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1章 幸せの花園

47 欲 (2)

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 穏やかに微笑み、何事もなかったかのように凪いだ心で全てを水に流す。
 それこそが、ノアに望まれている主君としての正しい姿であり、父王が手に入れられなかったもの。

 ノアはそれら全てを手に入れなければならない。

 多くの民を守るために、王位を取り戻すために、強くなって、強くなって、強くなって、正しくなって、己の全てをかなぐり捨てて、夢も、希望も、望みも、全部全部捨てて、捨て去って、何もかもを押し殺して、………王にならなければならない。

 ———そうしなければ、僕の生きている意味なんて、理由なんて、ない。生きていいって言ってもらえない。

 身体が震える。
 心が震える。

 全身が助けてって叫んでる。

 ———痛い、苦しい、悲しい、寂しい。

 ノアは誰よりも甘えん坊で、誰よりも甘えることを許されない。

 欲は本当に怖い。
 魔女にほんの少し優しくされただけで、持っていた欲望が大きく膨れ上がって、今じゃもう取り返しがつかないほどに“愛”に飢え始めている。

 誰でもいいから、自分のことを許してほしい。肯定してほしい。

 ただただノアの全てを許して、抱きしめてほしい。

 ———あぁ、やっぱり。………僕って愚かだなぁ………。

 さあっと風が吹き上がり、青い花弁が空を舞う。
 ひらりひらりと舞い散る花弁は、どこに向かっていくのだろうか。

 その答えを、ノアは知らない———。

*************************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

ストックがなくなったので更新がなくなる日があるかもしれないです。
申し訳ございません🙇‍♀️

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