完 1週間だけ、わたしの彼氏になっていただけませんか? (番外編更新済み!!)

水鳥楓椛

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番外編② (8)

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 結菜はふと今まで全てにおいて、父から反対をされたことがなかったことを思い出す。

(習い事も、お勉強も、学校も、何もかもわたしは自由に選択できました。双葉の娘であるのならば、私立の名門に通い人脈を繋いでほしいでしょうに、病院長はそれを命じられなかった。それどころか、わたしに自由に選ぶようにと命じられました。………考えれば簡単に分かること………ではありませんが、深読みすれば分からなくもなかったはずです。わたしは、何も理解しようとしていなかった。心を閉ざして、全てから逃げて、その結果いくつもの大事なものを見失ってきた。わたしはもう、間違えられない)

 結菜は唯斗と共に市役所を飛び出し、その大きな背中に声を上げる。

「お父さんっ、」「父さん!!」

 ものすごく驚いた表情で振り返った男は、けれど次の瞬間思いっきり舌打ちをした。

「小鳥遊のバカ、情報を漏らしやがったなっ!!」

 こっそりと用意していた誕生日プレゼントを見つけられてしまった反抗期の子供のような反応をした父に、結菜は僅かに困ったような表情を、唯斗は睨みつけるように鋭い表情を向けた。

「………育ててくださったこと、庇ってくださったことには感謝しております。で・す・が、兄さんと一緒に口下手を治してください。分かりづらいです」

 少しツンとした態度で話した結菜に、父は居心地悪そうに視線を横にずらした。

「あんたはもっと人を頼るべきだ。俺はそんなに頼りないか?頼る気も起きないぐらいに、無能か?」

 唯斗が傷ついたようにあげた声に、父はグッと言葉をつまらせた。

「………………すまなかった」

 小さな呟きは、辛うじて結菜たちの耳でも拾うことができた。

「綾乃が何をしでかすかわからない状況で不用意に動きたくなくて、こんな無茶な行動をした。………悪かった」

 父が母を警戒しているという状況に首を傾げた結菜に、唯斗は苦笑する。

「母さんの実家は双葉の中でも2番めに力がある家だぞ?あの女には相当な発言力がある。下手したらそこにいる口下手よりも味方がいるかもな」

 唯斗の皮肉たっぷりな言葉にピクピクと青筋を立てた父は、結局全てを沈み込ませるような大きなため息を吐き出した後、結菜たちに背を向けてあっという間に歩き始めた。

 その背中を止めたくて、振り向いて欲しくて、結菜は手を伸ばす。

(何か、何か………!!)

*************************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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