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エレノアが目を覚ますと、そこは見知らぬ部屋だった。
「ここは?……わたくし、確か庭を散歩していた筈よね?」
知らない場所で目覚めた事に驚きながら、目覚める前の記憶を何とか思い出そうとしていると、突然部屋のドアがガチャリと開いてきた。
驚いてドアの方へ目をやると、「失礼します」と言いながら数人のメイド達が入って来た。
しかも、わらわらと断りもなく入って来たメイド達は、エレノアが知らない顔ばかりだった。
突然入って来たメイド達に驚き固まっていると、メイド達は無表情の顔のままテキパキとエレノアの世話をしだしたのだった。
突然の展開に頭が付いていかず、呆けた顔でされるがままになっていると、また新たなメイドが部屋へと入ってきた。
新しく入って来たメイドは、クローシュの乗ったワゴンを押していた。
そして、身支度を済まされたエレノアのいるベッドの横にワゴンを着けると、クローシュの被せられた皿を銀のトレイに乗せて、エレノアの目の前に置いてきたのであった。
訳が分からず、目の前に置かれた皿とメイドを交互に見ていると、メイド達がやっと話しかけてきた。
「お客様は、丸一日眠っておられましたので簡単な食事をご用意いたしました。」
そう言って、パカリとクローシュを開けて見せてきた。
目の前に現れたのは、美味しそうなスープだった。
それを見た途端、エレノアのお腹がぐぅと鳴る。
思わずお腹を押さえて赤い顔をしていると、そんなエレノアを気にする様子もなく、メイド達は入って来た時と同様に、無表情のまま静かにお辞儀をすると部屋を出ていこうとしてきた。
そんなメイド達をエレノアは、慌てて引き留める。
「あ、あの!こ、ここは何処ですか?私は何故ここに!?」
エレノアが慌てて訊ねると、一人のメイドが振り返り部屋の中へと戻ってきた。
「お客様は、悪漢に連れ去られそうになっていた所を、たまたま通りかかった私共のご主人様がお助け致しました。その時、お客様は気絶しておられましたので、屋敷へお連れしたのでございます。」
そして、無表情の顔のまま淡々と事の経緯を説明してくれたのだった。
メイドの話にエレノアは唖然とする。
いつ襲われたのか記憶にないが、もしその話が本当ならば、その助けてくれたご主人様とやらが通りかからなければ、今頃自分はどうなっていたのかと思うとゾッとした。
そしてエレノアは、助けて貰ったのならお礼がしたいと思い、メイド達の主人とやらに会わせて貰えないかと口を開きかけた。
その時、丁度タイミング良く部屋の扉が開き誰かが入って来たのであった。
「ここは?……わたくし、確か庭を散歩していた筈よね?」
知らない場所で目覚めた事に驚きながら、目覚める前の記憶を何とか思い出そうとしていると、突然部屋のドアがガチャリと開いてきた。
驚いてドアの方へ目をやると、「失礼します」と言いながら数人のメイド達が入って来た。
しかも、わらわらと断りもなく入って来たメイド達は、エレノアが知らない顔ばかりだった。
突然入って来たメイド達に驚き固まっていると、メイド達は無表情の顔のままテキパキとエレノアの世話をしだしたのだった。
突然の展開に頭が付いていかず、呆けた顔でされるがままになっていると、また新たなメイドが部屋へと入ってきた。
新しく入って来たメイドは、クローシュの乗ったワゴンを押していた。
そして、身支度を済まされたエレノアのいるベッドの横にワゴンを着けると、クローシュの被せられた皿を銀のトレイに乗せて、エレノアの目の前に置いてきたのであった。
訳が分からず、目の前に置かれた皿とメイドを交互に見ていると、メイド達がやっと話しかけてきた。
「お客様は、丸一日眠っておられましたので簡単な食事をご用意いたしました。」
そう言って、パカリとクローシュを開けて見せてきた。
目の前に現れたのは、美味しそうなスープだった。
それを見た途端、エレノアのお腹がぐぅと鳴る。
思わずお腹を押さえて赤い顔をしていると、そんなエレノアを気にする様子もなく、メイド達は入って来た時と同様に、無表情のまま静かにお辞儀をすると部屋を出ていこうとしてきた。
そんなメイド達をエレノアは、慌てて引き留める。
「あ、あの!こ、ここは何処ですか?私は何故ここに!?」
エレノアが慌てて訊ねると、一人のメイドが振り返り部屋の中へと戻ってきた。
「お客様は、悪漢に連れ去られそうになっていた所を、たまたま通りかかった私共のご主人様がお助け致しました。その時、お客様は気絶しておられましたので、屋敷へお連れしたのでございます。」
そして、無表情の顔のまま淡々と事の経緯を説明してくれたのだった。
メイドの話にエレノアは唖然とする。
いつ襲われたのか記憶にないが、もしその話が本当ならば、その助けてくれたご主人様とやらが通りかからなければ、今頃自分はどうなっていたのかと思うとゾッとした。
そしてエレノアは、助けて貰ったのならお礼がしたいと思い、メイド達の主人とやらに会わせて貰えないかと口を開きかけた。
その時、丁度タイミング良く部屋の扉が開き誰かが入って来たのであった。
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