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第1章
第11話 冒険のはじまり
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ゴンッゴンゴンゴンゴンッ
武器屋が装飾品を作っている。
この装飾品は、魔王の娘が契約した杖に付けるための御守りのようなものになる。
「よし、完成だ!」
「わ~!ありがとう!」
魔王の娘は嬉しそうに、受け取った装飾品を杖にはめた。
「綺麗だね」
ニートも魔王の娘の杖を見て微笑んだ。
「ニート、お前はこっちだ!」
武器屋はニート用の防具を選んでいた。
「まずは頭と手足だな。それからお前……そのジャージは着ていたいのか?」
今のニートの服装は、今朝(昨日)から着ているジャージにスニーカーのみという軽装だった。
「あ、そうだね……。ボク、このジャージ、動きやすいから気に入っているんだ」
「そうか。ならそのままで良い。……そうだな、お前にはこれとこれと……これを渡しておこう」
武器屋から渡されたのは白い軍手と白いスニーカー、そして白い鉢巻であった。
「あ、あの……ボクは運動会にでも参加するのかな……?」
“防具” という言葉から、ニートはグローブやアーマー、マントという如何にも “魔法” な代物を渡されることを想像していた。
しかし、それらとは正反対ともとれるモノたちを渡されたニートは、少し困惑した様子である。
「ははははっ!何を言ってる。お前のその青いジャージと揃えてやったんだぞ?」
武器屋は半分ふざけているのか、ニートの顔を見て楽しそうに笑い飛ばした。
「良かったじゃん、ニートくん!ほら、早く装備しなきゃ~!」
二人に促され渋々それらの防具(?)を身につけたニートは、近くにある姿見を覗き込み、あまりのダサさにその笑顔を引き攣らせるのだった。
「二人とも、準備はできたか?」
大きなリュックを背中に背負った武器屋は、首にタオルを掛けながら二人に声をかけた。
「うん!大丈夫だよ~!」
「ボ……ボクも!」
魔王の娘は先程までの装いに、新たに白い杖を肩に掛けている。
ニートは頭に白い鉢巻を巻き、手には白い軍手を身につけ、青いジャージを着た足元からは、白いスニーカーが覗いている。
……準備が整ったようだ。
「よし!それじゃあ出発だ!」
こうして、ニートと武器屋と魔王の娘という異質な人物同士の組み合わせは、まずは臭気の原因を探るための “冒険” へ出掛けるのであった。
武器屋が装飾品を作っている。
この装飾品は、魔王の娘が契約した杖に付けるための御守りのようなものになる。
「よし、完成だ!」
「わ~!ありがとう!」
魔王の娘は嬉しそうに、受け取った装飾品を杖にはめた。
「綺麗だね」
ニートも魔王の娘の杖を見て微笑んだ。
「ニート、お前はこっちだ!」
武器屋はニート用の防具を選んでいた。
「まずは頭と手足だな。それからお前……そのジャージは着ていたいのか?」
今のニートの服装は、今朝(昨日)から着ているジャージにスニーカーのみという軽装だった。
「あ、そうだね……。ボク、このジャージ、動きやすいから気に入っているんだ」
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「あ、あの……ボクは運動会にでも参加するのかな……?」
“防具” という言葉から、ニートはグローブやアーマー、マントという如何にも “魔法” な代物を渡されることを想像していた。
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「ははははっ!何を言ってる。お前のその青いジャージと揃えてやったんだぞ?」
武器屋は半分ふざけているのか、ニートの顔を見て楽しそうに笑い飛ばした。
「良かったじゃん、ニートくん!ほら、早く装備しなきゃ~!」
二人に促され渋々それらの防具(?)を身につけたニートは、近くにある姿見を覗き込み、あまりのダサさにその笑顔を引き攣らせるのだった。
「二人とも、準備はできたか?」
大きなリュックを背中に背負った武器屋は、首にタオルを掛けながら二人に声をかけた。
「うん!大丈夫だよ~!」
「ボ……ボクも!」
魔王の娘は先程までの装いに、新たに白い杖を肩に掛けている。
ニートは頭に白い鉢巻を巻き、手には白い軍手を身につけ、青いジャージを着た足元からは、白いスニーカーが覗いている。
……準備が整ったようだ。
「よし!それじゃあ出発だ!」
こうして、ニートと武器屋と魔王の娘という異質な人物同士の組み合わせは、まずは臭気の原因を探るための “冒険” へ出掛けるのであった。
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