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28,化け物
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ヨイチの左目は金色だった。右目の金色よりも強く、鈍い光を放ち、ひどくアンバランスに見える。
「!」
ヨイチから発せられる強い覇気に、蓮はぞっとする。
「ひ…っ?!!」
ヨイチは跳ぶように走り、男たちのひとりの頭をつかむと地面に叩きつけた。飛び散った血がヨイチのほほを染め、滴る。
「ぎゃああぁ!!」
「たっ、助けてくれぇ!!」
彼らは顔面蒼白になり、悲鳴を上げ、泣き叫ぶ。蓮はハッとし、再び叩きつけようとしているヨイチにかけ寄る。
「やめろ、ヨイチ!殺す気か?!」
左手でヨイチの腕をつかみ、引き止める。スタンガンは痛かったが、殺すほどのことはされていない。
「…レン」
ふと、ヨイチの覇気が揺らぐ。
「今、俺の名を呼んだか」
「あ…?」
男の頭から手を離し、腕をつかむ蓮の左手をぎゅっと握る。
「もう一度、呼べ」
思えば、蓮が彼の名を口に出すのは初めてだった。
「…ヨイチ」
言われるがまま、もう一度名を呼ぶ。
「レン…っ」
ヨイチは顔を歪め、やっと見つけた宝物かのように蓮を抱きしめた。
ヨイチは蓮を抱きかかえ、マンションに戻った。
「お帰り~!早かった…ね?」
いつもよりだいぶ早い帰宅にリビングから顔を出したイールを無視し、蓮の部屋に入る。そして、蓮をベッドに横たえると覆い被さり、唇を重ねた。
「ん、んん…」
舌を入れ、逃げる蓮の舌に絡ませ、吸い上げる。甘く柔らかい唇を味わい、震える左手で腕をつかんでくる蓮をたまらなくいじらしく思う。
「はぁ…レン、もういいだろう…?」
唇を離し、首筋にキスをしながら、コートをはだけさせ、シャツのボタンに手をかける。
「うぅ…っぐ…っ」
すると、蓮が嗚咽していることに気づき、ヨイチは手を止める。蓮は身体を震わせ、ぽろぽろと大粒の涙を流していた。
「レン…?」
そんなに泣くようなことをしたつもりはない。ヨイチは戸惑い、蓮を見つめる。
「俺…死ぬ、のか…?」
潤む大きな黒い瞳は、怯えきっていた。
「お前らは、そうなんだろ…?人を…食って、生きてんだろ…?」
「衰弱死?」
「ええ。84名中57名が身体の衰弱が死因だそうです」
ミカビリエのある街。シオンは路地の奥で、ウェア王国から受けた連絡事項をクラウドに伝えていた。王国とはいつでも連絡を取れるよう、通信機をふたりは携帯している。
ヨイチらによって殺害されたと思われる、森の中のテント裏で発見された行方不明者たちの死因が、ようやく判明したとの知らせだった。やはり全員が金眼保有者だともわかった。
「他は?」
「舌を噛み切る等の自殺、です」
「そうか…。辱しめを受けるくらいなら、自分で死ぬな…」
自ら命を絶った27人の気持ちを推し量り、クラウドはうつむく。
「彼らの目的は金眼保有者を暴走させるというより、誘き寄せ、犯すことだったのではないでしょうか」
「はっ?何のために?」
「あくまでも私の考えなのですが」と、前置きしてから、シオンは話し始める。
「犠牲者のほとんどが性的暴行され、半数以上が衰弱死をしています。ヒナタも意識不明だった保有者もひどく衰弱していました。更に、青髪の者と接触したレン様も同じ症状でした。そして、彼らが国境の森に設置したテントにも、周辺にも飲食した形跡が一切なかったそうですね」
「ああ」
クラウドはうなずく。
一月以上彼らがいたはずのあのテントには、生活感がほとんどなかった。何かを飲食したあとがまったくなく、水すら発見されなかったのだ。
「彼らは口から、もしくは性行為によって、人の体力を奪い、食らう者。つまり、人の命を糧として生きているのではないでしょうか」
