魔法村 TEEN'(ティーンズ)〜魔王の娘と10代のニートは臭気に毒された村を救う!?〜

まどはな

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第1章

第26話 秘密

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 日が落ちた頃、ニートと武器屋と魔法学者は森の中で歩を止めていた。

 「真っ暗になっちゃったね。これ以上はもう進めそうにないかな」

 「ああ、この辺にしておこうぜ」

 「えっ、ま、まさかここで……?」

 ニートは先程のやり取りを思い出していた。


  『き、今日はもう……これ以上進まない方が良いんじゃないかな!?真っ暗になる前に村へ戻ろうよ……?』

  『ああ?何言ってんだニート?これから夜が来る度に引き返すってのか?それじゃあいつまで経っても先へ進めねぇぞ。……馬鹿なのか?』


 (ほ、本気か……?野宿?こんな森の中で?)

 「うん、そうだね。この辺りで少し休めるようにしようか」

 「まずは明かりが必要だな」

 警戒して固まるニートをよそに、武器屋と魔法学者はテキパキと動いていた。

 「おい、ニート。お前も手伝ってくれ」

 「えっ?あ……うん」

 武器屋は慣れた手つきで作った松明をニートに向けながら言った。
 ニートは黙ってそれを受け取ると、静かに炎を見つめた。

 「ニート?さっきからボーッとして、どうかしたのか?」

 「具合が悪いのかな?」

 二人は心配そうにニートの顔を覗き込んだ。

 「い、いや!具合は大丈夫!でも、その……このままここで野宿するのかなって……」

 ニートはずっと気掛かりにしていたことを口にした。

 「まあ、お嬢ちゃんのこともあるし、おちおち寝てはいられないけどな……ん?でも何だかおかしくないか?」

 それまでいつもの調子で景気良く喋っていた武器屋の声色が変わった。

 「おかしいって、なにが?」

 特におかしいと感じる出来事はなかったと思うニートは、不思議そうに尋ねた。

 「お嬢ちゃんは強いんだろ?だったらさっさと終わらせて俺たちを追いかけて来るはずじゃねぇか?」

 「うん?確かに……」

 ニートも武器屋に同調する。

 「まあまあ、相手はなんだから今頃和解しようと頑張ってるんじゃないかな?魔法使いちゃん、優しいしね!」

 「男の子だと?」
 「男の子!?」

 魔法学者の口から出た “男の子” というフレーズに武器屋は訝しげに顔をしかめ、ニートは摩訶不思議そうな顔をした。

 「あっ……」

 魔法学者はついうっかりを漏らしてしまったのだ。

 「おい、魔法学者。お前何か知ってるだろ?」

 強面な武器屋の剣幕に屈した魔法学者は、大事な秘密について語りだした。

 「じ、実はね……」
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