永遠を生きる魔女と元王子の使い魔くん 〜永遠を生きる魔女と世界を恨んでいる元王子の初恋は、全世界を敵に回す〜

水鳥楓椛

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1章 幸せの花園

19 ティアラ (1)

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▫︎◇▫︎

 お風呂を沸かし、救急箱をお風呂場に置いたノアは、物置へと足を運んでいた。

 ———アレは、憎悪のこもった瞳だった。

 布や服の束を漁りながら、ノアは小さくため息を吐く。
 脳裏を過ぎるのはアクアマリンを連想する空とも海とも違うきらきらとした、美しい瞳。

 ノアは、否、ノアールは知っている。
 あの憎悪に満ちた羨望のこもった瞳を。

 ノアールは知っている。
 あの嫉妬に塗れた苛立ちのこもった瞳を。

 ノアールは知っている。
 あぁなってしまった人間は、大抵の場合、もう戻れないのだと。

「………旧王家に恨みのある人間ってところかな」

 水色の布地を見つけたノアは、それと白い布地、レースやフリル、裁縫道具、そして白いワンピースを持って魔女のいる場所へと戻る。

「お風呂の用意が整いました。服はこれをお使いください」
「はぁ~い。じゃあ、行ってくるねぇ」
「行ってらっしゃいませ」

 魔女と魔女の背中で怯えるように丸くなっている少女を見送ったノアは、裁縫道具から裁ちばさみを取り出し、なんとなくで布地を切り裂く。部屋の端に置いてある足踏みミシンの方に布を持っていき、ががーっと縫い付けると、そこには白襟が可愛らしい水色の半袖ワンピースが出来上がっていた。

「………裾にフリルをつけて、腰にベルト風のリボンをつけたらもっと愛らしいか」

 ぶつぶつと呟きながら、ノアは1度縫いあげたワンピースや道具の類をしまう。

「あがったよぉ~。見て見てぇ、ノアぁ。この娘ものすっごく掘り出し物ぉ」

 くるりと魔女の方を振り返ったノアは、ぴくりと固まった。

*************************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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