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嘉賀先輩と秀先輩
しおりを挟む「ええ~っと…」
「別に問い詰めている訳じゃない。合意なのか心配だったんだ。
嘉賀は強引なところがあるからな。」
秀先輩はそういうと、いつも通りにニヤリと笑った。
「…もしかして、お友達ですか?」
「それはないな。」
「ですよね!!!変なこと聞きました!!」
なんだか訳知り顔だったから気になっちゃったんだよ…石投げないでぇっ!
「まあ、腐れ縁ってやつだよ。小学生の頃から同じ学校で学んできた。」
「えっ!アウトプットが違いすぎません?!」
「田中、中々言うな…。
あいつも賢いからあんな生活態度で許されてるんだよ。」
「な、なるほど…!合点がいきました。」
嘉賀先輩の七不思議のうち1つが解明された。
きっと成績優秀者的なやつなんだろう。
それこそ秀先輩に匹敵するような。
「それで?嘉賀とはそう言う仲なのか?」
「ひっ…あの、オフレコでお願いしたいんですけど…」
俺は誰が聞いてるわけでもないのに、ヒソヒソ話の姿勢をとって、先輩の耳元に近寄る。
「あれ、多分俺を弄ってるんだと思います…」
(今のところ1人だけ恋愛エンドだし、俺への気持ちが薄いんだろう)
「ブッ!!!」
「えっ?!秀先輩?!」
秀先輩は突然、ブッ!っと吹き出し、控えめに笑い始めた。
「ハハハッ!報われないな…
…そんなわけないだろ。アイツはそんな生優しい性格はしてないぞ。」
「と、ということは…」
「本気だ。」
「オオオオオイ…どうするぅ俺…」
秀先輩は一頻り笑うと、疲れたように椅子に座り込む。
そんな笑わなくても…と思ったけど、殊秀先輩に至っては違う。
「あれ、秀先輩…どうしたんですか?」
「ッ…」
良く見ると、頭を押さえて何かに耐えるように歯を食いしばっていた。
「もしかして、頭痛いんですか?」
「少しすれば治る…」
力無く言ってくるが、その疲弊した様子では少しも説得力がない。
「先輩、生徒会室で横になりましょ?」
俺の言葉を聞いた先輩は一度立ち上がろうとするが、また座り込んでしまう。
「…歩けない。」
だ、駄目だ…っ!まさに八方塞がり。
と、そこで良いことを思いついた俺は、自分の着ていたブレザーやニットを脱いだ。
そしてそのまま、床に広げる。
「は?田中…なにして…」
「横になってください。身体痛くないように、制服敷きました!」
「………」
先輩は無言ながらも絶対に寝ないと言う雰囲気を発している。
あ、もしかして枕ないから寝れないのか?
俺は制服の端の方にちょこんと座ると、膝を叩く。
「膝枕、男ので良ければどうぞ?」
「っ?!」
ずり…と後退りする先輩。
やっぱり気持ち悪かったか…
「あー…じゃあ生徒会室から枕持ってきますね。」
「い…いらない!…膝を貸してくれ。」
先輩は俺の腕を掴み、その場に留まらせた。
どっちなんだよもう!!!
と俺がぷりぷり怒っていることは知らず、秀先輩は緊張した様子で寝転がった。
頭がすっぽりと太腿にフィットしたら、
先輩の温かな体温が伝わってくる。
「意外と柔らかい」
「筋肉ないからですかね~」
そんな呑気な話をしているうちに、
先輩はモゾモゾと動き出す。
良ポジを探しているようだ。
ちょっと刺激されて、ピクリとしてしまうのは秘密だからな!!
そのうち動きは止まり、静かになった。
もしかして…
「お?」
「スゥ…スゥ…」
いつの間にか先輩は寝息を立て出し、
俺は向こう30分は動けない呪いを受けたのだった。
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