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第一章【出会い編】
58.聖地巡礼なのに何故か鉱山見学に連れて行かれました!
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「やっぱり鉱山来たんだから現場見て行かなきゃな!」
次の日、あれから聖地巡礼を真に受けたアランがガイドブック片手にキラキラした笑顔でそう言ってきた。
どうやら案内を買って出てくれるらしい。
いらんことを……と内心毒吐くがマクレーンは笑顔で「そうですね」と頷いた。
とりあえず聖地巡礼を隠れ蓑にこっそり『おつかい』を済ませてしまおうと考えたのだった。
アランが真っ先に向かった先は鉱山だった。
鉱山といっても穴の中に入っていくわけではない。
大地から隔離されたウイッチブレイク(浮島)には山などもちろんない。
ではどうやって採掘するのかというと――。
「ふわぁ~深いですね~。」
びゅおおおおおと吹き上げる風に眩暈が起きそうになりながらニコルは下を見下ろしていた。
マクレーン達は今バラックの端にある採掘場に来ていた。
足元には断崖絶壁。
小さな掘っ立て小屋の側には巨大な大木の柱が立っている。
幾重にも補強を加えた頑強な柱は小屋のすぐ真後ろにある断崖絶壁の下へと伸びていた。
そして柱にはこれまた太いロープが張られている。
柱の先端には巨大な滑車が括りつけられており、そこにロープが通っている。
柱の構造をまじまじと見ているとガラガラとロープが滑車を通っていく音が聞こえてきた。
見ると丁度ロープが括りつけられた巨大な檻のような乗り物が上がってきたところだった。
柱の側にいた男達がロープの巻き取り機に付いている長いレバーを傾ける。
男数人で動かすほどの巨大なブレーキが悲鳴を上げた。
巨大な檻―― エレベーター ――はその音とは裏腹にすうっと床板の位置が地面と平行になるように止まると格子の引き戸が開いて中に入っていた人達が出て行く。
空っぽになったその中に小屋の外で待っていた人達が次々と入っていった。
「俺たちも行こう。」
アランの声にマクレーン達は不安そうな顔でエレベーターの中に入っていった。
カシャンと硬質な音とともに扉が閉まる。
ゆっくりと下へ降りていく。
落下の独特な浮遊感に嫌な想像が頭を過ぎったがなんとか無事に下まで到着した。
何事も無く地面を踏み締められたことにほっと胸を撫で下ろす。
「夢と希望の採掘場へようこそ。」
見かけない顔に観光客と悟ったのだろう、鉱夫の一人が揶揄するように帽子を頭から外しながらそんな事を言ってきた。
「ここは初めてかい?許可証があれば誰でも一攫千金を望めるぜ。」
鉱夫はにやりと笑いながらそう言うと横穴の中へと消えていった。
ここバラックの採掘場は断崖絶壁の壁の中にある。
壁には所々穴が空いておりその穴の所には壁に面して足場の様に平たい地面があった。
先程乗ってきたエレベーターで降りた場所は唯一地上へと繋がる出入り口らしい。
それ以外の穴は中で蟻の巣の様になっており他の壁の穴へと繋がっている。
まるで迷路みたいだ、と不安になりながらアランに勧められるがまま中へと入っていったのだった。
次の日、あれから聖地巡礼を真に受けたアランがガイドブック片手にキラキラした笑顔でそう言ってきた。
どうやら案内を買って出てくれるらしい。
いらんことを……と内心毒吐くがマクレーンは笑顔で「そうですね」と頷いた。
とりあえず聖地巡礼を隠れ蓑にこっそり『おつかい』を済ませてしまおうと考えたのだった。
アランが真っ先に向かった先は鉱山だった。
鉱山といっても穴の中に入っていくわけではない。
大地から隔離されたウイッチブレイク(浮島)には山などもちろんない。
ではどうやって採掘するのかというと――。
「ふわぁ~深いですね~。」
びゅおおおおおと吹き上げる風に眩暈が起きそうになりながらニコルは下を見下ろしていた。
マクレーン達は今バラックの端にある採掘場に来ていた。
足元には断崖絶壁。
小さな掘っ立て小屋の側には巨大な大木の柱が立っている。
幾重にも補強を加えた頑強な柱は小屋のすぐ真後ろにある断崖絶壁の下へと伸びていた。
そして柱にはこれまた太いロープが張られている。
柱の先端には巨大な滑車が括りつけられており、そこにロープが通っている。
柱の構造をまじまじと見ているとガラガラとロープが滑車を通っていく音が聞こえてきた。
見ると丁度ロープが括りつけられた巨大な檻のような乗り物が上がってきたところだった。
柱の側にいた男達がロープの巻き取り機に付いている長いレバーを傾ける。
男数人で動かすほどの巨大なブレーキが悲鳴を上げた。
巨大な檻―― エレベーター ――はその音とは裏腹にすうっと床板の位置が地面と平行になるように止まると格子の引き戸が開いて中に入っていた人達が出て行く。
空っぽになったその中に小屋の外で待っていた人達が次々と入っていった。
「俺たちも行こう。」
アランの声にマクレーン達は不安そうな顔でエレベーターの中に入っていった。
カシャンと硬質な音とともに扉が閉まる。
ゆっくりと下へ降りていく。
落下の独特な浮遊感に嫌な想像が頭を過ぎったがなんとか無事に下まで到着した。
何事も無く地面を踏み締められたことにほっと胸を撫で下ろす。
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見かけない顔に観光客と悟ったのだろう、鉱夫の一人が揶揄するように帽子を頭から外しながらそんな事を言ってきた。
「ここは初めてかい?許可証があれば誰でも一攫千金を望めるぜ。」
鉱夫はにやりと笑いながらそう言うと横穴の中へと消えていった。
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壁には所々穴が空いておりその穴の所には壁に面して足場の様に平たい地面があった。
先程乗ってきたエレベーターで降りた場所は唯一地上へと繋がる出入り口らしい。
それ以外の穴は中で蟻の巣の様になっており他の壁の穴へと繋がっている。
まるで迷路みたいだ、と不安になりながらアランに勧められるがまま中へと入っていったのだった。
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