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格上げされました! (※微)
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そりゃ嘉賀先輩が呼び出すから…と言おうとしたが、きっとこの質問の意図は違う。
帰りたがる先輩を引き留めたり、話しかけたり…そういうのを言っているんだろう。
正直なところ、俺にも分からなかった。
最初はゲーム進行として、皆と関わったとは思っている。
でも、それが全てなのか?
今はそれだけじゃない気もする。
「何ででしょう…放って置けないから、ですかね?」
自分でも消化出来ず、疑問系で返してしまった。
すると、先輩は突然俺の手を掴むと、グイッと引き寄せた。
「はぇ…っ!」
その勢いのまま、ぶつかる様に唇を合わせてくる。
え、急に何?!
「ンッ…!!」
抗議の意味で先輩の厚い胸板を叩く。
先輩はそんな事はお構い無しに、角度を変えるだけのバードキスを繰り返す。
「…ぷは、せ、せんぱっ」
「俺は、」
キスを辞めて、やっと喋り出した先輩と目を合わせる。
先輩の顔は何かの感情が溢れ、苦痛に歪んでいた。
「俺は、テメェがウロチョロしてるのが気に入らねぇ。」
「…す、すみません…?」
「何で俺だけに目を向けない。何で俺だけに偽名を教えた。」
「何で…俺はテメェが欲しいんだ」
「…っ!」
語られた感情が余りに重く、熱い。
俺は動揺で顔が赤くなっていっているのを感じる。
「5分黙ってろ」
そういうと、先輩はまた唇を合わせてくる。
後頭部に手が添えられ、少しの動きも許されない。
「んっ…ふ…」
クチュ、という水音と共に、口に舌が侵入してきた。
黙れと言われた俺は、抵抗する気も起きず、
すんなりと舌を受け入れる。
角度を変えられる度に溢れ出す唾液をそのままに、与えられる快楽だけを感じ取る。
「ンンッ…はっ」
少しの間、そうしてキスを続けていたが、先輩が引いていく。
「ハッ…従順じゃねえか」
「っ、先輩が黙れって言ってたので!!!」
「賢明だ。」
先輩はそう言いながら、俺の顔中にキスを降らせる。
(なに、何なの…この恋人的な甘い空気…っ!)
暫く先輩の好きにさせていると、突然先輩の動きが止まり、俺を抱き竦めていた腕を離す。
「気が済んだ。帰る」
「…え、でた!!突然の帰宅!!」
もしかして、急に恥ずかしくなった、とか…?!
「うるせぇ…行くぞ、田中」
「…あ!名前!!!先輩!!!名前!!!」
「だから、うるせぇってんだろ!!!」
俺は突然の名前呼びに、今までの色々を全て忘れ、先輩の後を追った。
前略 妹
にいちゃん、湯たんぽから人間に
しかも田中に格上げしたよ!
何故かキスが挟まったけど
嘉賀先輩と多分仲良く(?)なれました!
草々 兄
応援ありがとうございます!
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