雨のち晴れ

朔羅那弥

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自宅

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-20:00

仕事が終わり、自宅へと戻る。

近くにあるソファに体を預ける。
疲れが一気に押し寄せてくる。

-このまま、寝そうだ…。

瞼が落ちそうになっている頃に、
スマホが鳴る。

「何用だよ、翼…。寝れそうだったのに。」
「ソファでだろ?どうせ。いや、さっきさ、コンビニで椎名さんと偶然会ったんだんだけどさ、やっぱり匂いはしなかったぞ。」
「はぁ?お前の家の近くに住んでんのか?」
「違うっての。たまたま、従兄弟に用があったから、従兄弟の家がある近くのコンビニだよ。」
「なんで、匂いを嗅いでんだよ。」
「お前が惹かれた匂いって気になるじゃん。今までそんなこと無かったしな。」
「うるさいな。ホントに初めてだったんだよ。匂いで、安心するなんてさ。」
「ちょっと会話したけど、椎名さん、Ωらしいぞ。」
「マジか!?それなら、尚更お前が何も感じないのが不思議だな。」
「そうなんだよな。匂いに関しては、敏感な方なんだけどなー。」

翼はαの中では、匂いに対して敏感な方で今回のプロジェクトに対しても前向きだった。

「もしかしたら、ホントにお前しか気づかないものかもしれないな。また、会う時に確認しろよ。じゃ、またな。」

一方的に掛けてきて、終わらせる。
まぁ、会社を離れれば、一友人に戻る。
それがないとやっていけないよな。

なんて思いふける。

でも、Ωで匂いがないってことある?
いや、聞いたことがないし。
他のαだとどうなんだ?

いろんな思考が入り交じる。

でも、他のαに彼を近づけたくない。
あんな天使みたいな子を!

こんな独占欲が出るなんて…。

やっぱり彼は運命の番なのか?

でも、俺を見た彼は何とも思ってない様子だったし、なんなら苦手なんだろうとも感じていた。

そんな彼を振り向かすことは出来るのか?

どうにか接点を増やさないと……。

この出会いを無駄にはしたくないと改めて思った。



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