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1章 幸せの花園
61 禍転じて福と成す (1)
しおりを挟む◻︎◇◻︎
「んっ、」
喉が渇いて、お腹が空いて、自然と目が覚めた。
自分の中にある生きることへの渇望に、ノアは苦笑する。
視界が揺らぎ、全身が重い。
数分ののちにやっとはっきりしてきた意識を叱咤して、ノアはゆっくりと起き上がる。
頭上を覆っていた星々の輝きを連想させるプラネタリウムのようなお部屋を見て、ノアは自室で寝かされていたことに僅かに驚き、そして納得する。
———魔女さまの仕業か………、
魔女はまだノアが死ぬべきではないと判断したのだろう。
だから、魔女はノアに手を貸すのだろう。
「あらぁ?起きたぁ?」
「はい、………運んでくださりありがとうございました。魔女さま」
ノアが髪を結っていないからかぐしゃぐしゃ髪に汚れがついたドレスでだらけている風な魔女は、ノアに緩い微笑みを向けている。
「でぇ?ノアぁ、あなたはこれからぁ、どうするのぉ?」
「どう、とは?」
ぱちぱちと瞬きを重ねたノアに、魔女は困った風に首を傾げる。
「えぇー、“反省”とかないのぉ?」
———はんせい、半生、藩政、繁盛、半成、藩制、はん、せい?………………反省???
唯我独尊を体現したかのような魔女の口から出た、彼女にはあまりにも似合わない言葉に、ノアはぽかんとしてしまう。
だが、次の瞬間にはそんな思考を打ち破って魔女の問いかけについてしっかりと考える。
魔女の問いかけに意味がないものなんて存在しない。彼女は、ノアの成長に必要なものだけを適切量与えてくれるのだから。
———反省………、
ノアは瞼を落とし、深く息を吐いた。
そうしなければ、心がざわざわと騒ぎをあげて、苦しい、悲しい、逃げ出したいと騒いでしまうからだ。
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