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デッド オア アライブ!
しおりを挟む「…は?なんでだ。かなり譲歩しただろう。」
俺がOKすることを前提にしてる自信に、驚いた方がいいのか…?
「…別に先生が嫌いとかじゃない。
けど、どうしても無理なんです。」
そういうと、先生は訝しげな顔をして、俺に目線で話を促す。
あ、まずい。
無理と言ってしまったはいいが…言い訳を考えてなかった。
「え~と俺、あと数日で転居する予定で…」
「ハァ?もっとマシな嘘つけよ。」
「いや、嘘じゃなくて…本当です。」
「学校に手続き取ってないだろ。申請されてない。」
「あ~そういうのいるんですね。」
俺が惚けるような反応を返すと、先生は項垂れながら俺を睨みつける。
少なからず動揺しているようで、俺の足に座り込んでしまった。
「…それよりも、なんで急にこんな話が出るんだよ。
何かなくても相談しろって言っただろ。」
「いやぁ、タイミングを逃してしまって…?」
「釈然としないな…どこに転居するんだ。理由はなんだ。」
「う~ん…言いにくいので…」
俺がうんうんと唸っていると、痺れを切らした先生に足を持ち上げられる。
「本当のことを言え。言わなきゃブチ込むぞ」
(ブチ込む…?!え、もしかしなくても、アレをだよな?!)
真顔の脅しに、俺はひたすら汗をかくしかなかった。
貴方達がゲームの世界の人間です、なんて言うのか?
いや無理だ。俺だったら絶対に信じない。
だからと言って、都合よくここから消えられる言い訳あるわけもない。
先生は俺の様子を少し眺めていたが、
次第に眉間の皺を深めていく。
「よし分かった。…どうされても良いってことだな?」
「あーっ!待った待った!!話します!話しますから!!」
「最初からそうしろ。」
俺は尻の裂けそうな恐ろしい脅しに負け、赦しを乞うてしまった。
(ウゥッ…漢田中、不覚を取った…!!!)
「…掻い摘んで言いますけど…俺には帰らなくちゃいけないところがあるんです。
そこに待ってくれてる人もいる…はず。」
そう言うと、先生は不機嫌そうな顔をそのままに、俺の足を下ろす。
「今後は会えない…そう言いたいのか?」
「はい。距離とかの問題もあって、もう会う事はないと…」
先生は、俺の発言を遮る様に俺の唇を塞いだ。
呼吸を奪うかの様に侵入してくる舌は、
俺から話す意欲を掠め取っていく。
「せ、んせ…っん」
「っふ…認めねぇ」
ギラリと欲に光った目で、上顎を舐め上げられれば、すぐに絆されそうになる。
(キスがうますぎるぅ…っ!!)
でも、俺はこのまま有耶無耶にされると、
また話す機会を失ってしまうと思った。
何の説明もできず、強制帰還なんて絶対に嫌だからな!!!
「っん…まっ、て…話を!」
「…俺もお前を待つ人間の一人だ。それ以上に何かあるか?」
キスしたその距離のまま、先生と視線が合う。
ゾクッ…
先生の怒りや絶望が渦巻いた瞳に、
足の先から冷える様な感覚になった。
蛇に睨まれた鼠のように俺は硬直する。
頭から足の先まで、支配される様な、食べられてしまいそうな…
「一度離れる事は理解した。
…だが、何があっても、帰ってこい。」
その言葉は、呪いの様に俺の身体に染み込んでいった。
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