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どこにでもある平凡な離婚騒動①
側妃に夢中な王様と私(中編)
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そして数日後、王妃は国王の執務室を訪れました。
「突然申し訳ございません。急なご相談があって参りました。」
「なんだ突然、一体何の用だ?」
国王は王妃の突然の訪問に、鼻の頭に皺を寄せて嫌そうに言ってきました。
その側には、何故か側妃が居ます。
どうやらお取込み中だったようで、椅子に座るジュリアスの上にビビアナが跨っていました。
ビビアナはベアトリーチェの登場に、慌ててジュリアスから離れます。
赤い顔をする二人を無視して、ベアトリーチェは要件を告げてきました。
「国王陛下、わたくしと離縁してくださいませ。」
「なに?」
王妃からの突然の離婚要求に、国王は訝しむように王妃を見てきました。
しかし、直ぐ後に嬉しそうにニヤリと口元を歪めてきたのでした。
「それは本気か?私と離縁して、何処へ行くというのだ?」
ジュリアスは、何故か王妃を小馬鹿にしたような態度を取ってきました。
お前に行く所など無い、そう言いたいのでしょうか?
しかし、ベアトリーチェは真っすぐ国王を見ながら、はっきり答えました。
「実家の侯爵家へ帰ろうと思います。父にはもう伝えてあります。」
「ほう。」
王妃の言葉に国王は、何故か面白くなさそうに顔を歪ませてきました。
その時です。
「まあ、ベアトリーチェ様、離縁してくださるのですか?だったら、隣国の王様が結婚相手を探していましたわ!ジュリアス様どうでしょう?」
と、突然国王と王妃の会話に側妃が入って来たのでした。
そして、とんでもない提案をしてきたのです。
にこにこしながら悪ぶれる様子も無く、ジュリアスにそう持ち掛けるビビアナに、ベアトリーチェは呆気に取られてしまいました。
しかし直ぐに気を取り直すと、話に勝手に入ってこないようビビアナに注意しようと口を開きかけました。
「ほう、それは良い案だな。」
それよりも先に、国王が頷いてきたのでした。
「え?」
思わず王妃は声をあげてしまいました。
その様子を国王の横で、くすくすと笑いながら見ていた側妃は、国王に更に畳みかけます。
「ね、良い案でしょう。ベアトリーチェ様も賛成よね?あ、でも隣国の王様って、もう60を過ぎたおじいちゃんだったわ。うふふ、でもベアトリーチェ様ならきっとお似合いね。」
あろうことか、ビビアナはそう言ってベアトリーチェを貶してきたのでした。
その言葉にジュリアスも一緒に笑って頷いています。
「そうだな、それがいい。ベアトリーチェ、離縁してやる代わりに、お前は隣国の王に下賜してやろう。これは王としての命令だ覆すことは許さん。」
そう言って、ジュリアスは勝手に決めてしまったのでした。
その命令に、ベアトリーチェは表情を変えずに頷きました。
「わかりました、では離婚は成立ですね。この書類にサインしてください。」
そう言って、ベアトリーチェが差し出してきたのは離縁状でした。
「ふん、後で帰りたいと泣いて謝ってきても許しはせんぞ。」
「結構です。」
「可愛くない奴め。」
淡々と返事をするベアトリーチェに、ジュリアスは忌々しそうに舌打ちをしながら書類にサインをします。
机に叩きつけるように置かれた書類を、ベアトリーチェは丁寧に丸めて封をしました。
そして近くの従者に手渡すと、急いで教会へ届けるように伝えました。
