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1章 幸せの花園
39 アイゼン王国の今 (3)
しおりを挟む「はぁー、これならまだ、旧王家が納めていた時の方がマシだったわ。《魔女狩り》なんていう愚かなこともしなかったし。今やアイゼン王国、いいえ、王家が簒奪されたのだからアイゼン“帝国”ね。アイゼン帝国ははちゃめちゃ。市民だけじゃない、魔女にさえも見捨てられた国になってしまったわ」
リュシエンヌの言葉に、ノアはぎゅっと拳を握り込んだ。
「それにしても、新国王カイゼンが強すぎることが問題ね。圧倒的武力と生まれ持ったカリスマ性が悪い方向に作用してる。あれじゃあ誰もあいつを殺せない」
「そんなにぃ?」
「………えぇ。魔女でさえも手出しの術を失ってしまっているぐらいには強いわ。村最強の魔女だった《劫火の魔女》である母さまも、一瞬で殺された。あの男、魔力は少ないのに魔力効率のいい魔法の使い方をするせいで、最上級魔法をばんばか放ってくるんだもの。勝ち目なんてないわ」
肩をすくめたリュシエンヌに、ノアは指を震わせた。
「………そいつにぃ、何か弱点はなかったのぉ?」
「ん~、弱点?あったら今ここにいないと思うよ?」
「そっかぁー、分かったよぉ」
「あぁでも、緑眼の男を怖がっていたよ。大人も子供も関係なく、緑眼を恐れてた」
「緑眼、ねぇ?」
意味深に魔女がノアの背中を見つめた気がする。
ノアは彼が緑眼を恐れる、その理由を知っている。
けれど、それはまだ明かせない。明かしてはいけない。
これは、王家の威信に関わる問題だ。
———でも、………本当にそれでいいのかな………………。
*************************
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