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1章 幸せの花園
29 2度目の発熱 (2)
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魔女の心遣いに感謝したノアは、自らの横で「あうーっ」と心配そうな声をあげながらノアに手を伸ばしているフクに微笑んでから、フクに手を伸ばし人差し指を掴ませ、パクパクと口を動かす。
『ミルクの作り方はちゃんと守ってください。フクを実験材料にしてはダメですよ?あと、おむつはこまめに変えてあげてください。かぶれてたら保湿もしてあげてくださいね。あとは………、泣き出したら抱き上げてあげると喜ぶのと、寝る前に本を読んであげるのと、あとは、あとは………、』
「はいはい、もういいよぉ~。ノアはお兄ちゃんになれたのが嬉しいんだねぇ。でもねぇ、構いすぎも良くないのよぉ?ちゃぁーんと、ノアもお休みしないとねぇ」
「………………、」
今回の風邪の原因がフクだと思われていることを不服に思いながらも、ノアは一理あると思ってしまった。
———僕はフクに構いすぎてたのか………、
フクが来てからノアの生活はフクを中心に回るようになっていた。
朝も昼も夜も、勉強や家事の傍らには必ずフクがいて、フクがぐずったり泣き出したりしたら、ノアは必ずフクを最優先にした。
自分が愛してもらえなかった分も、フクが自らの両親に与えてもらえなかった分も、ノアはフクを愛したいと思った。
魔女が自らを愛してくれたように、他の者に愛を分け与えたかった。
けれどノアは、やると決めたことは徹底的にやり込む主義であったために、今回は度を越してフクに構ってしまった。
「ノアの風邪はうつっちゃう系統のやつだからぁ、完璧に治るまでは服と触れ合っちゃダメにするからねぇ。ほぉうら、ノアぁ、フクぅ、バイバイしてぇ」
「………、バイ゛バイ゛、フグ」
「あうあ?」
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
『ミルクの作り方はちゃんと守ってください。フクを実験材料にしてはダメですよ?あと、おむつはこまめに変えてあげてください。かぶれてたら保湿もしてあげてくださいね。あとは………、泣き出したら抱き上げてあげると喜ぶのと、寝る前に本を読んであげるのと、あとは、あとは………、』
「はいはい、もういいよぉ~。ノアはお兄ちゃんになれたのが嬉しいんだねぇ。でもねぇ、構いすぎも良くないのよぉ?ちゃぁーんと、ノアもお休みしないとねぇ」
「………………、」
今回の風邪の原因がフクだと思われていることを不服に思いながらも、ノアは一理あると思ってしまった。
———僕はフクに構いすぎてたのか………、
フクが来てからノアの生活はフクを中心に回るようになっていた。
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自分が愛してもらえなかった分も、フクが自らの両親に与えてもらえなかった分も、ノアはフクを愛したいと思った。
魔女が自らを愛してくれたように、他の者に愛を分け与えたかった。
けれどノアは、やると決めたことは徹底的にやり込む主義であったために、今回は度を越してフクに構ってしまった。
「ノアの風邪はうつっちゃう系統のやつだからぁ、完璧に治るまでは服と触れ合っちゃダメにするからねぇ。ほぉうら、ノアぁ、フクぅ、バイバイしてぇ」
「………、バイ゛バイ゛、フグ」
「あうあ?」
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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
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