「これで半日後には、離婚が受理されます。」
「そうか、それは良かった。」
ベアトリーチェの言葉に、国王は嬉しそうに言い返してきました。
「では、さっさと出て行け。」
「畏まりました。あ、それと」
「なんだ?」
国王が、もう用はないとばかりにベアトリーチェに向かって、しっしっと手を振っていると、彼女が思い出したように言ってきました。
「では、わたくしがここに嫁いで来る時に持ってきた私物は、そのまま引き取らせて貰いますわ。」
「ああ好きにしろ。」
「ええ~ベアトリーチェ様が居なくなるなら、欲しいネックレスやドレスがあったのに……。」
「ああ、御心配には及びませんわ、陛下から頂いたドレスや宝飾品は置いて行きますので。」
「本当!?良かった~♪」
「そんなもの欲しがらなくても、私が後で好きなものを何でも買ってやる。」
「うふふ、ジュリアス様だ~いすき♪」
ひとの私物を欲しがる側妃に、ベアトリーチェが呆れた顔でそう告げると、国王と側妃は目の前でイチャイチャし始めました。
そんな二人に呆れも露わに溜息を零しながら、ベアトリーチェは念のため別れの挨拶をします。
「それでは、ご機嫌よう。」
王妃の言葉にジュリアスは、一瞬だけこちらを見ましたが、直ぐに興味が失せたのかビビアナに夢中になってしまいました。
既に二人の世界に入ってしまったジュリアスとビビアナに、ベアトリーチェはドレスの裾を持って優雅に一礼すると、もう用は無いとばかりに颯爽と部屋を後にしたのでした。
それから数週間後――
「国費が出せないとは、どういう事だ!?」
国王の執務室で罵声か飛び交います。
「さ、先程もご説明しました通り、もう国費が底をついておりまして……。」
「どういうことだ、ついこの間まであれ程あっただろうが!」
「はい、しかしベアトリーチェ様が王宮を出られたので……。」
「どういう事だ?」
王妃がいなくなり、これで可愛い側妃に好きなものを買ってあげられると、王は早速ビビアナが欲しがっていたものを取り寄せようと側近に告げたところ、先程の遣り取りになったのでありました。
目くじらを立てて側近達を叱責する王を宥めながら、会計係の側近が冷や汗を流しながら説明してきた内容はこうでした。
王宮は元々財政難であり、ベアトリーチェが輿入れをした際、多額の持参金が持ち込まれ、そのお陰で国費が賄われていた事。
そして、もしベアトリーチェが離縁するようなことがあれば、持参金は全額払い戻されるという契約が、生前の前王と侯爵との間で交わされていた事を伝えられました。
それを知った王様は、血相を変えて執務机から立ち上がります。
「い、今すぐベアトリーチェを呼べ!!」
国王の剣幕に、側近たちは泡を食って飛び出していきました。
しかし時すでに遅く、ベアトリーチェは隣国に嫁いでしまった後だったのです。
それを知った国王は頭を抱えました。
「くそ、あいつが居なくなって、やっと自由に国費が使えるようになったと思ったのに……。」
と、嘆いています。
そうです、国費を不正に使い込んでいたのは、他でもない国王本人だったのでした。
国王は、国が財政難であった事も知らず、ベアトリーチェの実家が用意した持参金を、あろうことか側妃の為に湯水のように使っていたのです。
愛するビビアナの為に、お金が使えなくなってしまったジュリアスは、新たな資金源は無いかと模索しました。
しかし直ぐに閃くと、急いでベアトリーチェの実家に遣いを走らせたのでした。
「ふふん、ならばまた侯爵から金を借りればよいだけのこと。くそ、ベアトリーチェめ……。」
