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1章 幸せの花園
61 禍転じて福と成す (2)
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「………魔女さまは、『禍転じて福と成す』という諺をご存知ですか?」
「えぇ、知っているわよぉ。災いをうまく利用してぇ、好機に変えるっていうぅことでしょぉ?」
「はい。………僕は、常にそうありたいと願って、そしてそうあるように行動しています。まあ、結果的に見るとできていませんが………」
「そうねぇ。お前はいつもぉ、うじうじうじうじ悩んでぇ、病んでぇ、それでぇ、周囲に迷惑をかけているわねぇ」
魔女の言葉が痛いぐらいに胸にグサグサと刺さってくる。事実でありが故に、なおのこと辛いのだろう。
「………僕は、次こそは先ほど言ったようにありたいのです。僕の魔力制御能力では、リュシエンヌを救うことができなかった。だからこそ、魔力制御能力を向上させ、身近な人がまたリュシエンヌのように暴走を起こしてしまった際には、絶対にその人を救いたい」
強い意志を宿した若葉色の瞳が、魔女の妖艶な黄金の瞳を強く射抜く。
数十秒、否、数秒ののち、魔女はふわっと困ったように微笑んだ。青いリップが艶やかに光を孕む。
「………………やってみるといいわぁ」
魔女はできるとは言わなかった。それが、多分、答え。けれど、ノアは絶対に諦めない。理想を追わないものは理想の中間地点にあるものさえも手に入れることができない。理想や目標は常に高く、持ち続けなければならない。
「頑張りますね、魔女さま」
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
「えぇ、知っているわよぉ。災いをうまく利用してぇ、好機に変えるっていうぅことでしょぉ?」
「はい。………僕は、常にそうありたいと願って、そしてそうあるように行動しています。まあ、結果的に見るとできていませんが………」
「そうねぇ。お前はいつもぉ、うじうじうじうじ悩んでぇ、病んでぇ、それでぇ、周囲に迷惑をかけているわねぇ」
魔女の言葉が痛いぐらいに胸にグサグサと刺さってくる。事実でありが故に、なおのこと辛いのだろう。
「………僕は、次こそは先ほど言ったようにありたいのです。僕の魔力制御能力では、リュシエンヌを救うことができなかった。だからこそ、魔力制御能力を向上させ、身近な人がまたリュシエンヌのように暴走を起こしてしまった際には、絶対にその人を救いたい」
強い意志を宿した若葉色の瞳が、魔女の妖艶な黄金の瞳を強く射抜く。
数十秒、否、数秒ののち、魔女はふわっと困ったように微笑んだ。青いリップが艶やかに光を孕む。
「………………やってみるといいわぁ」
魔女はできるとは言わなかった。それが、多分、答え。けれど、ノアは絶対に諦めない。理想を追わないものは理想の中間地点にあるものさえも手に入れることができない。理想や目標は常に高く、持ち続けなければならない。
「頑張りますね、魔女さま」
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