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1章 幸せの花園

29 2度目の発熱 (3)

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 ノアの視界からあっという間にフクが消えて行く。
 小さい彼はノアが目を離した隙に、あっという間に大きくなってしまうかもしれない。色々な成長を見逃してしまうかもしれない。

 ———………やっぱり、一瞬も離れたくない

 フクに手を伸ばそうとして、しかしほっかほかになってしまっているお布団の中に手を戻したノアは首を横に振った。

 ———フクに風邪をうつしたら大変だから今は我慢………、

 赤子の風邪は命に関わってしまうと知っているだけに、ノアはとっても不安になってしまう。風邪を引いて心が弱っているせいで頭の中に嫌な想像ばかりがぐるぐる頭の中を駆け回る。

 ———はやく寝よ。

 ぼふっと布団に潜り込んだノアはぎゅうっと布団の端っこを握りしめる。

「………ごんな゛にひどりなの゛は、ひざじぶりだ、な………………、」

 最近はずっとフクがいたし、その前はティアラが一緒にいてくれた。ティアラが来る前は魔女がずっと側にいて、ノアのことを構い倒してくれた。
 魔女のひんやりとした心地よい触り心地が、ティアラの側の甘い匂いのする場所が、フクを腕の中に抱く温かな感触が、今のノアには恋しくて焦がれるくらいに欲しくて仕方がない。

 ———ちょっとでも早く治してフクに触れるようにならないと。

 温石みたいにぽかぽかしていてあったかくて、ずーっと抱きしめていたくなる感触を思い出したノアは頬を緩めて微笑んだ。

「ま゛っでてね、フグ………」

*************************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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