永遠を生きる魔女と元王子の使い魔くん 〜永遠を生きる魔女と世界を恨んでいる元王子の初恋は、全世界を敵に回す〜

1章 幸せの花園

55 伝説の食材 (2)

　魔女が堂々と言ってのけた言葉に、ノアはじとっと目を細める。

「………賞味期限はあくまでも味の保証であるということは認めます。しかし、賞味期限が大幅に過ぎること、それはすなわち消費期限も過ぎてしまうということなのですよ？」
「ん？でもぉ、消費期限なんて書いてないんだしぃ、大丈夫ぅ大丈夫ぅ～！」

　魔女の楽観的な態度に、仕草に、ふわふわと揺れ動く白銀のチリチリ髪に、ノアは大きなため息をこぼしてしまう。

「………リュシー、お腹壊してませんでしたか？」
「ん？どうだったっけぇ？」

　のほほんとしている魔女は、やっぱり魔女だ。

「………絶対に壊していたはずです」
「そっかぁ～。じゃぁ、今度からはぁ気をつけるねぇ」
「2度と出さないでください」

　はっきりと言ったノアに僅かに面食らった顔をした魔女は、緩く淡く微笑んだ。

「成長したねぇ、ノアぁ」

　ぱふぱふと優しく頭を撫でられる。

「………ここに来てから大分経ちますから」

　ぶっきらぼうなノアの頭を再度撫でた魔女は、リュシエンヌにも微笑みかける。

「次からは気をつけるわねぇ」
「………あたしにも2度と出さないで。というか、食事はあたしかノアが用意するから、あんたは絶対に関わらないで」
「えぇー、ひどぉーい」
「「当たり前です」」

　魔女のせいで腹を下した2人の心が完璧に一致した瞬間であった———。

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