永遠を生きる魔女と元王子の使い魔くん 〜永遠を生きる魔女と世界を恨んでいる元王子の初恋は、全世界を敵に回す〜

水鳥楓椛

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1章 幸せの花園

35 魔女との訓練 (1)

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◽︎◇◽︎

 ノアが魔女に禁止されている魔法の訓練を始めてから1週間という月日が流れた。
 毎日毎日泥のように眠るくらいに身体に疲労を溜めているノアは、けれど、自分が着実に強くなっていっていることを強く実感していた。

 今までにないほどの最高のパフォーマンスが維持されている。
 それは、魔女との戦闘訓練を通じ、明らかになった。

「ほらほらぁ~、さっさと避けないと殺しちゃうぞぉ~」

 魔女の呑気な声でここがお花畑のようにしか聞こえないかもしれないが、今現在ノアが立っている場所は岩肌の露出した森の奥深くにある訓練場だ。
 魔女によって強力な術式の貼られているこの場所は、3時間おきに地形が全て“元通り”になってしまうというなんだか曰く因縁付きのように感じられる作りとなっている。

 だからかどうかは知らないが、魔女は遠慮がない。
 元々遠慮という言葉とは無縁であり、遠慮の『え』の字も知らない魔女だからかもしれないが、それはもう考えないようにしている。

 ———ボッコーン!!

 激しい音と爆炎が上がり、ノアが先ほどまで立っていた場所に火炎が立ち上る。
 露出している岩肌には激しいクレーターが出来上がっており、もう足の踏み場もなくなってきている。
 どこを踏みしめても岩がぼろぼろと崩れ、踏みしめきれない。
 剣を持っている手が震え、その一瞬を見逃さない魔女によって魔法で作り出したアイスランスをぶつけられる。
 重心のズレをその都度修正しているのにも関わらず、魔女はそのズレの修正を読み攻撃をしてくるものだから、あっという間に攻防は逆転されてしまう。
 守りに徹するんて性に合わないのに、守りに徹さざるを得ない状況を生み出されていることに苛立ちを覚える。

「はッ!」

 激しい攻撃の合間に攻撃特化の光の魔力を付与した剣を魔女に叩き込むが、一切効果がない。
 慣れ切ったことであっても凹んでしまう現状に僅かに頬を膨らましながらも、ノアは小手先の技も駆使して、魔女からの攻撃の隙間にどうにか攻撃を叩き込んだ。
 だがしかし、魔女はそれを軽々といなしてしまう。

「くっ、」

 それどころか、岩肌に背中から勢いよく叩き落とされてしまったぐらいだ。
 口からこぼれ落ちる空気と共に、ノアの意識は一瞬遠のく。けれど、気合いでどうにか剣を握り直し、再び魔女へと突っ込んだ。

*******************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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