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降る。
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飛び出した私は空を見上げながら歩いた。
誰もいなかった。
私をとめるものはなかった。
引き戻すものもなかった。
弟の忘れ物を取りに来たことなど忘れて、この景色を、街並みをこの眼に刻みつけて歩いた。
不思議と気持ちも上がって、いつもより歩くスピードがはやくなる。
どんどん家から離れていく。
「ねえ!」
声がした。
まさか、と思った。
誰も、いるはずがない。
「なんで、君はこんな所にいるの...?」
「あ、あなたこそ」
男の子がいた。
白髪の、この街ではじめてみる顔だった。
「僕は、夕焼けが降る時にしかここに来れないから」
「...どうゆうこと?」
「夕焼けが降らないと、僕は街に出られない」
どうゆうことかさっぱりわからなかったけれど、彼はそれしか教えてくれなかった。
「君は、なんでいるの?」
「えっ」
「普通の人は、みんな地下室にこもってるはずだよ」
「...そうね」
「なんでいるの?」
私がここにいることを咎めるような眼差しで、はやく家に帰れとでも言うような、そんな彼の瞳が冷たかった。
「綺麗だったから、飛び出しちゃった」
「...そっか」
「...うん、ごめんなさい」
「もっと、綺麗な夕焼けが見えるとこに連れてってあげる」
「え?」
「見たくない?」
「み、みたい!」
そういうと、彼は優しく笑った。
さっきより優しくなった瞳で、手を差し伸べられた。
「行こう」
差し伸べられた手を、拒むことは無かった。
今この街には彼と私の二人しかいなかった。
私たちを止めるものはなく、咎めるものもなく。
きっと、帰ったら怒られるんだなあとわかっていたけれど、そんなことはどうでもいいくらいに、今この瞬間が、綺麗で、儚くて、どうしようもないくらい、
失いたくないと思えた。
名前も知らない、ただ一言二言交わしただけの彼のことを、大切だと、私は思えた。
繋いだ手から伝わる体温が、暖かくて、視界に映る全てが美しくて。
「着いたよ」
誰もいなかった。
私をとめるものはなかった。
引き戻すものもなかった。
弟の忘れ物を取りに来たことなど忘れて、この景色を、街並みをこの眼に刻みつけて歩いた。
不思議と気持ちも上がって、いつもより歩くスピードがはやくなる。
どんどん家から離れていく。
「ねえ!」
声がした。
まさか、と思った。
誰も、いるはずがない。
「なんで、君はこんな所にいるの...?」
「あ、あなたこそ」
男の子がいた。
白髪の、この街ではじめてみる顔だった。
「僕は、夕焼けが降る時にしかここに来れないから」
「...どうゆうこと?」
「夕焼けが降らないと、僕は街に出られない」
どうゆうことかさっぱりわからなかったけれど、彼はそれしか教えてくれなかった。
「君は、なんでいるの?」
「えっ」
「普通の人は、みんな地下室にこもってるはずだよ」
「...そうね」
「なんでいるの?」
私がここにいることを咎めるような眼差しで、はやく家に帰れとでも言うような、そんな彼の瞳が冷たかった。
「綺麗だったから、飛び出しちゃった」
「...そっか」
「...うん、ごめんなさい」
「もっと、綺麗な夕焼けが見えるとこに連れてってあげる」
「え?」
「見たくない?」
「み、みたい!」
そういうと、彼は優しく笑った。
さっきより優しくなった瞳で、手を差し伸べられた。
「行こう」
差し伸べられた手を、拒むことは無かった。
今この街には彼と私の二人しかいなかった。
私たちを止めるものはなく、咎めるものもなく。
きっと、帰ったら怒られるんだなあとわかっていたけれど、そんなことはどうでもいいくらいに、今この瞬間が、綺麗で、儚くて、どうしようもないくらい、
失いたくないと思えた。
名前も知らない、ただ一言二言交わしただけの彼のことを、大切だと、私は思えた。
繋いだ手から伝わる体温が、暖かくて、視界に映る全てが美しくて。
「着いたよ」
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