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1章 幸せの花園
44 魔女の呪い (3)
しおりを挟むものすごく、自信のない声が出た。
———情けないな………。
怖くて、苦しくて、悲しくて仕方がない。
叔父との関わりなんて、ほとんどなかった。
会うことができるのは大きめのパーティーだけで、ノアと話すことはなく、互いに目線が合えば礼をするだけの関係。
赤の他人とほとんど変わらない関係だったのにも関わらず、目の前でノアの父王を殺した張本人であるのにも関わらず、ノアは少しばかり叔父に情を持ってしまっている。
「こんな、………こんな弱い僕でも、叔父を、殺せますか?人を、殺せますか?」
「………どうだろうねぇ」
穏やかに微笑んだ魔女に、ノアは苦笑した。
———まっぱり、魔女さまは絶対に嘘をつかない。
魔女が思うに、ノアは叔父を、人を殺せないのだろう。
———弱い自分が嫌、になる………。
弱って弱って、弱っていく。
ノアは基本弱い。脆い。
嫌なことは極力逃げたいし、関わりたくない。
でも、王子だからそんなことは許されないし、王子だから戦い続けなければならない。
王子だから、———ノアは強くなくちゃいけない。
「魔女さま、僕は《王子さま》を捨てられますか」
「捨てられないんじゃなぁいぃ?」
魔女はやはり嘘をつかない。
たとえそれが残酷なことで合ったとしても、真実のみを口にする。
そんな魔女に、ノアは心を救われた———。
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