国王はそう言って悪態を吐きます。
しかし、その数時間後に国王ジュリアスは真っ青になったのでした。
なんと、ベアトリーチェだけでなく侯爵までもが居なくなっていたというのです。
そういえば、ベアトリーチェが王宮を去った後から宰相の姿を見ないと思っていたら、いつの間にか辞めてしまっていたのでした。
そして血相を変えて戻ってきた側近の話では、既に侯爵家はもぬけの殻で、高齢の家令が伝聞役として一人だけ残っていたそうです。
家令から聞かされた話では、侯爵は娘と共に家族共々隣国へと亡命してしまったそうです。
そして、国王に侯爵の伝聞を伝えた後、家令も後を追って隣国に入国するのだとか。
侯爵に戻って来るように、側近たちは家令から口添えしてもらうよう頼んだのですが、長年侯爵家に仕える家令からは、こう返されたのでした。
「わたくし共が、長年大切に育ててきたお嬢様を蔑ろにした国王を許すことはできません。わたくしも侯爵様も同じ考えでございます。ああそれと、侯爵様から亡命するから領地は返却いたしますと、言伝を賜っておりました。それでは。」
家令はそう言うと、小さな鞄とシルクハットとステッキを持って颯爽と侯爵家を後にしたそうです。
しかし、その話を聞いていた国王は、何故か高笑いをしてきました。
「ふははは、そうか領地を返すといったか?私に一矢報いたつもりだったが、無能な奴め。侯爵の領地には、金鉱や他にも宝石の採掘できる山が幾つもあっただろう?そこから金や宝石を取れるだけ取って来い!」
ジュリアスが命令すると、側近たちは急いで侯爵の領地に向かいました。
これで一安心。
ジュリアスは、これでなんとか国費の確保ができそうだと安心したのでした。
しかし――。
「なん……だと?」
二週間後、側近たちの報告にジュリアスは驚愕していました。
「何も出ないとは、どういう事だ!?」
「は、はい……炭鉱夫の話によれば、あの山は殆どの資源が堀り尽くされてしまったようなのです。」
「なんだと!?」
側近の言葉にジュリアスは、思わず執務机から立ち上がりました。
「そ、そんな……一つも、無いのか?」
「はい……どうやら採掘した宝石類は、侯爵が全部隣国へ持って行ってしまったようでして……。」
「な……。」
冷や汗を流しながらそう告げてくる側近の言葉に、とうとうジュリアスはその場に崩れ落ちてしまいました。
慌てて駆け寄る側近達。
「そんな、そんな……国費が……予算が……これから、どうやって暮らしていけばいいんだ……。」
側近達に支えられながらジュリアスは、ぶつぶつと呟いているのでした。
「突然申し訳ございません。急なご相談があって参りました。」
「なんだ突然、一体何の用だ?」
国王は王妃の突然の訪問に、鼻の頭に皺を寄せて嫌そうに言ってきました。
その側には、何故か側妃が居ます。
どうやらお取込み中だったようで、椅子に座るジュリアスの上にビビアナが跨っていました。
ビビアナはベアトリーチェの登場に、慌ててジュリアスから離れます。
赤い顔をする二人を無視して、ベアトリーチェは要件を告げてきました。
「国王陛下、わたくしと離縁してくださいませ。」
「なに?」
王妃からの突然の離婚要求に、国王は訝しむように王妃を見てきました。
しかし、直ぐ後に嬉しそうにニヤリと口元を歪めてきたのでした。
「それは本気か?私と離縁して、何処へ行くというのだ?」
ジュリアスは、何故か王妃を小馬鹿にしたような態度を取ってきました。
お前に行く所など無い、そう言いたいのでしょうか?
