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1章 幸せの花園
41 ノアと飢えている食事 (2)
しおりを挟む3つの皿に無事カレーをよそい終わったノアは、ふぅーっと息を吐いてから3皿同時に、大きな1枚板の机に運ぶ。
ごちゃぁっと散乱している魔女の調薬等の道具や本を机の端に寄せて、皿とカトラリーを並べたら、最後におかずのサラダを運んで晩ご飯の完成。
「………あたしも食べていいの?」
呆然と問われたリュシエンヌの言葉に、ノアはぱちぱちと瞬きをする。
「? 良いに決まっているだろう」
一瞬くしゃっと泣きそうに歪んだように感じられたリュシエンヌのくちびるに、ノアは首を傾げる。
「さぁ、食べよう」
ノアの合図に、全員が手を合わせ『いただきます』と気持ちの良い挨拶をする。
スプーンに乗せた激辛カレーを口に入れたノアは、その美味しさに頬を緩め、そして気がついた。
———あぁ、そっか………。みんなで一緒に食べるから美味しいんだ………。ひとりぼっちじゃないあったかい胸のぽかぽかが、ご飯を美味しくしてくれるんだ………。
初めて気付いたその真実に感動した次の瞬間、あまりの辛さに絶叫をあげながら水をがぶ飲みするリュシエンヌによって、その感動はぶち壊されることになった。
この後、あまりにも辛いものを振る舞われたことに怒ったリュシエンヌと、水をがぶ飲みしたり、スプーンを投げたり、食事中にもかかわらず席を立って大暴れするなど、食事のマナーがなっていないリュシエンヌに苛立ちを隠せなくなったノアによる、周辺一帯を破壊する大きな魔法対決が起こってしまったのだが、それはまた別のお話である———。
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