雨のち晴れ

朔羅那弥

文字の大きさ
上 下
27 / 30

恋は……。

しおりを挟む
『恋』

この性別バースがある以上、避けられないものだろう。

根本は子孫繁栄だろうけど、きっとΩの存在意味はαを作り出す為の器しかない。
αとΩの掛け合わせだと高確率でαが産まれる。確率はほぼ100%らしいが。

だから、αに効きやすいフェロモンがΩにはある。

それが出ない欠陥品の俺には…

「…神宮寺さん、俺は貴方と恋はしません。」

悩んだがハッキリ伝える。じゃないとこの人に失礼だ。

「…理由を聞いても?」

フラれた、寂しげな顔をする神宮寺さん。

「…貴方に相応しくないからです。それに俺は欠陥品だからです。だから、今の研究が出来るんです。」

「…欠陥品だから、俺とは付き合えないと?」

「…多分秘書の小鳥遊さんから聞いているとは思いますが、俺はΩです。」

「…それは聞いてました。Ωだからダメなー」

「Ωだからダメでなく、Ωとして欠陥品だからです。」

「…Ωの欠陥品…とは?」

「…俺はフェロモンが出ない体質なんです。それに発情期ヒートも軽いから、ほぼβと変わらないです。もしかしたら、子どもも産めない可能性が大いにあるんです。貴方は神宮寺グループの副社長、いずれは跡継ぎをと期待される立場でしょう?そんな方との恋愛はハードルが高すぎます。自分には背負いきれないものです。」

自分の体質を知り合って間もない人に言うのは初めてだ。
でも、今後も仕事で会うことが増えるであろうこの人には、きちんと伝えないと何故か思った…..。

俺の説明を聞いた神宮寺さんは、
不思議そうな顔をしていた。

「…それって、ホントなんですか?」

「それとは?」

「フェロモンが出ない体質」

「病院で、何度検査しています。毎回同じ結果で、フェロモンが出ていないと言われてます。」

「…こんなことを言うのは、変に思われるかも知れませんが、初めてお会いした時からずっといい匂いだなと感じてました。」

「はっい??」

「安心できるホッとするいい匂いを椎名さんから出ているのを感じてます。」


安心できる匂い…
それは相性がいいとされているもの。
でも、それは……。

「…ホントに俺からですか?周りに人はいましたし。」

「初めてお会いした時、教授と貴方、俺と小鳥遊の4人だけです。あの部屋には花など無かった。」

そう言われるとぐぅのねも出ない。

「…俺は貴方のフェロモンを感じた時に貴方しかいないと思った。だから、今日会いに来ました。貴方を知りたかったからです。貴方です。」

真剣な目に言葉につまる。

ホントだろうか……。
欠陥品の俺が、恋をしていいのか….。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

初恋はおしまい

佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。 高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。 ※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

美しき父親の誘惑に、今宵も息子は抗えない

すいかちゃん
BL
大学生の数馬には、人には言えない秘密があった。それは、実の父親から身体の関係を強いられている事だ。次第に心まで父親に取り込まれそうになった数馬は、彼女を作り父親との関係にピリオドを打とうとする。だが、父の誘惑は止まる事はなかった。 実の親子による禁断の関係です。

新訳 美女と野獣 〜獣人と少年の物語〜

若目
BL
いまはすっかり財政難となった商家マルシャン家は父シャルル、長兄ジャンティー、長女アヴァール、次女リュゼの4人家族。 妹たちが経済状況を顧みずに贅沢三昧するなか、一家はジャンティーの頑張りによってなんとか暮らしていた。 ある日、父が商用で出かける際に、何か欲しいものはないかと聞かれて、ジャンティーは一輪の薔薇をねだる。 しかし、帰る途中で父は道に迷ってしまう。 父があてもなく歩いていると、偶然、美しく奇妙な古城に辿り着く。 父はそこで、庭に薔薇の木で作られた生垣を見つけた。 ジャンティーとの約束を思い出した父が薔薇を一輪摘むと、彼の前に怒り狂った様子の野獣が現れ、「親切にしてやったのに、厚かましくも薔薇まで盗むとは」と吠えかかる。 野獣は父に死をもって償うように迫るが、薔薇が土産であったことを知ると、代わりに子どもを差し出すように要求してきて… そこから、ジャンティーの運命が大きく変わり出す。 童話の「美女と野獣」パロのBLです

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

ある日、木から落ちたらしい。どういう状況だったのだろうか。

水鳴諒
BL
 目を覚ますとズキリと頭部が痛んだ俺は、自分が記憶喪失だと気づいた。そして風紀委員長に面倒を見てもらうことになった。(風紀委員長攻めです)

処理中です...