永遠を生きる魔女と元王子の使い魔くん 〜永遠を生きる魔女と世界を恨んでいる元王子の初恋は、全世界を敵に回す〜

1章 幸せの花園

31 夢うつつと現実と (3)

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　ふわりと目が覚めた瞬間、ノアの視界を覆うのは美しき夜空のような天井。
　魔女が用意してくれた美しき部屋。

　魔女がお湯を沸かしているのであろうふしゅーっという音が1回から聞こえてくるのをぼーっと聞きながら、ノアはゆっくりと首を横に動かす。

　そこからは、今まであったものが消えていた。
　優しいミルクティー色の揺り籠だ。

　なんとうなく気がついたらノアは、けれど首を横に振ってその現状を否定する。

　かたんかたん、ぎしぎし、

　魔女が階段を登ってノアの部屋にやってくる音が聞こえる。
　気だるい身体をゆっくりとベッドから起こしたノアは、魔女が持ってきたお惣菜パンと牛乳に小さく瞳を輝かせた。

　ぐぅ、

　小さく鳴き声を上げる腹の虫の欲望に従い、ノアは魔女から無言で手渡されたお惣菜パンに「いただきます」と挨拶をしてからかぶりつく。

　シャキッという軽やかな葉野菜の音色と、じゅわりとした照り焼きチキンから溢れる肉汁のコントラストが幸せだ。
　はちみつの混ぜられたちょっと甘めの牛乳で油をさっと流したノアは、トマトがチラリと覗くお惣菜パンに再びかぶりつき、照り焼きとトマトのとろける感覚を満喫する。
　葉野菜を違う野菜に置き換えた際の味の変化を想像しながら、照り焼きの味付けを予想しながら、ノアは無事にお惣菜パンをペロリと平らげた。
　最後に牛乳でお口の中をさっと空っぽにすると、ノアは口元を布で拭い、手を合わせた。

「ごちそうさまでした」
「おそまつさまぁ～」

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