「は…?!」
突拍子もないシオンの話に、クラウドは呆気にとられる。
「そう考えると、彼らが何故ウェア王国に来たのか、異変を招いたのか、私は納得出来るのです」
「強い力を秘めた『金眼保有者』は最高のエサだってことか…?」
「はい」
そんな者たちが存在するなど信じたくないが、この一月で実際に起こったことを思うと、確かにシオンの話はしっくりする。
彼らは最高の食糧を求めてウェア王国に侵入し、何らかの力を用いて金眼保有者を操った。保有者が暴走するか、誘き寄せられるかは彼らにとっては賭けに近いのかもしれない。そして、誘き寄せることに成功した保有者の体力を食い、衰弱死させた。
「バケモノじゃないかよ…お前以上の」
「私と比べないでください」
「なら、レンは?アイツは保有者どころかウェア人でもない。何で保有者のヒナタと引き換えにしてまで、連れて行ったんだ?」
蓮に関してだけはその話に当てはまらない。
「あの方の身体には、我々の血気が流れています」
「!」
クラウドは王位継承式の時、重傷を負った蓮に、自分とシオンの血気を分け与えたことを思い出す。
「彼らは保有者以上の魅力を、レン様に感じてしまったのかもしれません」
元保有者と保有者の血縁者の混血。
蓮の命を救うためにしたことが、奇しくも彼らの好むエサにしてしまったということか。シオンは自分の手を見つめ、クラウドはショックを隠せなかった。
「レン、何故…そんなことを…」
ラスタリ街のマンションの一室。
「ひ…っ!」
ヨイチが組み敷いた蓮の涙を拭おうと手を動かすと、蓮はぎゅっと目をつぶり、悲鳴をもらす。
「!」
ヨイチはその怯えように触れることをためらい、手を止める。自分たちの正体を知れば、こうなるだろうと思っていた。あの金眼保有者たちのように化け物を見るかのように怯え、泣き叫ばれるのだろうと。保有者たちには恐れられようと、泣かれようと、何の感情も抱かなかった。
しかし、蓮にだけは。泣かれたくなかった。怯えられたくなかった。人を食う、化け物だと知られたくなかった。
「レン」
ヨイチは顔を歪め、ためらいながらもそっと濡れたほほに触れる。
「頼む…怯えるな」
どうしたら、蓮は恐れないでくれるか。
「そうだ。お前の言うとおり、俺たちは…人を、食って…生きている…」
ぽつぽつと絞り出すように、蓮の言ったことを認める。ただ『化け物だ』という言葉は言えなくて、飲み込んだ。
「う、ぅ…っ」
やはり、そうだった。蓮はまた嗚咽する。
力を奪われるキス。行方不明になった金眼保有者たち。不眠、不食。昨日見た、女の死体。横行する人身売買。
バラバラだったそれらのピースを組み合わせることは蓮にも出来た。彼らは人の体力を、強いては命を糧に生きているのではないかと。すると、彼らの自分に対する態度も理解出来た。寝る場所、食事、衣服を与えられて。家畜と同じだと気づいた。怪我の完治と体力の回復を待ち、食うために飼われていたのだ。
何度か死の恐怖を感じたことはある。けれど、じわじわと迫ってくる逃れられない死がこんなに恐ろしいとは。震えが、涙が止まらない。
「だから…初めはお前を、食いたかった。だが、今はお前を食おうなど微塵も考えていない」
「…?」
ヨイチが何を話しているのか、蓮は理解出来ない。
「食うつもりなら、もうとっくに食っている。だろう?」
「…」
食う気はない。ならば、何のために自分はここにいるのか。
「何、で…?」
「わからない。わからないが、ただ…お前を抱きたいんだ」
抱きたい、とはどういうことか。ますます意味がわからず、蓮は混乱する。
「もう、限界だ。抱かせてくれ…レン」
ヨイチは深く息を吐き、潤んだ黒い瞳を泳がせる蓮を抱きしめた。
「ん…っは…」
