上 下
23 / 145

もしかして #勘違い

しおりを挟む


「皆の者、おはよう。」


「朝っぱらからどんなテンションで来てるんだよ。」


「田中なんか悪いもの食べた?」


「えっ、最近扱いが酷くなる一方じゃない?!」


俺がオイオイと泣き真似をしていると、主人が後ろから覆い被さり、肩口に顎を乗っけてきた。

腕はガッチリ拘束されている。


え、急にどうした?長身自慢なの…?!
俺が160cm半ばというのを知っての狼藉か?


「なぁ田中、昨日の番組見てくれた?」


昔から弱点な耳元で喋られて、ゾワゾワとする。


「み、見たけどぉ…なにこの距離感…」


「どうだった。」


「え?うーん、格好よかった」


主人はそこまで話すと、ニヤリと笑顔を見せた。
え、なにコワイコワイ…


「出た甲斐あったわ」


「…え、なんで?」


「田中から尊敬の眼差しを貰った。」


「いや、まあ…それは盛ってない???」


そういうと主人は俺を捕らえていた腕を離し、俺の首に顔を埋める。


「ひぇっ」


「前から思ってたんだけどさ、田中ってなんか香水つけてる?」


「香水…?」


あ、家にあるあの香水のことかもしれない。
折角あるんだし、モッタイナイ精神で毎日つけて来てる。

これ大人の色気的な香りがする気がするんだよな!!!


「よくぞ聞いてくれた!!!これ、めちゃ良い香りでしょ!」


「ああ…好きな香りだ。」


そうだろう、そうだろう!!!
と満足げにしている俺を他所に、主人はまだクンクンと匂いを嗅いでる。

もう離れてくれないかな…
首筋に髪の毛が擦れ、めちゃくちゃ擽ったい。


「主人、主人ぉ…っ!く、擽ったいから!!」


「ん~?」


「全然聞く気ねえな!!!!!」


俺が首嗅ぎ男と格闘していると、主人の頭を里田がパシンッと叩いた。


「こらこら!ひっつくの禁止!!
俺だってまだした事ないのに!!!!」


「里田ァ~!!!主人が変になっちまった~!!ひっつき虫だよう」


「ホラ!田中が泣いてるよ!!!謝りなよ男子ィ!!」


「里田お前、最近田中に影響されすぎてないか?」


ゆっくりと身体を離した主人は、満足いったとばかりに微笑んでいる。

乙女の純情を弄びやがってっ…!!


「黒木ィ~哀れな俺を助けてェ~!!!!」


ちょうどそこで教室に入って来た黒木を発見した俺は、即座に駆け寄った。


「…どうしたの?」


「主人が俺の純情を弄ぶんだ…ッ!俺は純真な人間なのにッ」


すると黒木は少し眉を顰めながら、俺の手をするりと取った。


「…大事にする」


「??ンン…???」


「…ね?」


黒木は状況を飲み込めない俺に、畳み掛けるように薄く微笑んで返事を促す。
この間、手は握られ、感触を確かめるように触れられていた。

…え?どういう状況?


「え、あ、ありがとう。」


思わず返事をしてしまったが…

これもしかしなくても、変な展開になってない???
しおりを挟む
感想 193

あなたにおすすめの小説

Q.親友のブラコン兄弟から敵意を向けられています。どうすれば助かりますか?

書鈴 夏(ショベルカー)
BL
平々凡々な高校生、茂部正人«もぶまさと»にはひとつの悩みがある。 それは、親友である八乙女楓真«やおとめふうま»の兄と弟から、尋常でない敵意を向けられることであった。ブラコンである彼らは、大切な彼と仲良くしている茂部を警戒しているのだ──そう考える茂部は悩みつつも、楓真と仲を深めていく。 友達関係を続けるため、たまに折れそうにもなるけど圧には負けない!!頑張れ、茂部!! なお、兄弟は三人とも好意を茂部に向けているものとする。 7/28 一度完結しました。小ネタなど書けたら追加していきたいと思います。

笑わない風紀委員長

馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。 が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。 そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め── ※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。 ※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。 ※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。 ※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜 ・不定期

普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ
BL
「君は死にました」 「…はい?」 「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」 「…てんぷれ」 「てことで転生させます」 「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」 BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話

ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。 βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。 そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。 イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。 3部構成のうち、1部まで公開予定です。 イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。 最新はTwitterに掲載しています。

信じて送り出した養い子が、魔王の首を手柄に俺へ迫ってくるんだが……

鳥羽ミワ
BL
ミルはとある貴族の家で使用人として働いていた。そこの末息子・レオンは、不吉な赤目や強い黒魔力を持つことで忌み嫌われている。それを見かねたミルは、レオンを離れへ隔離するという名目で、彼の面倒を見ていた。 そんなある日、魔王復活の知らせが届く。レオンは勇者候補として戦地へ向かうこととなった。心配でたまらないミルだが、レオンはあっさり魔王を討ち取った。 これでレオンの将来は安泰だ! と喜んだのも束の間、レオンはミルに求婚する。 「俺はずっと、ミルのことが好きだった」 そんなこと聞いてないが!? だけどうるうるの瞳(※ミル視点)で迫るレオンを、ミルは拒み切れなくて……。 お人よしでほだされやすい鈍感使用人と、彼をずっと恋い慕い続けた令息。長年の執着の粘り勝ちを見届けろ! ※エブリスタ様、カクヨム様、pixiv様にも掲載しています

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

処理中です...