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貰い事故、多数!
しおりを挟む「先生起きろぉぉぉおお!!!」
「…うるさ」
俺の喧しい大声で意識が覚醒したらしい先生は、スウェットの下しか履いていない状態のまま俺の布団に収まっていた。
「先生!!今日!!へ!い!じ!つ!!」
「わぁったよ、マジで声でかいんだよお前…」
先生は寝起きが悪いようで、気怠げに身体を起こす。
立ち登るような色気に咽せそうになりながら、俺は着替えを押し付ける。
「先生出勤しないとまずいんじゃないの?今6時だよ!!」
「あ~、一回家帰るか。スーツもねぇしな」
先生はまだ寝惚けているのか、俺の頭を引き寄せ、髪の毛にキスを落とす。
「気を付けて来いよ。」
先生は身支度を簡単に済ませると、急いで部屋を出て行った。
くっ…大人の男だ…!!
(あの余裕、俺も欲しいなあ)
「にしても…まぁーたやっちゃったよ。」
今度は途中から記憶がない。
考えたくないけど、多分意識を飛ばして、深夜まで抱き潰されていた。
声がなんか変だし、身体も節々が痛い気がする。
「あ"ぁ"~…本当にもう…」
俺は暫くベッドで羞恥心を昇華させていた。
「はよ~!田中っ!!」
「あぁ…はよ」
里田は昨日の事があったにも関わらず、一番に話しかけてきた。
元気だなぁ
「なんか元気なくない?俺が癒してあげよっか!」
いやどうやって?
…と聞こうとしたら、里田は俺と腕を組みだした。
「身体も心も…ね?」
「いや、遠慮しとく」
「えええっ!なんか今日ノリ悪いよ!!田中熱あるんじゃない?!」
「コラ里田、あんまり田中を困らせるなよ。」
「主人には言われたくない!てか主人、田中に触るなよ!」
「は?なんで指図されなきゃいけないんだ。」
「だって俺、田中と結婚するもん」
「「…はぁ?」」
…里田がまた突拍子もないことを言い出したぞ!!!誰か消火しにいけ!!!!
「アレどういうことだよ、田中」
「いや俺に聞くなよ!明らか里田のネジ外れてるだろ!!」
「外れてない!だって昨日、田中とエッ…」
「あー!!!里田ステイステイ!いや、ハウス!!」
俺は慌てて里田の発言を遮った。
コイツ今なんて言おうとした?!
里田はキョトンとして、俺を見つめている。
そんな顔まで王子然としてるから、本当に憎めない奴だ…!!
「ああいうことしたら、結婚するんじゃないの?」
「アウトォォー!!!!!言うなって言ったよねぇ!!?」
「?」
「あ、伝わらなかったかぁ!!そっかそっかぁ!!」
クソッ、里田を舐めてた俺が悪かったよ!!!
「ふーん、ああいうこと…ね?」
主人は非難する様な目で俺を見る。
(いや主人お前、もっと凄いことしてるからね?!)
段々と修羅場じみてきたこの場に助け舟が出される。
「オイお前ら、ホームルームの時間だぞ。さっさと席付け!!」
「あ、先生ぇ~っ!」
アンタが担任でよかった!と、心の中で崇め奉っていると、何かの紙を手渡された。
「…ホラ、明日までにコレ書けよ。転校届。手続きが間に合わなくなる。」
そう言って手渡された紙は、ペラペラな筈なのにずっしりとした重みを感じた。
(あ、そっか。なんか手続きが何とかって…)
「転校…届?」
「え、なになに、なんの紙?それ」
「…っ」
…ハッ!!
クラスメイトの反応を見て思い出した。
(ぁぁああ!!!まだこの事誰にも言ってないんだったよォォオ!)
先生に話してスッキリした俺は、他の皆に話さないといけない事をすっかり忘れていた。
「…あ、あはは。」
「田中?昼はここで食うからな。
…覚悟しとけよ。」
(先生ぇ…恨むぞ…)
主人に隣の席からプレッシャーをかけられる俺、今日が命日かもしれん。
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