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1章 幸せの花園

48 本当の願い (3)

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 彼女をくるりくるりと回すようにして、ノアはリードする。
 寝ぼけていても問題なく踊れるくらいに叩き込まれているダンスは、踊りのステップを知らない少女ひとりのサポートを行うことくらい造作もない。

「ねえ、ノアール。本当に欲しいものはないの?」
「ん?………特にないよ」

 ダンスによって生み出される風に月花草の花弁が舞う。
 幻想的な星空の下、ノアとリュシエンヌはクルクルと踊る。

 どこか幸せな光景に、空気に、ノアの心はゆっくりと溶けていく。

「ねえ、ノアールは踊るの好き?」
「嫌いではないかな」
「そっか」

 くるくると澱みなく踏んでいたステップが、一瞬の緩みで解ける。

「「あっ、」」

 2人の声が重なる。
 足が絡まり合う。

 顔面から仲良くすっ転んだノアとリュシエンヌは、顔を見合わせて声を立てて、お腹を抱えて笑う。
 心がぽかぽかあったかくなって、幸せな気分になる。

 ———あぁ、そっか………。僕は、心の底から一緒に笑える家族が、お友だちが欲しかったんだ………。

*************************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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