しかし、ベアトリーチェは真っすぐ国王を見ながら、はっきり答えました。
「実家の侯爵家へ帰ろうと思います。父にはもう伝えてあります。」
「ほう。」
王妃の言葉に国王は、何故か面白くなさそうに顔を歪ませてきました。
その時です。
「まあ、ベアトリーチェ様、離縁してくださるのですか?だったら、隣国の王様が結婚相手を探していましたわ!ジュリアス様どうでしょう?」
と、突然国王と王妃の会話に側妃が入って来たのでした。
そして、とんでもない提案をしてきたのです。
にこにこしながら悪ぶれる様子も無く、ジュリアスにそう持ち掛けるビビアナに、ベアトリーチェは呆気に取られてしまいました。
しかし直ぐに気を取り直すと、話に勝手に入ってこないようビビアナに注意しようと口を開きかけました。
「ほう、それは良い案だな。」
それよりも先に、国王が頷いてきたのでした。
「え?」
思わず王妃は声をあげてしまいました。
その様子を国王の横で、くすくすと笑いながら見ていた側妃は、国王に更に畳みかけます。
「ね、良い案でしょう。ベアトリーチェ様も賛成よね?あ、でも隣国の王様って、もう60を過ぎたおじいちゃんだったわ。うふふ、でもベアトリーチェ様ならきっとお似合いね。」
あろうことか、ビビアナはそう言ってベアトリーチェを貶してきたのでした。
その言葉にジュリアスも一緒に笑って頷いています。
「そうだな、それがいい。ベアトリーチェ、離縁してやる代わりに、お前は隣国の王に下賜してやろう。これは王としての命令だ覆すことは許さん。」
そう言って、ジュリアスは勝手に決めてしまったのでした。
その命令に、ベアトリーチェは表情を変えずに頷きました。
「わかりました、では離婚は成立ですね。この書類にサインしてください。」
そう言って、ベアトリーチェが差し出してきたのは離縁状でした。
「ふん、後で帰りたいと泣いて謝ってきても許しはせんぞ。」
「結構です。」
「可愛くない奴め。」
淡々と返事をするベアトリーチェに、ジュリアスは忌々しそうに舌打ちをしながら書類にサインをします。
机に叩きつけるように置かれた書類を、ベアトリーチェは丁寧に丸めて封をしました。
そして近くの従者に手渡すと、急いで教会へ届けるように伝えました。
「これで半日後には、離婚が受理されます。」
「そうか、それは良かった。」
ベアトリーチェの言葉に、国王は嬉しそうに言い返してきました。
「では、さっさと出て行け。」
「畏まりました。あ、それと」
「なんだ?」
国王が、もう用はないとばかりにベアトリーチェに向かって、しっしっと手を振っていると、彼女が思い出したように言ってきました。
「では、わたくしがここに嫁いで来る時に持ってきた私物は、そのまま引き取らせて貰いますわ。」
「ああ好きにしろ。」
「ええ~ベアトリーチェ様が居なくなるなら、欲しいネックレスやドレスがあったのに……。」
「ああ、御心配には及びませんわ、陛下から頂いたドレスや宝飾品は置いて行きますので。」
「本当!?良かった~♪」
「そんなもの欲しがらなくても、私が後で好きなものを何でも買ってやる。」
「うふふ、ジュリアス様だ~いすき♪」
ひとの私物を欲しがる側妃に、ベアトリーチェが呆れた顔でそう告げると、国王と側妃は目の前でイチャイチャし始めました。
そんな二人に呆れも露わに溜息を零しながら、ベアトリーチェは念のため別れの挨拶をします。
「それでは、ご機嫌よう。」
王妃の言葉にジュリアスは、一瞬だけこちらを見ましたが、直ぐに興味が失せたのかビビアナに夢中になってしまいました。
既に二人の世界に入ってしまったジュリアスとビビアナに、ベアトリーチェはドレスの裾を持って優雅に一礼すると、もう用は無いとばかりに颯爽と部屋を後にしたのでした。
それから数週間後――
「国費が出せないとは、どういう事だ!?」
国王の執務室で罵声か飛び交います。
「さ、先程もご説明しました通り、もう国費が底をついておりまして……。」
「どういうことだ、ついこの間まであれ程あっただろうが!」
「はい、しかしベアトリーチェ様が王宮を出られたので……。」
「どういう事だ?」
王妃がいなくなり、これで可愛い側妃に好きなものを買ってあげられると、王は早速ビビアナが欲しがっていたものを取り寄せようと側近に告げたところ、先程の遣り取りになったのでありました。
