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商談
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神宮寺グループ
医療、福祉、エンタメ界など様々な場面で聞く大企業だ。
古くは華族からやっているとも噂…。
-副社長室-
夕方の商談に向けての資料に目を通していると、コンコンとノックの音が聞こえた。
「はい、どうぞ」
「失礼します。副社長、次の商談について、追加資料をお持ちしました。」
「ありがとう。小鳥遊、翠雨大学の仙城教授のアポは大丈夫か?こちらに合わせてもらったんだから、手土産も忘れずに。」
「手配は済んでおります。仙城教授のお好きな和菓子も準備出来ております。」
「ありがとう。助かる。時間になったら、電話で知らせてくれ。新しいプロジェクトの確認をしてるから。」
「副社長、根詰めないようにしてください」
「時間が無いし、社長に詰められたら嫌だしな。」
手元の資料とPCを交互に確認しながら、作業をする。
「…ふぅ。やりすぎたら、また社長からお見合い写真が来るぞ」
小鳥遊が敬語からタメ口に変わる時は、友人としての注意だ。
「仕方ないだろ?やっと立ち上げたプロジェクトだし、頭固い父さんがやっと了承したんだ。絶対成功してやる。」
「明…。気持ちはわかるが無理するなよ。
また、お見合い攻撃だぞ!」
「翼。お前が断ってくれよ。まだ結婚する気はないんだよ。」
「天下の神宮寺グループの副社長だぜ?しかもαだし。玉の輿に乗りたいっていう人ばっかだろ?選り取りみどり」
ニヤニヤしながら言ってくる翼。悪友でもあるコイツは楽しんでやがる。
「やめろ。うんざりしてるんだからさ。結婚したら、したらで次は子供だろ?親父のような親にはなりたくないしな。」
「…よく、継ごうとしたな。お前。」
「継ぐ気は無かったけど、俺がやらなかったら、弟や妹を使うに決まってやがるし。アイツらにだけは、手を出させないからな。」
「ブラコン、シスコンだな。まぁ、まだ幼いアイツらには自由に生きてほしいもんな」
「だろ?親父に振りまされるのは俺だけでいい。」
強い意志が伝わる一言。小鳥遊は何も言えない。
「今回のプロジェクト、よく通ったな。α脳である親父さんなのに。」
「多分、爺さんが絡んでいるからかもな。親父は爺さんには逆らえないし。」
「なるほど。仙城教授のとこは、爺さんが援助してたっけか。」
「そう。爺さんの方が頭は柔らかいし、性差格差を一番嫌うからな。」
「親父さんはα脳だもんな。Ωのことは劣等種としか考えてないもんな。あと優秀なαを産ませる道具としか見てないもんな。」
「親父は神宮寺家に婿入りした身だからな。爺さんの考え方を理解しようとはしないし、取り入るために言うことを聞いているだけだしな。」
「おふくろさんは見抜け無かったのかね。」
「母さんは箱入り娘みたいなもんだし。身体も弱かったしな。だから、愛人の子も受け入れてるしな。」
「ホント、お前のおふくろさんは優しすぎだよな。」
「子供には罪はないし、たまたま二人ともαだったからもあるだろう。β、Ωだったら捨てられたよ。」
「子供はαしか認めないか。」
「きっとな。俺に見合いを進めるのも、α家系を継続させる為だろうし。」
ため息しか出ない。このプロジェクトを成功させて、絶対に格差を無くしてやる。
「雑談をし過ぎました。では、副社長。
後ほど連絡させていただきます。」
友人から秘書に戻って小鳥遊は、退室する。
まさかこの日が忘れられない出会いになるとはこの時は思わなかった。
医療、福祉、エンタメ界など様々な場面で聞く大企業だ。
古くは華族からやっているとも噂…。
-副社長室-
夕方の商談に向けての資料に目を通していると、コンコンとノックの音が聞こえた。
「はい、どうぞ」
「失礼します。副社長、次の商談について、追加資料をお持ちしました。」
「ありがとう。小鳥遊、翠雨大学の仙城教授のアポは大丈夫か?こちらに合わせてもらったんだから、手土産も忘れずに。」
「手配は済んでおります。仙城教授のお好きな和菓子も準備出来ております。」
「ありがとう。助かる。時間になったら、電話で知らせてくれ。新しいプロジェクトの確認をしてるから。」
「副社長、根詰めないようにしてください」
「時間が無いし、社長に詰められたら嫌だしな。」
手元の資料とPCを交互に確認しながら、作業をする。
「…ふぅ。やりすぎたら、また社長からお見合い写真が来るぞ」
小鳥遊が敬語からタメ口に変わる時は、友人としての注意だ。
「仕方ないだろ?やっと立ち上げたプロジェクトだし、頭固い父さんがやっと了承したんだ。絶対成功してやる。」
「明…。気持ちはわかるが無理するなよ。
また、お見合い攻撃だぞ!」
「翼。お前が断ってくれよ。まだ結婚する気はないんだよ。」
「天下の神宮寺グループの副社長だぜ?しかもαだし。玉の輿に乗りたいっていう人ばっかだろ?選り取りみどり」
ニヤニヤしながら言ってくる翼。悪友でもあるコイツは楽しんでやがる。
「やめろ。うんざりしてるんだからさ。結婚したら、したらで次は子供だろ?親父のような親にはなりたくないしな。」
「…よく、継ごうとしたな。お前。」
「継ぐ気は無かったけど、俺がやらなかったら、弟や妹を使うに決まってやがるし。アイツらにだけは、手を出させないからな。」
「ブラコン、シスコンだな。まぁ、まだ幼いアイツらには自由に生きてほしいもんな」
「だろ?親父に振りまされるのは俺だけでいい。」
強い意志が伝わる一言。小鳥遊は何も言えない。
「今回のプロジェクト、よく通ったな。α脳である親父さんなのに。」
「多分、爺さんが絡んでいるからかもな。親父は爺さんには逆らえないし。」
「なるほど。仙城教授のとこは、爺さんが援助してたっけか。」
「そう。爺さんの方が頭は柔らかいし、性差格差を一番嫌うからな。」
「親父さんはα脳だもんな。Ωのことは劣等種としか考えてないもんな。あと優秀なαを産ませる道具としか見てないもんな。」
「親父は神宮寺家に婿入りした身だからな。爺さんの考え方を理解しようとはしないし、取り入るために言うことを聞いているだけだしな。」
「おふくろさんは見抜け無かったのかね。」
「母さんは箱入り娘みたいなもんだし。身体も弱かったしな。だから、愛人の子も受け入れてるしな。」
「ホント、お前のおふくろさんは優しすぎだよな。」
「子供には罪はないし、たまたま二人ともαだったからもあるだろう。β、Ωだったら捨てられたよ。」
「子供はαしか認めないか。」
「きっとな。俺に見合いを進めるのも、α家系を継続させる為だろうし。」
ため息しか出ない。このプロジェクトを成功させて、絶対に格差を無くしてやる。
「雑談をし過ぎました。では、副社長。
後ほど連絡させていただきます。」
友人から秘書に戻って小鳥遊は、退室する。
まさかこの日が忘れられない出会いになるとはこの時は思わなかった。
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