上 下
59 / 145

ご褒美&トラブル!

しおりを挟む


「俺さ~、ずっと田中のことハグしたかったの!」


「ハ…グ?」


「そうそう!なんて言うんだろ…サイズ感?テディベアっぽくていいなあと思ってたんだよね~!」


「ナメてんのかコラ??」


聞きました…?これはゲキオコ案件ですよ。

180を優に超える長身の持ち主が、160cm代の俺を見て"テディベア"ですって!!
マウント取りもここまでくると清々しいですわね。


「もう、そんなんじゃないよ。でも、ご褒美にはそれくらい欲しいなあ~」


「ご褒美なんてもっとあるだろ!!ジュース奢りとか、課題一つ俺がやるとか!!」


「ん~それはいいや…俺でも出来るし。

田中がいないと出来ないこと、したいなあ。」


上裸の里田は左手で俺の腰を引き寄せると、
そのガッシリとした身体の内に、俺を収めてしまった。


(クソッ、雄としての圧倒的な敗北感…ッ!)


里田の肌は上気した様に赤く、少しだけ汗ばんだところが触れ合うたび、俺に熱を移してゆく。

仕方ない、と好きなようにさせていると、
耳のあたりに口を寄せられた。


『ピチャッ』


「~~ッ!!」


突如、耳の穴に舌が差し込まれ、思わず身体を戦慄かせた。

流石にやりすぎだと厚い胸板を押し返そうとしたが、ビクともしない。

これが…ッ!体幹の違い!!


「!ぁあッ…だめ、やめろよぉ」


「田中、気持ち良さそう…」


里田は恥ずかしくて抵抗する俺にお構いなしで、ピチャピチャと耳の穴に舌を抽挿する。

直接的に響く水音で、脳の髄を犯されている感覚になる。

顎の輪郭線からツツ…と舐め上げたり、イレギュラーな動きをされる度に快感を拾って、声が出てしまう。

俺も男だ、気持ちいい事には逆らえない。

お互いに、呼吸を合わせるように息が上がってきた、その時。


コツ…コツ…


閉じられたドアの外で、近づいてくる足音を察知した。


(や、ヤバイッ…!)


今のこの状況を見れば誰でも、教室でナニしてたか分かってしまう。


「っおい里田、誰か来る!服着ろ服!!」


「え、無理だよ。間に合わない。」


ホラ、と顎で制服のシャツを指す。
奥から数えた方が早い位置に投げ捨てられたシャツが見える。

…確かに拾う前にタイムリミットを迎えそうだ。


「間に合わないでしょ?」


ケロッと答える里田に、焦った様子はない。

何を考えているのやら、むしろ腕の拘束を強め始めた。


「バカ!このままじゃ見つかるぞ!!」


「いいじゃん。田中、俺と噂になっちゃえば悪い奴も寄ってこないよ?」


「…は?何の話…ああもう!」


俺は里田の拘束を一瞬掻い潜り、里田の腕を引っ張って、直ぐそこにあった空きロッカーに里田を押し込めた。

ヨシッ!!180cmでも何とか入った!!!

デカいロッカーでよかった!


「あとは、俺が対応すれば…っえ、おお?!」


俺は里田を封じる為に、ロッカーのドアを押して閉めようとした。

が、腕をガッシリと持たれ、勢い良くロッカーに引っ張り込まれる。

バタンッ!!!


その反動か、ロッカーの扉が閉まった。

そう、閉まって…しまった。
同時に、教室の扉がガラリと開く。

反射的に息を潜め、入ってきた人物の確認をする。

その人物は、ぼんやりとではあるが、スーツを着用しているのが見える。


「(あれは…)」


先生だ。

俺らの荷物を見つけると、教室の端へと移動していく。

俺は小声で里田に話しかける。


「(おい、これどうすんだよ…一人で出て行ったら奇人扱いされるぞ…)」


「(先生が出て行くまで、待つしかないね~)」


「(はあ…何でこんな事になるんだ…)」


改めて状況を冷静に見てみると、今凄い体勢でいるのだ。

人が入ることなんて想定されていないロッカーに男2人で入っているのだ。

狭いなんてもんじゃない。

俺と里田は向かい合わせになり、完璧に抱き合って密着していた。

身動ぎするスペースくらいはあるが、体勢を変えると音が鳴ってしまう。


何でこんな"ドキドキッ!男の経験してみたいシチュエーション!"って感じの体験を、男としないといけないんだ…


俺が悲しみに暮れていると、里田がコソコソと動き始める。


「(何してん…) んぁっ!!」


突然、里田の手指が俺の尻を揉む。


「(っ、オイ!!何して…)」


「(ごめん、俺…勃っちゃった)」


俺はその言葉に、頭を抱えて蹲りたくなってしまった。

結局は、こうなるのか…っ!!
しおりを挟む
感想 193

あなたにおすすめの小説

普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ
BL
「君は死にました」 「…はい?」 「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」 「…てんぷれ」 「てことで転生させます」 「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」 BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話

みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。 数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

風紀“副”委員長はギリギリモブです

柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。 俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。 そう、“副”だ。あくまでも“副”。 だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに! BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

処理中です...