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第1章
第5話 ファーストコンタクト
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人気のない村の外れに、二人の声が響いている。
一人はニート、もう一人は魔王の娘である。
「お兄さんが、 “ニート” さん、ですよね?」
「そ、そうだよ。ボクはニートだよ。……君は一体誰なんだい?どうしてボクのことを知っているの?」
人付き合いが得意でないニートの挙動不審な態度を全く気にする様子もなく、魔王の娘は目を輝かせて「わーい!大正解~!」とはしゃいでいる。
「私はね、 “魔王の娘” です!」
「ま、魔王の娘だって……!?」
ニートの困惑している様子にようやく気がついた魔王の娘は「ふふふっ、良い反応しますね!」と笑い、彼にこれまでの経緯を話した。
「それでねっ、ニートさんに協力してほしいんです!」
「ぼ、ボクに魔王の娘のパートナーなんて、できるわけないだろう……」
ニートの返事は予想通りであったのか、魔王の娘は表情を変えずに言った。
「でもねでもね、ニートさん以外には、絶~対できないことなんですよ!ニートさんだって、村がこのままじゃ困るでしょ?このままじゃニートさん、生きていけませんよ!だって “ニート” なんですから!」
「うぅ……あ、頭が……」
痛いところを突かれたニートは、頭を抱えて蹲ってしまった。
「もう~、しっかりしてください!」
魔王の娘はしゃがみ込み、ニートの顔を覗き込んで続けた。
「それで、ニートさん。今、どこに向かっているんですか?」
「あ、ああ……今は宿屋に向かっているよ。君は旅人だから、どちらにせよ泊まる場所が必要だろう?と言っても、村がこの状況だから着いても “宿屋” がいるのかどうか……」
ニートはふと何かに気づき、魔王の娘を見て言った。
「宿屋は村の外れも外れ、森に面した場所にあるんだ。村との接点もあまりない所だから、もしかしたらあの辺りには頼れる人がいるかもしれない。とりあえず、諸々のことは宿屋に着いてから考えよう」
二人は暫く歩くと、一軒の大きな宿泊施設に辿り着いた。
宿屋である。
「わあ~!大きな建物だ!」
魔王の娘は無邪気な笑顔でその入口へ駆け寄って行った。
「つ、疲れた……」
実は、魔王の娘はここへ辿り着くまで、珍しい花を見つけると「可愛い~!」と飛びつき、知らない生き物と遭遇すると「あれはなになに~!?」と興味を示す、ということを何度も繰り返してきた。
彼女の旺盛な好奇心に引きずり回されたニートは、元々あまりない体力のほとんどを消耗し尽くしていたのだった。
「お~いっ、ニートくん!ここ開いてるよ~!」
他人と距離を縮めるのが早い魔王の娘は、いつの間にかニートに対して敬語を使うのをやめていた。
「ま、待ってよ。ボクも入るから……」
魔王の娘は「はやく早く~」と急かしながらもニートが来るのを待ち、二人は宿屋に入って行った。
一人はニート、もう一人は魔王の娘である。
「お兄さんが、 “ニート” さん、ですよね?」
「そ、そうだよ。ボクはニートだよ。……君は一体誰なんだい?どうしてボクのことを知っているの?」
人付き合いが得意でないニートの挙動不審な態度を全く気にする様子もなく、魔王の娘は目を輝かせて「わーい!大正解~!」とはしゃいでいる。
「私はね、 “魔王の娘” です!」
「ま、魔王の娘だって……!?」
ニートの困惑している様子にようやく気がついた魔王の娘は「ふふふっ、良い反応しますね!」と笑い、彼にこれまでの経緯を話した。
「それでねっ、ニートさんに協力してほしいんです!」
「ぼ、ボクに魔王の娘のパートナーなんて、できるわけないだろう……」
ニートの返事は予想通りであったのか、魔王の娘は表情を変えずに言った。
「でもねでもね、ニートさん以外には、絶~対できないことなんですよ!ニートさんだって、村がこのままじゃ困るでしょ?このままじゃニートさん、生きていけませんよ!だって “ニート” なんですから!」
「うぅ……あ、頭が……」
痛いところを突かれたニートは、頭を抱えて蹲ってしまった。
「もう~、しっかりしてください!」
魔王の娘はしゃがみ込み、ニートの顔を覗き込んで続けた。
「それで、ニートさん。今、どこに向かっているんですか?」
「あ、ああ……今は宿屋に向かっているよ。君は旅人だから、どちらにせよ泊まる場所が必要だろう?と言っても、村がこの状況だから着いても “宿屋” がいるのかどうか……」
ニートはふと何かに気づき、魔王の娘を見て言った。
「宿屋は村の外れも外れ、森に面した場所にあるんだ。村との接点もあまりない所だから、もしかしたらあの辺りには頼れる人がいるかもしれない。とりあえず、諸々のことは宿屋に着いてから考えよう」
二人は暫く歩くと、一軒の大きな宿泊施設に辿り着いた。
宿屋である。
「わあ~!大きな建物だ!」
魔王の娘は無邪気な笑顔でその入口へ駆け寄って行った。
「つ、疲れた……」
実は、魔王の娘はここへ辿り着くまで、珍しい花を見つけると「可愛い~!」と飛びつき、知らない生き物と遭遇すると「あれはなになに~!?」と興味を示す、ということを何度も繰り返してきた。
彼女の旺盛な好奇心に引きずり回されたニートは、元々あまりない体力のほとんどを消耗し尽くしていたのだった。
「お~いっ、ニートくん!ここ開いてるよ~!」
他人と距離を縮めるのが早い魔王の娘は、いつの間にかニートに対して敬語を使うのをやめていた。
「ま、待ってよ。ボクも入るから……」
魔王の娘は「はやく早く~」と急かしながらもニートが来るのを待ち、二人は宿屋に入って行った。
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