目くじらを立てて側近達を叱責する王を宥めながら、会計係の側近が冷や汗を流しながら説明してきた内容はこうでした。
王宮は元々財政難であり、ベアトリーチェが輿入れをした際、多額の持参金が持ち込まれ、そのお陰で国費が賄われていた事。
そして、もしベアトリーチェが離縁するようなことがあれば、持参金は全額払い戻されるという契約が、生前の前王と侯爵との間で交わされていた事を伝えられました。
それを知った王様は、血相を変えて執務机から立ち上がります。
「い、今すぐベアトリーチェを呼べ!!」
国王の剣幕に、側近たちは泡を食って飛び出していきました。
しかし時すでに遅く、ベアトリーチェは隣国に嫁いでしまった後だったのです。
それを知った国王は頭を抱えました。
「くそ、あいつが居なくなって、やっと自由に国費が使えるようになったと思ったのに……。」
と、嘆いています。
そうです、国費を不正に使い込んでいたのは、他でもない国王本人だったのでした。
国王は、国が財政難であった事も知らず、ベアトリーチェの実家が用意した持参金を、あろうことか側妃の為に湯水のように使っていたのです。
愛するビビアナの為に、お金が使えなくなってしまったジュリアスは、新たな資金源は無いかと模索しました。
しかし直ぐに閃くと、急いでベアトリーチェの実家に遣いを走らせたのでした。
「ふふん、ならばまた侯爵から金を借りればよいだけのこと。くそ、ベアトリーチェめ……。」
国王はそう言って悪態を吐きます。
しかし、その数時間後に国王ジュリアスは真っ青になったのでした。
なんと、ベアトリーチェだけでなく侯爵までもが居なくなっていたというのです。
そういえば、ベアトリーチェが王宮を去った後から宰相の姿を見ないと思っていたら、いつの間にか辞めてしまっていたのでした。
そして血相を変えて戻ってきた側近の話では、既に侯爵家はもぬけの殻で、高齢の家令が伝聞役として一人だけ残っていたそうです。
家令から聞かされた話では、侯爵は娘と共に家族共々隣国へと亡命してしまったそうです。
そして、国王に侯爵の伝聞を伝えた後、家令も後を追って隣国に入国するのだとか。
侯爵に戻って来るように、側近たちは家令から口添えしてもらうよう頼んだのですが、長年侯爵家に仕える家令からは、こう返されたのでした。
「わたくし共が、長年大切に育ててきたお嬢様を蔑ろにした国王を許すことはできません。わたくしも侯爵様も同じ考えでございます。ああそれと、侯爵様から亡命するから領地は返却いたしますと、言伝を賜っておりました。それでは。」
家令はそう言うと、小さな鞄とシルクハットとステッキを持って颯爽と侯爵家を後にしたそうです。
しかし、その話を聞いていた国王は、何故か高笑いをしてきました。
「ふははは、そうか領地を返すといったか?私に一矢報いたつもりだったが、無能な奴め。侯爵の領地には、金鉱や他にも宝石の採掘できる山が幾つもあっただろう?そこから金や宝石を取れるだけ取って来い!」
ジュリアスが命令すると、側近たちは急いで侯爵の領地に向かいました。
これで一安心。
ジュリアスは、これでなんとか国費の確保ができそうだと安心したのでした。
しかし――。
「なん……だと?」
二週間後、側近たちの報告にジュリアスは驚愕していました。
「何も出ないとは、どういう事だ!?」
「は、はい……炭鉱夫の話によれば、あの山は殆どの資源が堀り尽くされてしまったようなのです。」
「なんだと!?」
側近の言葉にジュリアスは、思わず執務机から立ち上がりました。
「そ、そんな……一つも、無いのか?」
「はい……どうやら採掘した宝石類は、侯爵が全部隣国へ持って行ってしまったようでして……。」
「な……。」
冷や汗を流しながらそう告げてくる側近の言葉に、とうとうジュリアスはその場に崩れ落ちてしまいました。
慌てて駆け寄る側近達。
「そんな、そんな……国費が……予算が……これから、どうやって暮らしていけばいいんだ……。」
側近達に支えられながらジュリアスは、ぶつぶつと呟いているのでした。
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