首筋を、胸元をヨイチの濡れた舌が這う。蓮の衣服はすべて脱がされ、床に散らばっていた。カーテンは閉められているが昼間の明るさは遮られず、肌も恥部もはっきりとさらけだされているようで恥ずかしさが増す。
「レン、声を出せ」
ヨイチは蓮の胸を愛でながら、促すように震える唇をなめる。
「んん…っ」
蓮は歯を食い縛り、嫌々と首を振る。
「我慢するな」
「っ?!…あ、あぁっ!はぁ…っ!」
ヨイチの金色の目を見たとたん、触れられている胸がいっそう過敏になり、声をこらえることが出来なくなる。
「そうだ…。気持ちいい、だろう?」
「やあ、あ…っ?!んぁあ…っ!!」
満足げに笑むヨイチの手が胸から脇腹、下腹部へと滑り、それだけでイってしまうかと思うほど感じる。
「あ、は…っも、嫌ぁ…!」
これ以上感じるのが怖くて、蓮は身体をよじらせてヨイチから離れようとする。
「何を言う。これからだ」
「いぃ…っ?!」
ヨイチはもがく蓮を捕らえるかのように、びくびくと起ち始めていた蓮のモノを握る。
「くあ、あぁっ!!」
ゆるゆると軽くしごいただけで、先走りがあふれだし、蓮の腰が跳ねる。あまりの快感で、蓮は恐怖とは違う涙がぼろぼろとほほを伝う。
「イ…っも、イク…ぅ」
「いいぞ、レン」
しゃくり上げながら訴える蓮の反り返るモノの先端を、ヨイチは指の腹でなでる。
「んっ!ああぁーっ!!」
ヨイチの腕を左手でぎゅうぎゅうつかみ、蓮は絶頂する。
「ふ…たまっていたな」
ヨイチはまた満足げに笑み、手にまとわりつく多量に吹き出た白濁を眺める。
「はぁっ…あぁ…っ」
「慣らすから、安心して感じろ」と、余韻に震える蓮の乱れた黒髪にキスをし、その手を力なく開く太腿の間から後孔へ当てる。
「ぃう…っ?!」
ぬるりと濡れた指先が入り、びくんと大きく蓮の身体が跳ねる。媚薬を塗られたかのように、中の粘膜が痺れてくる。
「力を抜け、レン」
「む、無理…いぃ…っ」
イったばかりなのに、またあっという間に高まる熱。勝手に後孔が開閉し、ギチギチとヨイチの指を締め付ける。指が出し入れされる度に絶頂してしまいそうで、蓮は泣きながら悶えた。
「!」
ヨイチから発せられる強い覇気に、蓮はぞっとする。
「ひ…っ?!!」
ヨイチは跳ぶように走り、男たちのひとりの頭をつかむと地面に叩きつけた。飛び散った血がヨイチのほほを染め、滴る。
「ぎゃああぁ!!」
「たっ、助けてくれぇ!!」
彼らは顔面蒼白になり、悲鳴を上げ、泣き叫ぶ。蓮はハッとし、再び叩きつけようとしているヨイチにかけ寄る。
「やめろ、ヨイチ!殺す気か?!」
左手でヨイチの腕をつかみ、引き止める。スタンガンは痛かったが、殺すほどのことはされていない。
「…レン」
ふと、ヨイチの覇気が揺らぐ。
「今、俺の名を呼んだか」
「あ…?」
男の頭から手を離し、腕をつかむ蓮の左手をぎゅっと握る。
「もう一度、呼べ」
思えば、蓮が彼の名を口に出すのは初めてだった。
「…ヨイチ」
言われるがまま、もう一度名を呼ぶ。
「レン…っ」
ヨイチは顔を歪め、やっと見つけた宝物かのように蓮を抱きしめた。
ヨイチは蓮を抱きかかえ、マンションに戻った。
「お帰り~!早かった…ね?」
いつもよりだいぶ早い帰宅にリビングから顔を出したイールを無視し、蓮の部屋に入る。そして、蓮をベッドに横たえると覆い被さり、唇を重ねた。
「ん、んん…」
舌を入れ、逃げる蓮の舌に絡ませ、吸い上げる。甘く柔らかい唇を味わい、震える左手で腕をつかんでくる蓮をたまらなくいじらしく思う。
「はぁ…レン、もういいだろう…?」
唇を離し、首筋にキスをしながら、コートをはだけさせ、シャツのボタンに手をかける。
「うぅ…っぐ…っ」
すると、蓮が嗚咽していることに気づき、ヨイチは手を止める。蓮は身体を震わせ、ぽろぽろと大粒の涙を流していた。
「レン…?」
そんなに泣くようなことをしたつもりはない。ヨイチは戸惑い、蓮を見つめる。
