らぬ人となってしまう
そして、気付くとどハマリしている大好きなゲームの中の超小物悪役に転生していた!
「何で魔王の手下で、しかも序盤で死ぬコイツなんだ!?死んで早々また死ぬ運命だなんて嫌だ!!」
前世のやり込んだこのゲームの知識を駆使して、何とか死亡ルートを避けつつ憧れの勇者ラシエルの勇姿を生で見てみたい!とやる気に満ち溢れるが……主人公の勇者が動きません!!文字通り、俺無しでは動きません!!
そんな勇者を手助けしながら物語を進めていくが、自分が関与することでことごとくストーリーが拗れていき、そしてその先に待ち受ける衝撃な事実に、俺の運命は一体どうなるーー!?
R18には※
不良高校に転校したら溺愛されて思ってたのと違う
らる
BL
幸せな家庭ですくすくと育ち普通の高校に通い楽しく毎日を過ごしている七瀬透。
唯一普通じゃない所は人たらしなふわふわ天然男子である。
そんな透は本で見た不良に憧れ、勢いで日本一と言われる不良学園に転校。
いったいどうなる!?
[強くて怖い生徒会長]×[天然ふわふわボーイ]固定です。
※更新頻度遅め。一日一話を目標にしてます。
※誤字脱字は見つけ次第時間のある時修正します。それまではご了承ください。
BLゲーの悪役に転生したら予想外の展開でした。
たら
BL
はぁぁん??意味わからない。
【主人公】
前世→腐男子くん
前世は普通に平凡なオタクの腐男子。
周りには萌え系が好きと言っているが腐男子の事は墓場まで秘密にしている。
何故かめちゃくちゃハマってたBLゲームの大嫌いな悪役キャラに転生しててショック。
死んだ訳では無いのに意味わからん状態。
西園寺光輝 (さいおんじ こうき)悪役
超大金持ち西園寺財閥、西園寺家の御曹司。
我儘で俺様でありながら何でも完璧にこなす天才。
そのカリスマ性に憧れて取り巻きが沢山居る。
容姿は美しく髪は濡羽色で瞳は宝石のアメトリン。
ヒロインが攻略キャラ達と仲が良いのが気に食わなくて上手こと裏で虐めていた。
最終的には攻略キャラと攻略キャラ達に卒業パーティーで断罪されて学園を追放される。
ついでに西園寺財閥も悪事を暴かれて倒産した。
【君と僕とのLove学園】(君ラブ)
ストーリーとキャラデザ&設定が神すぎる上にボイスキャストも豪華でかなり話題になった大人気BLゲーム。
〜あらすじ〜
可愛い容姿をした超貧乏学生のヒロイン( ♂)がひょんな事から、道端で周りの人間に見て見ぬふりをされて心臓発作で蹲ってたLove学園の学園長を助けてお礼はいらないと言って立ち去った。
優しいヒロインの事が気になり勝手に調査したが、貧乏すぎて高校に行ってない事が分かり編入させるという形で恩返しをした。
そこから攻略キャラ達とラブストーリーが始まる!!
俺は薄幸の青年じゃない!勘違いしないでくれ!
bull
BL
異世界に転生した主人公。
気づいたら森で眠っていた。
……ん?俺、服着てなくね?
こんな肌白かったっけ……?
**********
「なんて可哀想なんだ!そんな美しく愛らしい見た目で裸で捨てられたのか?あぁ!可哀想に!もう大丈夫だ!これからは俺が守ってやるからな?」
………………は?
病んでる愛はゲームの世界で充分です!
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
ヤンデレゲームが好きな平凡男子高校生、田山直也。
幼馴染の一条翔に呆れられながらも、今日もゲームに勤しんでいた。
席替えで隣になった大人しい目隠れ生徒との交流を始め、周りの生徒たちから重い愛を現実でも向けられるようになってしまう。
田山の明日はどっちだ!!
ヤンデレ大好き普通の男子高校生、田山直也がなんやかんやあってヤンデレ男子たちに執着される話です。
BL大賞参加作品です。よろしくお願いします。
11/21
本編一旦完結になります。小話ができ次第追加していきます。
悪役王子の幼少期が天使なのですが
しらはね
BL
何日にも渡る高熱で苦しめられている間に前世を思い出した主人公。前世では男子高校生をしていて、いつもの学校の帰り道に自動車が正面から向かってきたところで記憶が途切れている。記憶が戻ってからは今いる世界が前世で妹としていた乙女ゲームの世界に類似していることに気づく。一つだけ違うのは自分の名前がゲーム内になかったことだ。名前のないモブかもしれないと思ったが、自分の家は王族に次ぎ身分のある公爵家で幼馴染は第一王子である。そんな人物が描かれないことがあるのかと不思議に思っていたが・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる