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14 初めての素朴なチーズケーキ
しおりを挟む「お待たせいたしましたー!!デザートのチョコレートケーキとチーズケーキです!!」
「!?」
頼んでいないはずのものが届いて、結菜は目を見開いた。
(いいえ、もしかしたら、わたしが知らないところで頼んだのかもしれませんし………)
ぐぬぬっと考え込んでみるが、結菜にはさっぱり分からない。
「ご注文は以上ですか?」
「はい、ありがとうございました」
結菜が分からないことに悩んでいるうちに、彼は元気なお姉さんとトントン拍子に話を済ませていく。
「ん、食べよっか」
「え、あ、あの………」
「ふっ、やっぱり気づいてなかったんだ。さっきオムライスとミートスパゲッティーが届いた時に注文したんだよ。キミはほかほかのオムライスに夢中だったけどね」
そう言って、陽翔は結菜にチーズケーキを差し出してきた。
サクサクであろうクッキー生地の上に、火で炙られてこんがりと飴色に焼き目がついているチーズは素朴でとても美味しそうだ。そして何より、結菜の知っているケーキと全く異なっているところが興味深い。
結菜の知っているチーズケーキというのは、宝石にようにきらきらと輝くものばかりだ。
クッキー生地は花のように華やかに形どられ、チーズは外国産の高級品のみをブレンドしていて、ケーキの上には繊細に作り上げられたアーチや艶々と輝くフルーツが飾り切りされたものが乗っていた。
簡単に言えば、結菜の知っているチーズケーキというのは、一種の芸術品のみなのだ。
「これが、チーズケーキ………」
じっと形や焼き加減を観察した後に、陽翔の方を見て、彼が苦笑した後頷いたのを見つめてから、結菜は華奢なフォークをチーズケーキに入れる。
チーズの部分はねちょっとした感覚、クッキー生地の部分はサクッとした感覚がした。
ふんわりと優しげでいて濃厚なチーズの香りに誘われるようにして、結菜はフォークを口元に運ぶ。
「!!」
とろっと口の中で絶妙にとろける濃厚なチーズに、バターが良く効いた甘すぎないサクサクのクッキー生地。
香りはもちろん、耳に響くクッキー生地を食む音も楽しい。
「レモンが良く効いていますね。とっても美味しいです!」
ご機嫌に食べ進めていると、彼は結菜に一口分けてと口外に伝えてくる。
結菜は恥ずかしさに蓋をしながら、またもや最後の一口を彼に譲ることになった。
「あ、あーん」
「んっ、………やっぱりここのシェフの料理の腕は確かだね。ハズレがない」
口の端についたチーズを親指で拭ってぺろっと舐めた彼は、とてもご機嫌そうだ。
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読んでいただきありがとうございます🐈🐈⬛🐈
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