「俺…死ぬ、のか…?」
潤む大きな黒い瞳は、怯えきっていた。
「お前らは、そうなんだろ…?人を…食って、生きてんだろ…?」
「衰弱死?」
「ええ。84名中57名が身体の衰弱が死因だそうです」
ミカビリエのある街。シオンは路地の奥で、ウェア王国から受けた連絡事項をクラウドに伝えていた。王国とはいつでも連絡を取れるよう、通信機をふたりは携帯している。
ヨイチらによって殺害されたと思われる、森の中のテント裏で発見された行方不明者たちの死因が、ようやく判明したとの知らせだった。やはり全員が金眼保有者だともわかった。
「他は?」
「舌を噛み切る等の自殺、です」
「そうか…。辱しめを受けるくらいなら、自分で死ぬな…」
自ら命を絶った27人の気持ちを推し量り、クラウドはうつむく。
「彼らの目的は金眼保有者を暴走させるというより、誘き寄せ、犯すことだったのではないでしょうか」
「はっ?何のために?」
「あくまでも私の考えなのですが」と、前置きしてから、シオンは話し始める。
「犠牲者のほとんどが性的暴行され、半数以上が衰弱死をしています。ヒナタも意識不明だった保有者もひどく衰弱していました。更に、青髪の者と接触したレン様も同じ症状でした。そして、彼らが国境の森に設置したテントにも、周辺にも飲食した形跡が一切なかったそうですね」
「ああ」
クラウドはうなずく。
一月以上彼らがいたはずのあのテントには、生活感がほとんどなかった。何かを飲食したあとがまったくなく、水すら発見されなかったのだ。
「彼らは口から、もしくは性行為によって、人の体力を奪い、食らう者。つまり、人の命を糧として生きているのではないでしょうか」
「は…?!」
突拍子もないシオンの話に、クラウドは呆気にとられる。
「そう考えると、彼らが何故ウェア王国に来たのか、異変を招いたのか、私は納得出来るのです」
「強い力を秘めた『金眼保有者』は最高のエサだってことか…?」
「はい」
そんな者たちが存在するなど信じたくないが、この一月で実際に起こったことを思うと、確かにシオンの話はしっくりする。
彼らは最高の食糧を求めてウェア王国に侵入し、何らかの力を用いて金眼保有者を操った。保有者が暴走するか、誘き寄せられるかは彼らにとっては賭けに近いのかもしれない。そして、誘き寄せることに成功した保有者の体力を食い、衰弱死させた。
「バケモノじゃないかよ…お前以上の」
「私と比べないでください」
「なら、レンは?アイツは保有者どころかウェア人でもない。何で保有者のヒナタと引き換えにしてまで、連れて行ったんだ?」
蓮に関してだけはその話に当てはまらない。
「あの方の身体には、我々の血気が流れています」
「!」
クラウドは王位継承式の時、重傷を負った蓮に、自分とシオンの血気を分け与えたことを思い出す。
「彼らは保有者以上の魅力を、レン様に感じてしまったのかもしれません」
元保有者と保有者の血縁者の混血。
蓮の命を救うためにしたことが、奇しくも彼らの好むエサにしてしまったということか。シオンは自分の手を見つめ、クラウドはショックを隠せなかった。
「レン、何故…そんなことを…」
ラスタリ街のマンションの一室。
「ひ…っ!」
ヨイチが組み敷いた蓮の涙を拭おうと手を動かすと、蓮はぎゅっと目をつぶり、悲鳴をもらす。
「!」
ヨイチはその怯えように触れることをためらい、手を止める。自分たちの正体を知れば、こうなるだろうと思っていた。あの金眼保有者たちのように化け物を見るかのように怯え、泣き叫ばれるのだろうと。保有者たちには恐れられようと、泣かれようと、何の感情も抱かなかった。
しかし、蓮にだけは。泣かれたくなかった。怯えられたくなかった。人を食う、化け物だと知られたくなかった。
「レン」
ヨイチは顔を歪め、ためらいながらもそっと濡れたほほに触れる。
