BLゲームのモブ(俺)は誰にも見つからないはずだった

はちのす

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ご褒美&トラブル!

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「俺さ~、ずっと田中のことハグしたかったの!」


「ハ…グ?」


「そうそう!なんて言うんだろ…サイズ感?テディベアっぽくていいなあと思ってたんだよね~!」


「ナメてんのかコラ??」


聞きました…?これはゲキオコ案件ですよ。

180を優に超える長身の持ち主が、160cm代の俺を見て"テディベア"ですって!!
マウント取りもここまでくると清々しいですわね。


「もう、そんなんじゃないよ。でも、ご褒美にはそれくらい欲しいなあ~」


「ご褒美なんてもっとあるだろ!!ジュース奢りとか、課題一つ俺がやるとか!!」


「ん~それはいいや…俺でも出来るし。

田中がいないと出来ないこと、したいなあ。」


上裸の里田は左手で俺の腰を引き寄せると、
そのガッシリとした身体の内に、俺を収めてしまった。


(クソッ、雄としての圧倒的な敗北感…ッ!)


里田の肌は上気した様に赤く、少しだけ汗ばんだところが触れ合うたび、俺に熱を移してゆく。

仕方ない、と好きなようにさせていると、
耳のあたりに口を寄せられた。


『ピチャッ』


「~~ッ!!」


突如、耳の穴に舌が差し込まれ、思わず身体を戦慄かせた。

流石にやりすぎだと厚い胸板を押し返そうとしたが、ビクともしない。

これが…ッ!体幹の違い!!


「!ぁあッ…だめ、やめろよぉ」


「田中、気持ち良さそう…」


里田は恥ずかしくて抵抗する俺にお構いなしで、ピチャピチャと耳の穴に舌を抽挿する。

直接的に響く水音で、脳の髄を犯されている感覚になる。

顎の輪郭線からツツ…と舐め上げたり、イレギュラーな動きをされる度に快感を拾って、声が出てしまう。

俺も男だ、気持ちいい事には逆らえない。

お互いに、呼吸を合わせるように息が上がってきた、その時。


コツ…コツ…


閉じられたドアの外で、近づいてくる足音を察知した。


(や、ヤバイッ…!)


今のこの状況を見れば誰でも、教室でナニしてたか分かってしまう。


「っおい里田、誰か来る!服着ろ服!!」


「え、無理だよ。間に合わない。」


ホラ、と顎で制服のシャツを指す。
奥から数えた方が早い位置に投げ捨てられたシャツが見える。

…確かに拾う前にタイムリミットを迎えそうだ。


「間に合わないでしょ?」


ケロッと答える里田に、焦った様子はない。

何を考えているのやら、むしろ腕の拘束を強め始めた。


「バカ!このままじゃ見つかるぞ!!」


「いいじゃん。田中、俺と噂になっちゃえば悪い奴も寄ってこないよ?」


「…は?何の話…ああもう!」


俺は里田の拘束を一瞬掻い潜り、里田の腕を引っ張って、直ぐそこにあった空きロッカーに里田を押し込めた。

ヨシッ!!180cmでも何とか入った!!!

デカいロッカーでよかった!


「あとは、俺が対応すれば…っえ、おお?!」


俺は里田を封じる為に、ロッカーのドアを押して閉めようとした。

が、腕をガッシリと持たれ、勢い良くロッカーに引っ張り込まれる。

バタンッ!!!


その反動か、ロッカーの扉が閉まった。

そう、閉まって…しまった。
同時に、教室の扉がガラリと開く。

反射的に息を潜め、入ってきた人物の確認をする。

その人物は、ぼんやりとではあるが、スーツを着用しているのが見える。


「(あれは…)」


先生だ。

俺らの荷物を見つけると、教室の端へと移動していく。

俺は小声で里田に話しかける。


「(おい、これどうすんだよ…一人で出て行ったら奇人扱いされるぞ…)」


「(先生が出て行くまで、待つしかないね~)」


「(はあ…何でこんな事になるんだ…)」


改めて状況を冷静に見てみると、今凄い体勢でいるのだ。

人が入ることなんて想定されていないロッカーに男2人で入っているのだ。

狭いなんてもんじゃない。

俺と里田は向かい合わせになり、完璧に抱き合って密着していた。

身動ぎするスペースくらいはあるが、体勢を変えると音が鳴ってしまう。


何でこんな"ドキドキッ!男の経験してみたいシチュエーション!"って感じの体験を、男としないといけないんだ…


俺が悲しみに暮れていると、里田がコソコソと動き始める。


「(何してん…) んぁっ!!」


突然、里田の手指が俺の尻を揉む。


「(っ、オイ!!何して…)」


「(ごめん、俺…勃っちゃった)」


俺はその言葉に、頭を抱えて蹲りたくなってしまった。

結局は、こうなるのか…っ!!
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