僕のおつかい

麻竹

文字の大きさ
上 下
33 / 93
第一章【出会い編】

9.拾い物がついて来ようとしてるんですが?2

しおりを挟む
「来ないで下さい!」

「いいだろ減るもんじゃなし。」

「減るとか増えるとかの問題じゃないんです!」

困ります、とマクレーンは必死に訴えていた。
あれから半時、マクレーンとアランは互いに向き合い延々と押し問答を繰り返していた。
マクレーンの心配した通り、アランはついて来ようとしていた。
しかも最後まで・・・・。
それを知ったマクレーンは「とんでもない!」と血相を変えてアランに引き返すよう言った。
しかしアランも何故か引き下がらず、頑なに同行すると言い続ける。
困るから一人で大丈夫だから、と言うマクレーンに。
いや一人は危険だ、この先どんな危険が待ってるか分らないから付いて行く、とアランは答えてきた。

ま、まさか・・・やっぱりこの人・・・・。

昨日も思った危惧にマクレーンはようやく確信を持つ。
この青年――アランは本当にお節介な人らしい。
たまたま出会った少年を、アランは助けようとしているのだ――マクレーンがアランを先に助けたのだが――しかも腕に自信のある傭兵、道中盗賊やら獣やらに襲われるとも限らない。
そんな一人旅の少年を助けようという心構えは、大変素晴らしいことだと思う。
本当に。
だが、マクレーンにはこの心遣いは心苦しかった。

アランさん、嬉しいですけど本当に・・・・迷惑です!

マクレーンは胸中でそう吐くと、目の前のアランを見上げた。

「本当に大丈夫です、北の大地に行ったらすぐなんですから。」

そう言うマクレーンに、アランは首を縦には振らなかった。
「だけど」とか「でも」とか言いながら尚もついて来ようとする。
そんなアランにいい加減。

頭にきた。

「もう、放っておいてください!僕子供じゃありませんし、それとも僕について来なきゃいけない理由でもあるんですか?」

もし、「心配だから」などと言えば、それこそ即行で却下してやる。
マクレーンは、鼻息も荒くアランを睨み上げた。
そんなマクレーンにアランは「うっ」とたじろぐ。

やっぱり!

ただのお節介だったのだと確信したマクレーンは、アランが次に言う言葉を待った。

これで終わりだ、彼が「無い」と一言言えば・・・・。

マクレーンがそこまで考えて、さあ来い!と息巻いていると、ようやくアランが口を開いた。

「その・・・笑うなよ?」

突然恥ずかしそうに頭を掻きながら言ってきたアランにマクレーンはきょとんと首を傾げた。

「どういう意味です?」

おかしな展開になって来ているぞ、と何やら嫌な予感が襲ってきた。
マクレーンは胸中に浮かんだ不安に冷や汗を流しながらアランの言葉を待つ。
そして――。

「その……あんたに、ついて行けって言われたんだ。」

アランの言葉に、マクレーンは文字通り仰天した。
予想外の答えに言葉を失う。

誰に?
なんで?
どうして?

マクレーンの頭の中はパニック寸前だった。
予想していなかった答え。

しかも誰かが僕について行けと言ったなんて・・・・。

「だ、誰にそんな事を・・・・。」

言われたんですか?そうマクレーンは震える声で聞いてきた。
その言葉にアランは肩を竦めながら答える。

「旅の途中で会った占い師。」

と・・・・。

そして次の瞬間。

「はあ?」

長閑な田舎道に素っ頓狂な声が木霊した。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜

𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。 だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。 「もっと早く癒せよ! このグズが!」 「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」 「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」 また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、 「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」 「チッ。あの能無しのせいで……」 頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。 もう我慢ならない! 聖女さんは、とうとう怒った。

劇ではいつも『木』の役だったわたしの異世界転生後の職業が『木』だった件……それでも大好きな王子様のために庶民から頑張って成り上がるもん!

ハイフィールド
ファンタジー
「苦しい恋をしていた……それでも生まれ変わったらわたし、あなたに会いたい」 商家の娘アーリャとして異世界転生したわたしは神の洗礼で得たギフトジョブが『木』でした……前世で演劇の役は全て『木』だったからって、これはあんまりだよ! 謎のジョブを得て目標も無く生きていたわたし……でも自国の第二王子様お披露目で見つけてしまったの……前世で大好きだったあなたを。 こうなったら何としてでも……謎のジョブでも何でも使って、また大好きなあなたに会いに行くんだから!! そうです、これはですね謎ジョブ『木』を受け取ったアーリャが愛しの王子様を射止めるために、手段を選ばずあの手この手で奮闘する恋愛サクセスストーリー……になる予定なのです!! 1話1500~2000文字で書いてますので、5分足らずで軽く読めるかと思います。 九十五話ほどストックがありますが、それ以降は不定期になるのでぜひブックマークをお願いします。 七十話から第二部となり舞台が学園に移って悪役令嬢ものとなります。どういうことだってばよ!? と思われる方は是非とも物語を追って下さい。 いきなり第二部から読んでも面白い話になるよう作っています。 更新は不定期です……気長に待って下さい。

攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?

伽羅
ファンタジー
 転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。  このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。  自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。 そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。 このまま下町でスローライフを送れるのか?

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

異世界無宿

ゆきねる
ファンタジー
運転席から見た景色は、異世界だった。 アクション映画への憧れを捨て切れない男、和泉 俊介。 映画の影響で筋トレしてみたり、休日にエアガンを弄りつつ映画を観るのが楽しみな男。 訳あって車を購入する事になった時、偶然通りかかったお店にて運命の出会いをする。 一目惚れで購入した車の納車日。 エンジンをかけて前方に目をやった時、そこは知らない景色(異世界)が広がっていた… 神様の道楽で異世界転移をさせられた男は、愛車の持つ特別な能力を頼りに異世界を駆け抜ける。 アクション有り! ロマンス控えめ! ご都合主義展開あり! ノリと勢いで物語を書いてますので、B級映画を観るような感覚で楽しんでいただければ幸いです。 不定期投稿になります。 投稿する際の時間は11:30(24h表記)となります。

人の身にして精霊王

山外大河
ファンタジー
 正しいと思ったことを見境なく行動に移してしまう高校生、瀬戸栄治は、その行動の最中に謎の少女の襲撃によって異世界へと飛ばされる。その世界は精霊と呼ばれる人間の女性と同じ形状を持つ存在が当たり前のように資源として扱われていて、それが常識となってしまっている歪んだ価値観を持つ世界だった。そんな価値観が間違っていると思った栄治は、出会った精霊を助けるために世界中を敵に回して奮闘を始める。 主人公最強系です。 厳しめでもいいので、感想お待ちしてます。 小説家になろう。カクヨムにも掲載しています。

私ではありませんから

三木谷夜宵
ファンタジー
とある王立学園の卒業パーティーで、カスティージョ公爵令嬢が第一王子から婚約破棄を言い渡される。理由は、王子が懇意にしている男爵令嬢への嫌がらせだった。カスティージョ公爵令嬢は冷静な態度で言った。「お話は判りました。婚約破棄の件、父と妹に報告させていただきます」「待て。父親は判るが、なぜ妹にも報告する必要があるのだ?」「だって、陛下の婚約者は私ではありませんから」 はじめて書いた婚約破棄もの。 カクヨムでも公開しています。

処理中です...