「頼む…怯えるな」
どうしたら、蓮は恐れないでくれるか。
「そうだ。お前の言うとおり、俺たちは…人を、食って…生きている…」
ぽつぽつと絞り出すように、蓮の言ったことを認める。ただ『化け物だ』という言葉は言えなくて、飲み込んだ。
「う、ぅ…っ」
やはり、そうだった。蓮はまた嗚咽する。
力を奪われるキス。行方不明になった金眼保有者たち。不眠、不食。昨日見た、女の死体。横行する人身売買。
バラバラだったそれらのピースを組み合わせることは蓮にも出来た。彼らは人の体力を、強いては命を糧に生きているのではないかと。すると、彼らの自分に対する態度も理解出来た。寝る場所、食事、衣服を与えられて。家畜と同じだと気づいた。怪我の完治と体力の回復を待ち、食うために飼われていたのだ。
何度か死の恐怖を感じたことはある。けれど、じわじわと迫ってくる逃れられない死がこんなに恐ろしいとは。震えが、涙が止まらない。
「だから…初めはお前を、食いたかった。だが、今はお前を食おうなど微塵も考えていない」
「…?」
ヨイチが何を話しているのか、蓮は理解出来ない。
「食うつもりなら、もうとっくに食っている。だろう?」
「…」
食う気はない。ならば、何のために自分はここにいるのか。
「何、で…?」
「わからない。わからないが、ただ…お前を抱きたいんだ」
抱きたい、とはどういうことか。ますます意味がわからず、蓮は混乱する。
「もう、限界だ。抱かせてくれ…レン」
ヨイチは深く息を吐き、潤んだ黒い瞳を泳がせる蓮を抱きしめた。
「ん…っは…」
首筋を、胸元をヨイチの濡れた舌が這う。蓮の衣服はすべて脱がされ、床に散らばっていた。カーテンは閉められているが昼間の明るさは遮られず、肌も恥部もはっきりとさらけだされているようで恥ずかしさが増す。
「レン、声を出せ」
ヨイチは蓮の胸を愛でながら、促すように震える唇をなめる。
「んん…っ」
蓮は歯を食い縛り、嫌々と首を振る。
「我慢するな」
「っ?!…あ、あぁっ!はぁ…っ!」
ヨイチの金色の目を見たとたん、触れられている胸がいっそう過敏になり、声をこらえることが出来なくなる。
「そうだ…。気持ちいい、だろう?」
「やあ、あ…っ?!んぁあ…っ!!」
満足げに笑むヨイチの手が胸から脇腹、下腹部へと滑り、それだけでイってしまうかと思うほど感じる。
「あ、は…っも、嫌ぁ…!」
これ以上感じるのが怖くて、蓮は身体をよじらせてヨイチから離れようとする。
「何を言う。これからだ」
「いぃ…っ?!」
ヨイチはもがく蓮を捕らえるかのように、びくびくと起ち始めていた蓮のモノを握る。
「くあ、あぁっ!!」
ゆるゆると軽くしごいただけで、先走りがあふれだし、蓮の腰が跳ねる。あまりの快感で、蓮は恐怖とは違う涙がぼろぼろとほほを伝う。
「イ…っも、イク…ぅ」
「いいぞ、レン」
しゃくり上げながら訴える蓮の反り返るモノの先端を、ヨイチは指の腹でなでる。
「んっ!ああぁーっ!!」
ヨイチの腕を左手でぎゅうぎゅうつかみ、蓮は絶頂する。
「ふ…たまっていたな」
ヨイチはまた満足げに笑み、手にまとわりつく多量に吹き出た白濁を眺める。
「はぁっ…あぁ…っ」
「慣らすから、安心して感じろ」と、余韻に震える蓮の乱れた黒髪にキスをし、その手を力なく開く太腿の間から後孔へ当てる。
「ぃう…っ?!」
ぬるりと濡れた指先が入り、びくんと大きく蓮の身体が跳ねる。媚薬を塗られたかのように、中の粘膜が痺れてくる。
「力を抜け、レン」
「む、無理…いぃ…っ」
イったばかりなのに、またあっという間に高まる熱。勝手に後孔が開閉し、ギチギチとヨイチの指を締め付ける。指が出し入れされる度に絶頂してしまいそうで、蓮は泣きながら悶えた。
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