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1章 幸せの花園
18 お嬢さま (2)
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▫︎◇▫︎
颯爽と去ったノアの背中をじっと見つめる少女は、がじがじとボロボロになってしまった自らの親指の爪を噛む。
「………ずるい」
小さな呟きは誰にも聞かれることなく溶けていく。
それで良い。
それで正解だと自らに言い聞かせるのに、心というものはわがままで、その醜い感情を暴露して、周囲になすりつけて、全部全部壊したくなってしまう。
「………………ノアール・フォン・アイゼン」
鈴を転がしているかのように軽やかで美しい澄んだ声が、少女の口から発せられる。
「………わたくしのお父さまとお母さまを殺した冷酷無慈悲の極悪人」
ザンバラに切り裂かれて薄汚れた髪から覗く、アクアマリンのような大きな瞳には深い深い影が落ちている。
ぐるぐると漆黒のクレヨンで塗りつぶされたかのような瞳をノアの背中に向け、今にも泣きそうな表情になった少女は、歌うように声を紡ぐ。
「わたくしの敵」
ぎゅっと眉間に皺を寄せると、魔女の漆黒のドレスに額を埋めた。
「早く、早く殺さなくては………!!」
眠たそうにくあっと欠伸をこぼす魔女の背中に張り付いている少女は、壊れてしまったように歪な笑みを浮かべるのだった———。
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
颯爽と去ったノアの背中をじっと見つめる少女は、がじがじとボロボロになってしまった自らの親指の爪を噛む。
「………ずるい」
小さな呟きは誰にも聞かれることなく溶けていく。
それで良い。
それで正解だと自らに言い聞かせるのに、心というものはわがままで、その醜い感情を暴露して、周囲になすりつけて、全部全部壊したくなってしまう。
「………………ノアール・フォン・アイゼン」
鈴を転がしているかのように軽やかで美しい澄んだ声が、少女の口から発せられる。
「………わたくしのお父さまとお母さまを殺した冷酷無慈悲の極悪人」
ザンバラに切り裂かれて薄汚れた髪から覗く、アクアマリンのような大きな瞳には深い深い影が落ちている。
ぐるぐると漆黒のクレヨンで塗りつぶされたかのような瞳をノアの背中に向け、今にも泣きそうな表情になった少女は、歌うように声を紡ぐ。
「わたくしの敵」
ぎゅっと眉間に皺を寄せると、魔女の漆黒のドレスに額を埋めた。
「早く、早く殺さなくては………!!」
眠たそうにくあっと欠伸をこぼす魔女の背中に張り付いている少女は、壊れてしまったように歪な笑みを浮かべるのだった———。
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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
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