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1. 始めての睦事
しおりを挟む──俺は今日、初めて愛しい恋人に抱かれる。
ベッドの上、もう服を脱いだ状態だ。目の前の愛しい彼は、柔らかいタオルでそっと俺の腕を優しく、それでいて強く纏めて頭の上に置いた。
「ん」
「ごめんね、多分君はこの方がいい気がする」
「なるほど。お前のやることに何も文句はないから」
「ふふ」
そっとキスをされて、俺は少し応えるに留めておいた。多分普段のデートは俺がリードしているし、初めて為すがままになる恥ずかしさから抵抗すると思ったのかもしれない。……しかし、今日は彼に全て主導権を渡すと決めている。
「たくさんたくさん、気持ち良くなって欲しくて。今日、尽くしたくて尽くしたくてしょうがないんだ、たくさん愛しても、ゆるしてね」
「ああ。全部、受け止めるよ」
「すき」
「俺も」
それに微笑んで、彼は俺の首に独占欲の証である赤い痕をつけた。そのまままだ開発されていない俺の胸の先を、するり、と撫でる。そのまま撫でつつ、時折くりくりと捏ね回すように動きを変えた。ちろり、と舌を使って、唾液を塗りながら、指と舌で刺激されていく。
「ん、……っ、ぁ」
「我慢しないで。口、開いてて。ね、お願い、聴かせて?」
「ん、……あっ、……ふ、……ッ、ぁ」
彼の言葉で、口を開いたまま、感じたままの声を出すように努める。だんだんびりびりとした刺激が突起を伝い、びくり、と腰が浮いた。
「あ、……っ、……んっ!」
こり、と突起を押されて摘むように捏ね回され、唾液でどろどろに溶かされる。
「んぅ、……ぁ、っ! あ、……っは、」
「……かわいい、」
「んんっ、ぁ……! それ、は……」
指の腹を使って、撫でるように、時折抉るように動かされると俺は深く深く反応してしまい腰を浮かせた。初めてとは思えない反応のせいか、彼の仄暗い部分が出てくるのを何となく感じる。ああ、めちゃくちゃにしたい、という瞳で、こちらを見られた。
「これ、すき?」
「ぅ、……ぁっ、んん……っ」
「言って……?」
「んっ、……、す、き。……ぁ、あっ」
「かわい、」
そのままこりこりと突起を刺激しながら、彼は俺にキスをして舌を絡める。静かな宿の中だからか、くちゅ、と唾液が混ざり合う音が、まるで頭に直接響いているように感じた。
「っ、……、ん、!………っ!」
「は、……」
何度も何度も舌を絡めて、俺が腰を何度も何度も跳ねさせたあたりで、やっと口を離してもらえた。
「はっ、あ……! はーっ、は、……ハッ、」
「ごめんね、苦しかった?」
「ん……いや、……いき、するの、わすれてた」
俺が落ち着くのを待って、彼はただ髪を撫でてくれる。(この人が息をするのを忘れるほど余裕がなかったなんて、愛しい以外の何物でもないじゃないか)と目の前の彼が思っていたのを、俺が知る術はなかった。
「ふふ。初めてだもんね。大丈夫、絶対きもちよくするね」
「ん、……もう、気持ちは良かったよ」
「もーっとだよ。……ちょっと、これ飲んで」
「っ?」
ちゅ、と軽いキスをされて、舌で口を開けられる。抵抗しないようにか、まとめてある腕を更に手で掴まれた気配がした。そしてぐい、と顎を掴まれて、彼の唾液と共に何か薬のようなものが口に入ってくる。
「っ?!」
異物が喉に入ってくる感覚に、抵抗しようと身体が勝手にびくり、と跳ねるが彼にそれを押さえつけられた。
「ん、んっ、」
「ぜんぶ、のんで」
「ん、……ぁ、……」
彼の唾液ごとそれを飲み込むと、だんだんと身体が熱くなってきて力が抜ける。……これは、まさか。
「ちょっとした媚薬だよ。危険なものじゃないから安心してね。どう? きもちい?」
「あ、……ん、……、きもち、いい」
「うん」
媚薬は今まで飲んだことがないから少し不安ではあったが……初めてだから、たくさん気持ちよくなって欲しいのだと、苦痛を与えたくはないのだと愛しい人に言われてしまえば、されるがままになるしかなかった。
「さわるね」
「あ、……んっ、……ふ」
彼の手が下腹部をするり、と撫でて、下へ向かう。もう反応している俺の熱に手を伸ばし、触れた。
「ぁ……ッ、……ん、ぅっ、」
とろり、と俺のモノに彼は自分の舌から唾液を垂らすと、そのまま優しく撫でるように手のひらで刺激し始めた。
「あ、っは、……! ぁ、あっ……!」
「君は、どう触られるのがきもちいかな…」
「ん……ぁっ、あ……!」
「こう? ……それとも、こう?」
熱の先端を指先でくりくりと撫でるように触られたり、手全体を使って包み込むように触られたりする。
「ッ、な、あ……! ぁあっ、んっ、!」
「なあに?」
「す、き……、ぁ、あっ、」
「っ……おれもすきだよ」
(可愛すぎる。いつもははっきりとした意志を持つ瞳が、溶けそうになってる。あの瞳を、もっと、どろどろに溶かしたい)と、目の前の彼は考えていたようだが、俺は初めて与えられる直接的な快楽に翻弄されていて、全く気づかなかった。
「ん、っ……ぁ、あ。ふ、……ッ」
熱を擦るように上下に刺激されると、びくり、びくりと跳ねる俺の腰を撫でて、そのままの流れで胸の突起を摘まれた。
「ひ、?! ぁ、あ……ッ、んっ……、あ、」
そのまま俺が一番反応を示していた、指の腹で撫でるように触り、こりこりと中心をえぐるように責める触り方で触られていく。
「~~っ、あ、ぁ、ッ、あ」
「いつか、ここだけでイけそうだよねえ……?」
「ッ、……ぁ、そんな、むり、……っ?! ぁ、あ、っ?!」
「ほら。ふふ」
ぐり、と突起を強く抉られると、俺は腰を跳ねさせて彼に縋った。
「むり、ぁ、……いきそ、っ……」
「うん、たくさんイっていいんだよ?」
「っ、……ッ、……~~~っっ!」
どろり、と俺の瞳が溶ける。一際びくん、と腰が跳ねて、熱から白濁液が流れ落ちていった。
「うまくイけたね。えらいよ」
「……っ、……、ふ」
「あれ、まだ余韻かな?ふふ」
どこかぼんやりと彼を見つめる俺を、優しく撫でてくれる。(本当にこの人は感じやすくて、すっごくかわいい。でも、そのためにはもっと感じられるようにしてあげなきゃ。特に、前立腺で)と彼が考えていることなど知らずに、俺は髪を撫でられていた。
「ぁ、……」
すり、と彼の手に擦り寄って、お互いのことが愛しくて堪らなくなる。
「ねえ、……ナカ、さわってもいい?」
「……お前なら、いい」
「ふふ。ありがとう」
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