雨のち晴れ

朔羅那弥

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出会い3

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ある程度、保健室で休んだ後、
約束通り、葛城に送ってもらう。

道すがら、葛城が聞いてくる。

「さっきはお前の体調を気になりすぎて、スルーしてたけど、お前、研究がどうのこうのって教授と話してなかったか?」
「……あぁ、うん。俺がやってる研究のきっかけって、俺の両親なんだよね。」
「…確かΩ同士なんだっけ?それも珍しいよな。あまり聞かないし。」
「…そうだろうな。稀だよ。Ωってαとかβとパートナーにが多いと思うよ。俺の父さんもαとの出会いはあったって言ってたけどさ、どうしても母さんと一緒になりたかったんだと。母さんも母さんで、父さんを愛してたってさ。今じゃ、わかんないけど。俺が出来た時も大変喜んだみたいだし。でも、気持ちだけでは片付けられないものがお互いにあった。」
「…発情期か。」
「…それ。Ω同士じゃ、番にはなれない。数ヶ月に1回必ず訪れる。両親とも、発情期が重くてさ、抑制剤も抑制用注射も効きが悪かった。互いに慰めあっても、治まるまで10日間も要した。こんな調子じゃ、まともな仕事は付けなくて、生活もなかなか出来ずにいたよ。発情期期間は、俺は伯父さん夫夫のとこにいたしな。」

遠くを見つめてしまう。ずっと苦しんでいる両親の姿は未だに忘れられない……。
自分もいつかこうなるんだろうとも…。

「…俺が中学生になる頃に、その状況は変わった。…母さんが、その浮気して、出ていったんだよ。その浮気相手は、α」
「運命の番ってことか?」
「そうだったら、父さんも諦めついただろうけどさ、違う。母さんは楽になりたかったのかも。発情期の苦しさから。母さんはつがってしまったし、父さんに愛情は無いって言って出ていったしな。」
「そこから、父さんは人が変わったように、狂っていった。暴力、酒…。俺にも見向きもしないしな。ずっと母さんの名前を呼び続けるし、似た人を見かけたらストーカー寸前までやったしな。今はやっと、病院に入院できたけどな。」
「それで、副作用のなく、フェロモン抑制剤の研究か。」
「そう。両親を楽にしたかった。それだけ。」
「で、お前は続けたいの?研究、」
「……、研究をしてて、いろんな人と接して行く中で、やっぱり完成させたいと思ってるよ。待っている人もいるし。」
「…良かった。辞めるのかと思ってさ。」
「…せっかくお前とも、友達にもなれたしな。」
「椎名~。でも、ちゃんと飯は食べろよ!あと睡眠な!」

優しい葛城に感謝しながら、家に向かう。
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