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1章 幸せの花園
24 崩れ去ったもの (1)
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いつも起きてくる時間に、ティアラが起きてこなかった。
昨日の今日であるが故に、ティアラの部屋を覗かなかった。
それが失敗だった。
「死後3時間ってところだねぇ」
のびやかな魔女の声に僅かに哀愁が滲む。
胸を一突きに刺して死んだのであろうティアラは、とても健やかな表情をしていた。死んでいる人間だなんて信じられない。
美しいプラチナブロンドはしゃらりと首に流れていて、身につけている服はノアがプレゼントしたもの。
———きれいだ………、
自分で死化粧まで施しているティアラは、まるでそこで幸せな夢を見ているかのような、否、愛する両親の元で幸せな夢を見ているのだろう。
1歩、また1歩とティアラの元に無表情で近いたノアは、ふらりとティアラの眠る鮮血に汚れたベッドの側に膝をつく。
『後悔をしない生き方をしてください。自分のやりたいことを貫き通すのです。中途半端が、1番格好悪い』
何故あの時、ティアラにあんな言葉を投げかけてしまったのだろうか。
『………わたくしにもできるでしょうか』
『できますよ』
何故あの時、できると言ってしまったのだろうか。
———どうして、僕は貫けと、そうでないと生きる意味なんてないと言ってしまったのだろうか。
分からない。
分かりたくもない。
ノアには“その生き方”しかないのに、その生き方が間違いであると分かったら、ノアの生きる道は無くなってしまう。
ノアの縋る場所がなくなってしまう。
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
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