完 1週間だけ、わたしの彼氏になっていただけませんか? (番外編更新済み!!)

水鳥楓椛

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番外編① (8)

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「あなたの協力のおかげで俺たちは駆け落ちできた。そして、今なお病院長先生を錯乱し、逃げ続けられている。感謝してもし足りません」

 唯斗は大きなため息をついた後、ぶっきらぼうに言葉を発する。

「………感謝はいらん。その代わり長生きして、結菜を絶対に置いて逝くな。あいつのそばに居続けろ」
「言われずとも」
「………………お前が生きている限り、お前が結菜に誠実である限り、俺はあの男を騙し続ける。結菜を隠し通す。目立つ行いさえしなければ、一切問題ないはずだ」

 ゆっくりと瞼を閉じた唯斗は頭をフル回転し、将来の道筋を立て直す。

(………少々、否、だいぶ難しい案件だ)

 旧財閥系を辿る双葉家の人脈、情報網は想像を絶するほどに膨大だ。

(けれど、———俺の力と人脈を持ってすれば、不可能ではない)

 その為には、国内最難関大学の医学部医学科に進学することが最低条件。

(さぁて、まずはサボっていた勉強を密かに再開することからかな)

 いずれ、将来的に、最終的に手に入れるはずだったものを、さっさと手に入れなければならなくなった唯斗は、その険しい道のりに挑発的な笑みを浮かべた。

(あんなクソ親父にはさっさと引退して御隠居願うに限る)

 数日前に口元に開けたピアスをペロリと舐めた唯斗は、心配そうな視線を向けてくる陽翔に自信満々な笑みを向けた。

「安心しろ。俺の辞書に不可能という言葉は存在していない」

 一瞬きょとんとした表情をした陽翔は、やがて優しい笑みを浮かべた。

「あなたたち兄妹は、似ていないようでどこかそっくりだ」

 ———がらがら、

 スライド式の扉を開けて入ってきたお風呂上がりの結菜は、目を見開いて固まっている唯斗と優しい微笑みを浮かべた陽翔に首を傾げた。

「どうかしましたか?」
「「いいや、なんでも」」
「???」

 小さく向き合って笑っている2人に、結菜はなおのこと意味がわからないと言ったような表情をする。けれど、2人はどんなに尋ねられても答えは明かさなかった。

 結菜と陽翔の駆け落ちの背景には、妹を守る為に己の信頼の失墜をも厭わない兄の、身を削るような献身が潜んでいた———。

*************************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
これにて番外編①『2人がどうやってゆなの親から逃げ切りったのか』は終了です!!
次話からは番外編②『2人がどうやって結婚できたのか』になります。
②の方もhiroさまご依頼の番外編となっております!
ご期待に添えるよう一生懸命執筆いたしましたので、お楽しみ頂けるととっても嬉しいです♪
ぜひ最後までお付き合いください!!

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