65 / 145
貰い事故、多数!
しおりを挟む「先生起きろぉぉぉおお!!!」
「…うるさ」
俺の喧しい大声で意識が覚醒したらしい先生は、スウェットの下しか履いていない状態のまま俺の布団に収まっていた。
「先生!!今日!!へ!い!じ!つ!!」
「わぁったよ、マジで声でかいんだよお前…」
先生は寝起きが悪いようで、気怠げに身体を起こす。
立ち登るような色気に咽せそうになりながら、俺は着替えを押し付ける。
「先生出勤しないとまずいんじゃないの?今6時だよ!!」
「あ~、一回家帰るか。スーツもねぇしな」
先生はまだ寝惚けているのか、俺の頭を引き寄せ、髪の毛にキスを落とす。
「気を付けて来いよ。」
先生は身支度を簡単に済ませると、急いで部屋を出て行った。
くっ…大人の男だ…!!
(あの余裕、俺も欲しいなあ)
「にしても…まぁーたやっちゃったよ。」
今度は途中から記憶がない。
考えたくないけど、多分意識を飛ばして、深夜まで抱き潰されていた。
声がなんか変だし、身体も節々が痛い気がする。
「あ"ぁ"~…本当にもう…」
俺は暫くベッドで羞恥心を昇華させていた。
「はよ~!田中っ!!」
「あぁ…はよ」
里田は昨日の事があったにも関わらず、一番に話しかけてきた。
元気だなぁ
「なんか元気なくない?俺が癒してあげよっか!」
いやどうやって?
…と聞こうとしたら、里田は俺と腕を組みだした。
「身体も心も…ね?」
「いや、遠慮しとく」
「えええっ!なんか今日ノリ悪いよ!!田中熱あるんじゃない?!」
「コラ里田、あんまり田中を困らせるなよ。」
「主人には言われたくない!てか主人、田中に触るなよ!」
「は?なんで指図されなきゃいけないんだ。」
「だって俺、田中と結婚するもん」
「「…はぁ?」」
…里田がまた突拍子もないことを言い出したぞ!!!誰か消火しにいけ!!!!
「アレどういうことだよ、田中」
「いや俺に聞くなよ!明らか里田のネジ外れてるだろ!!」
「外れてない!だって昨日、田中とエッ…」
「あー!!!里田ステイステイ!いや、ハウス!!」
俺は慌てて里田の発言を遮った。
コイツ今なんて言おうとした?!
里田はキョトンとして、俺を見つめている。
そんな顔まで王子然としてるから、本当に憎めない奴だ…!!
「ああいうことしたら、結婚するんじゃないの?」
「アウトォォー!!!!!言うなって言ったよねぇ!!?」
「?」
「あ、伝わらなかったかぁ!!そっかそっかぁ!!」
クソッ、里田を舐めてた俺が悪かったよ!!!
「ふーん、ああいうこと…ね?」
主人は非難する様な目で俺を見る。
(いや主人お前、もっと凄いことしてるからね?!)
段々と修羅場じみてきたこの場に助け舟が出される。
「オイお前ら、ホームルームの時間だぞ。さっさと席付け!!」
「あ、先生ぇ~っ!」
アンタが担任でよかった!と、心の中で崇め奉っていると、何かの紙を手渡された。
「…ホラ、明日までにコレ書けよ。転校届。手続きが間に合わなくなる。」
そう言って手渡された紙は、ペラペラな筈なのにずっしりとした重みを感じた。
(あ、そっか。なんか手続きが何とかって…)
「転校…届?」
「え、なになに、なんの紙?それ」
「…っ」
…ハッ!!
クラスメイトの反応を見て思い出した。
(ぁぁああ!!!まだこの事誰にも言ってないんだったよォォオ!)
先生に話してスッキリした俺は、他の皆に話さないといけない事をすっかり忘れていた。
「…あ、あはは。」
「田中?昼はここで食うからな。
…覚悟しとけよ。」
(先生ぇ…恨むぞ…)
主人に隣の席からプレッシャーをかけられる俺、今日が命日かもしれん。
62
お気に入りに追加
5,150
あなたにおすすめの小説

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

Q.親友のブラコン兄弟から敵意を向けられています。どうすれば助かりますか?
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
平々凡々な高校生、茂部正人«もぶまさと»にはひとつの悩みがある。
それは、親友である八乙女楓真«やおとめふうま»の兄と弟から、尋常でない敵意を向けられることであった。ブラコンである彼らは、大切な彼と仲良くしている茂部を警戒しているのだ──そう考える茂部は悩みつつも、楓真と仲を深めていく。
友達関係を続けるため、たまに折れそうにもなるけど圧には負けない!!頑張れ、茂部!!
なお、兄弟は三人とも好意を茂部に向けているものとする。
7/28
一度完結しました。小ネタなど書けたら追加していきたいと思います。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

病んでる愛はゲームの世界で充分です!
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
ヤンデレゲームが好きな平凡男子高校生、田山直也。
幼馴染の一条翔に呆れられながらも、今日もゲームに勤しんでいた。
席替えで隣になった大人しい目隠れ生徒との交流を始め、周りの生徒たちから重い愛を現実でも向けられるようになってしまう。
田山の明日はどっちだ!!
ヤンデレ大好き普通の男子高校生、田山直也がなんやかんやあってヤンデレ男子たちに執着される話です。
BL大賞参加作品です。よろしくお願いします。
11/21
本編一旦完結になります。小話ができ次第追加していきます。

笑わない風紀委員長
馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。
が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。
そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め──
※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。
※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。
※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。
※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。

風紀委員長様は王道転校生がお嫌い
八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。
11/21 登場人物まとめを追加しました。
【第7回BL小説大賞エントリー中】
山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。
この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。
東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。
風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。
しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。
ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。
おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!?
そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。
何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから!
※11/12に10話加筆しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる